スパイラルゼロ-8 ベラス・スクール-3
アギュはなかなか機嫌を直さず、夜のピクニックは僕らだけの日々が続いていた。惑星に行かない時、僕らはスクールの回りで追い駆けっこしたり、生徒達の居住空間に忍び込んで隠れんぼしたりもした。カプートも来たり来なかったり。勉強が忙しいとか言っていた。
それで、仕方なくシドラ・シデンとキャッチドラコをやってみた。シドラは別に嫌がらず、かといって喜ぶでもなくたんたんと玉をこなした。シドラの球は重い重量級だ。さすがゴリラ並みの握力を誇るだけある。しかし、怖い顔で無表情でやるんでこっちの気分が盛り上がりようがない。そこそこ動きもいいがカプート程の縦横無尽の反応は望めなかった。僕が相手では、やる気がでないだけかもしれない。だって、ユウリとやるととても楽しそうだし。
ユウリときたら、誰とやってもはっきり言ってバトミントン状態。空振りしてはキャーとかイヤーとか言って、生き生きして可愛いから下手でもなんでも許す。
バラキまでやりたそうな雰囲気があるもんね。でも、それは無理だって言っといた。
どうしたって、カプートがいないと僕はなんとなくストレスがたまってしまう。特別クラスでは体を動かすのも一苦労だもの。スポーツ好きには耐えられないよ。
授業だってスクールの監視体制を知ってしまった今は、現実の中じゃ心から馬鹿ができない気分だもの。
言うまでもなく特別クラスと言ったら、もう特別に監視されているクラスと言って間違いないんだ。その上にニュートロンの焼きもち焼きと差別主義者がまわりにたくさんいて、目を光らせてる二重苦、三重苦。なんせユウリはソリュートで有名人だったし、シドラ・シデンはでかくて目立ちまくりだったしね。
(まさにクラスにそびえ立っていた。しかし、シデンファンが遠巻きながら特別クラスの女子の中にもかなりいたのには驚いた。これは僕もかたなしだったよ。)
とは言え、新参者の僕は二人ぐらいしか知り合いがいなかったから他に行動を共にする人がいなかった。それだけでも、痛いぐらいの視線を感じたもんだ。いやーなありがたくない、そんなスター気分。
そんなだから二人やカプートと思いきり本音で話せる、夢の時間は僕にはとっても貴重だった。ユウリの話によると、アギュはずっとふてくされてるみたい。現実でも授業に出てこなかった。
その上でさらなる嫌がらせにアギュは出た。昼間のユウリを自分の手元に置いて、なるべくスクールに出さないようにしだしたんだ。
おかげで僕はシドラ・シデンとお互い、気の乗らないおしゃべりをする羽目になる。
シデンファンの年下の女の子達に睨まれたり、その中の一人と仲良くなりかけたり、それがばれて今度はシデンに思いきり軽蔑されたり。
(シドラはガンちんとは正反対のタイプにょ!)いやはや、今も昔もストイックな奴だからまったく、やんなるよ。(手本にするって話もあるにょ)そんなことしたら、僕が僕でなくなちゃう、それでもいいの?(ん~それは困るかにゃ?)よしよし、愛うい奴じゃ。
まあ、とにかくいい憂さ晴らしだったよ。勉強に息詰まり気味の僕としては。ニュートロンの女の子達には冷たくされても、めげずにトライすることが大事なんだと言うのがわかっただけでも、僕の方のトラウマはかなり癒された。
シドラ・シデンは女の子との付き合いが苦手で、面倒臭いらしいという点を除けば同じジュラ出身だから共通点もあったし。
まあ、サバサバしてわかり易いし、言われたことを気にしなきゃ結構いい奴じゃん。馬が合うっていうか、ワームが合うっていうか。
(ドラコもバラキと仲良くしてみたにゃ!)
そうそう、苦手克服!努力が一番!
