たとえば脳脊髄液減少症・・・・・・

ある日、ソレは突然やってきたかにみえました。
30年前の交通事故の記憶がよみがえる・・・・・・

末期の眼

2016年04月06日 | つれづれに

しばらく長~い冬眠をしているうちに、
季節はいつの間にか、桜が満開になっていました。

自然は美しいのかな。
芥川龍之介が、自死する前に送ったとされる、「或旧友へ送る手記」

『唯自然はかういふ僕にはいつもよりも一層美しい。
 君は自然の美しいのを愛し、自殺しようとする僕の矛盾を笑ふであらう。
けれども自然の美しいのは、 僕の末期の眼に映るからである。』

芥川が亡くなったのはその年の7月だった。
おそらく、その「自然の美しさ」は満開の桜であり、萌え出でる新緑であり、雨の足音だったのだろうな。
ああ、この桜も今年が最期なんだと思うと、そのいつもと見え方が違う。
という意味なんでしょう。

「末期の眼(まつごのめ)

姉と父が旅立ってから早2年が経ちました。今年は三回忌です。
二年前、父は、桜を見に行く体調ではなかったけれど、
テレビが大好きだった父は、どんな末期の眼で眺めていたのだろうか。。

ただ。
自然が美しい、という感性は、ある程度、心身ともに余裕がある状態です。
私は、脳脊になり、死と生の狭間に漂っていた期間は
そんな心のゆとりは全くありませんでした。
「桜の開花」とか「満開」とか散るとか。そんなのはっきりどーでもいいのです。
それで、心が癒される事も満たされる事も生きる力にもありえなくて
とにかく、今、この1分1秒襲ってくる痛みと辛さを乗る超える事で精一杯で。

そんな命の余裕はとてもありませんでした。

人によるのかもしれません。
その時の心のあり様、身体のあり様によるのかもしれません。

私は、地獄の底でもがいていた時。
そっとしておいてほしかったです。ドアの音が脳に響く!電話のベルでギクリと怯える。
とにかくとにかく、人との交流が辛い!
だから。お願いです。
脳脊の患者さんは、普通の疾患とは違うのです。
少し前に元気そうに見えても、その直後には倒れていて。。。
だからだからお願いです。患者さんのために「良かれ」と思われ
無理にお花見とかに連れ出されたりすることが、反ってストレスとなりかねません。
そのあたり患者さんのご家族や周囲の方々のご理解を頂ければ~と思います。


ところで、この時期。
「花」がつく言葉がラジオからもよく聴かれます。
「花冷え」「花曇り」「花嵐」。。
調べると色々ありました。
花疲(はなづかれ)~花見に歩いて疲れること
花見鳥~うぐいすの異称
花明(はなあかり)
花見月~陰暦三月の異称
花心~うつろいやすい心
花盗人(はなぬすびと)
雪月花
花吹雪
花便り

その他にも、「秘すれば花」とか「花鳥風月」とか。美しい日本語が流れます。
日本人にとって、桜は大事な文化だし、花の下での宴も年に一度の大切なコミュニケーションなのかもしれません。
私てきには「花酔い」とか「花狂い」ともあるのだけど。。

あっ、あまりいい意味で使われない「サクラ」(詐欺的な)も「桜」からきているようですね。
(江戸時代に芝居小屋で歌舞伎をタダ見させてもらうかわりに、
芝居の見せ場で役者に掛声を掛けたりしてその場を盛り上げること、またはそれを行う者のことをサクラといった。
桜の花見はタダ見であること、そしてその場限りの盛り上がりを桜がパッと咲いてサッと散ることにかけたものだという)

明日は雨模様。
「花散らし」の気候になるらしい。
だから大切にしてほしい。

桜文化は、日本ならではの言葉で、カルチャーなのだから

※追記
4月8日
前日の花の嵐がウソのような晴天です。
桜の花は、思ったよりも元気です。
「楚々として、はかない」花の命は。。。

意外とシタタカなようです。