(結構いい奴にょ!)そうだろう、そうだろう。バラキにも僕がそう言ってたって言っといてね、よろしく!(自分で言えばいいのににゃ~)
アギュは昼間のユウリを僕らから取り上げて、溜飲を上げたかもしれない。
しかし、ユウリがアギュに呼ばれて授業にも出ないことをケフェウス教官やニュートロン達は喜ばなかった。アギュは相変わらず、他の人には心を開かずほとんど話もしなかったから。シドラ・シデンの話によるとユウリは惑星で行われていたソリュートの実験もすっぽかしたらしい。
「スクールでは実験ができないからな。だが今さらアギュに文句言うのも、なんだと思うがな。もともとケフェウスはユウリを惑星に行かせたくはなかったのだ。」
「ケフェウス教官が?なんで?」僕は不思議に思う。
「惑星に行くと所長がユウリと会う可能性がある。」
意味深なシドラ。「臨界進化体と一番親しい生徒に所長が会いたがらないわけはない。」
「会ったことないの?」白と金色の面影がかすめる。
「夢以外はな。」鼻をならす。「ケフェウスが目を光らせている。」
「あやつはどんなささいなことでも、イリト・ヴェガの望みは叶えたくないのだ。」
だけど、そんな教官室への呼び出しもアギュが行かせなかったとか。
アギュがますますユウリに固執してるなんて噂がまたも広まってしまった。
これには僕もシドラ・シデンもまったく為す術がなかった。
全部、アギュが悪いんだ。(ユウリ可哀相にょ?)まったくだよ。
嫁入り前の娘の評判を落としまくってさ。
しかし。
ユウリは自分の評判なんかまったく気にしなかった。ユウリは僕らには包み隠しもなく二人で昼にしているゲームや議論の話をしてくれたし、それを聞くとアギュって改めてガキだなあと感心してしまった。12歳からいくつも年を重ねていない、500歳。
それに、二人が完全に二人きりになる時間は就寝前に彼女がソリュートを弾く時だけだってことを僕はシドラから聞いて知っていた。アギュにはニュートロンのお付や世話係が常に付いていることとか。だからほんとは、勝手放題な口さがない噂よりも実際はかなり少ない時間でしかなかったんだよね。
そして、何故かアギュは突然機嫌を直した。
もともと気分屋だと思っていたから僕はあまりに気にしなかったけど。
ある日唐突に、彼はピクニックに戻って来た。多分、喜んだのはユウリだけだと思う。
相変わらずのハイテンション。相変わらずの嫌み。
「なんでしょうかね?なにかあったんでしょうか?」
カプートだけはアギュの上機嫌をとても気にしていた。
「カプートこそ何んで心配してるの?」
「ぼくが参加することがずっと、許されてるからですよ。」
「僕らはユウリが呼んでんでしょ?」僕には疑問がなかった。
「そりゃまあ、ユウリがアギュに、お願いしてるからかもしれないけどさ。」
そう思うとちょっと不愉快。カプートがさらに落ち込ませるようなことを言う。
「だってアギュが本気で嫌がったら、ユウリはぼく達を呼びませんよ。」
「まさかー。」僕は厭な気分で絶句した。
「本当です。残念ながら。」彼は髪を気取ってかき上げる。ふざけてんのか?。
僕はふてくされた。「それはどういう、データの組み合わせからなんだよ。」
「これはぼくの勘ですね。」
「全然、物理じゃねーじゃん!」
「物理はすべからく推論、つまり勘から始まるのです。」カプートはもったいぶる。
「あとはそれを証明するだけと言うわけです。」
「証明できるんかよー!」僕はつい噛み付く。
「公式でも作りましょうか。」からかわれていたのにやっと気が付く僕。
「なんだよー!」カプートもニヤリとする。
「でも、本当に公式化できるか、やってみたらおもしろいかもしれません。」
「やめて。お願い、頼むから!。」
二人でこづきあいながら笑いあう、そのすき間をドラコがにょにょとじゃれまわる。器用なワーム。
ふと目を上げると遠くからアギュと目があった。アギュはプイと横を向く。
隣のユウリが困ったような表情で謝る仕草。何もユウリが謝らなくたって。
側に控えるシドラ・シデンはあきらかに面白がっている。
カプートと又、ボールを投げ合いながらも実は僕の心中はおだやかではなかった。
さっき、カプートに言われたこと。それが、どうしても気になった。
それはどこかで、ほんとにそうかもしれないと思ったからだった。
その日、僕とカプートは一日無視され続けた。
アギュに無視されたって僕は平気なんだけどね。
でも、カプートがアギュが近くに来ると引き気味になるのが僕にはわかった。
だから、僕もその日はアギュにはかかわらないことに決めた。
シドラ・シデンが果敢にもユウリの悪い噂のことを抗議した時はさすがに一言、参加したかったが、そんな隙も与えないアギュが
「勝手に、言わせとけ!」とまったく取り合わい。
そりゃ、アギュは自分が何をやっても非難されることがないから、いいんだろうよと遠くで聞いてないふりして恨めしく思う僕。
なのに。
ユウリときたら、アギュのひたすらオレ様な会話にいつまでも辛抱強く付き合っている。しかも、おもしろそうに笑ったりうなづいたりしてるのだ!。聖母のような微笑みを浮かべ、アギュに話の続きを促したりしてるの彼女を見ると、アギュの話はユウリにとって大変価値のある話題のように思われて、僕の心は乱れた。
しかし、それよりも気になったのは常にユウリの側にいるシドラ・シデンだった。シドラの振るまいが僕にはとても不可解に思えた。シドラはユウリに付き合って話すでもなくいつも二人の側にいる。アギュがいると、ドラコボールにも加わらない。だいたい、あんな退屈なアギュの話を黙って聞いてるなんてシドラに似つかわしくなかった。それが好きとはとても思えなかったのだ。
僕だったら、絶対に絶えられない。チャチャも突っ込みも入れずになんて不可能に近い。
だから僕は、シドラはアギュを監視しているのかな?と漠然と思ったものだ。スクールで聞いた教官達の会話を思い返す。つまり、スパイってこと。
それもシドラ・シデンに似合わないけどね。
ある意味、それはどっちも当たっていたわけだ。
勿論、その真相は後日明らかになるわけだよ。
(ドラコそれ、しってるにょ!言っちゃダメかにゃ~?)ダメ!
アギュはなかなか機嫌を直さず、夜のピクニックは僕らだけの日々が続いていた。惑星に行かない時、僕らはスクールの回りで追い駆けっこしたり、生徒達の居住空間に忍び込んで隠れんぼしたりもした。カプートも来たり来なかったり。勉強が忙しいとか言っていた。
それで、仕方なくシドラ・シデンとキャッチドラコをやってみた。シドラは別に嫌がらず、かといって喜ぶでもなくたんたんと玉をこなした。シドラの球は重い重量級だ。さすがゴリラ並みの握力を誇るだけある。しかし、怖い顔で無表情でやるんでこっちの気分が盛り上がりようがない。そこそこ動きもいいがカプート程の縦横無尽の反応は望めなかった。僕が相手では、やる気がでないだけかもしれない。だって、ユウリとやるととても楽しそうだし。
ユウリときたら、誰とやってもはっきり言ってバトミントン状態。空振りしてはキャーとかイヤーとか言って、生き生きして可愛いから下手でもなんでも許す。
バラキまでやりたそうな雰囲気があるもんね。でも、それは無理だって言っといた。
どうしたって、カプートがいないと僕はなんとなくストレスがたまってしまう。特別クラスでは体を動かすのも一苦労だもの。スポーツ好きには耐えられないよ。
授業だってスクールの監視体制を知ってしまった今は、現実の中じゃ心から馬鹿ができない気分だもの。
言うまでもなく特別クラスと言ったら、もう特別に監視されているクラスと言って間違いないんだ。その上にニュートロンの焼きもち焼きと差別主義者がまわりにたくさんいて、目を光らせてる二重苦、三重苦。なんせユウリはソリュートで有名人だったし、シドラ・シデンはでかくて目立ちまくりだったしね。
(まさにクラスにそびえ立っていた。しかし、シデンファンが遠巻きながら特別クラスの女子の中にもかなりいたのには驚いた。これは僕もかたなしだったよ。)
とは言え、新参者の僕は二人ぐらいしか知り合いがいなかったから他に行動を共にする人がいなかった。それだけでも、痛いぐらいの視線を感じたもんだ。いやーなありがたくない、そんなスター気分。
そんなだから二人やカプートと思いきり本音で話せる、夢の時間は僕にはとっても貴重だった。ユウリの話によると、アギュはずっとふてくされてるみたい。現実でも授業に出てこなかった。
その上でさらなる嫌がらせにアギュは出た。昼間のユウリを自分の手元に置いて、なるべくスクールに出さないようにしだしたんだ。
おかげで僕はシドラ・シデンとお互い、気の乗らないおしゃべりをする羽目になる。
シデンファンの年下の女の子達に睨まれたり、その中の一人と仲良くなりかけたり、それがばれて今度はシデンに思いきり軽蔑されたり。
(シドラはガンちんとは正反対のタイプにょ!)いやはや、今も昔もストイックな奴だからまったく、やんなるよ。(手本にするって話もあるにょ)そんなことしたら、僕が僕でなくなちゃう、それでもいいの?(ん~それは困るかにゃ?)よしよし、愛うい奴じゃ。
まあ、とにかくいい憂さ晴らしだったよ。勉強に息詰まり気味の僕としては。ニュートロンの女の子達には冷たくされても、めげずにトライすることが大事なんだと言うのがわかっただけでも、僕の方のトラウマはかなり癒された。
シドラ・シデンは女の子との付き合いが苦手で、面倒臭いらしいという点を除けば同じジュラ出身だから共通点もあったし。
まあ、サバサバしてわかり易いし、言われたことを気にしなきゃ結構いい奴じゃん。馬が合うっていうか、ワームが合うっていうか。
(ドラコもバラキと仲良くしてみたにゃ!)
そうそう、苦手克服!努力が一番!
(結構いい奴にょ!)そうだろう、そうだろう。バラキにも僕がそう言ってたって言っといてね、よろしく!(自分で言えばいいのににゃ~)
アギュは昼間のユウリを僕らから取り上げて、溜飲を上げたかもしれない。
しかし、ユウリがアギュに呼ばれて授業にも出ないことをケフェウス教官やニュートロン達は喜ばなかった。アギュは相変わらず、他の人には心を開かずほとんど話もしなかったから。シドラ・シデンの話によるとユウリは惑星で行われていたソリュートの実験もすっぽかしたらしい。
「スクールでは実験ができないからな。だが今さらアギュに文句言うのも、なんだと思うがな。もともとケフェウスはユウリを惑星に行かせたくはなかったのだ。」
「ケフェウス教官が?なんで?」僕は不思議に思う。
「惑星に行くと所長がユウリと会う可能性がある。」
意味深なシドラ。「臨界進化体と一番親しい生徒に所長が会いたがらないわけはない。」
「会ったことないの?」白と金色の面影がかすめる。
「夢以外はな。」鼻をならす。「ケフェウスが目を光らせている。」
「あやつはどんなささいなことでも、イリト・ヴェガの望みは叶えたくないのだ。」
だけど、そんな教官室への呼び出しもアギュが行かせなかったとか。
アギュがますますユウリに固執してるなんて噂がまたも広まってしまった。
これには僕もシドラ・シデンもまったく為す術がなかった。
全部、アギュが悪いんだ。(ユウリ可哀相にょ?)まったくだよ。
嫁入り前の娘の評判を落としまくってさ。
しかし。
ユウリは自分の評判なんかまったく気にしなかった。ユウリは僕らには包み隠しもなく二人で昼にしているゲームや議論の話をしてくれたし、それを聞くとアギュって改めてガキだなあと感心してしまった。12歳からいくつも年を重ねていない、500歳。
それに、二人が完全に二人きりになる時間は就寝前に彼女がソリュートを弾く時だけだってことを僕はシドラから聞いて知っていた。アギュにはニュートロンのお付や世話係が常に付いていることとか。だからほんとは、勝手放題な口さがない噂よりも実際はかなり少ない時間でしかなかったんだよね。
そして、何故かアギュは突然機嫌を直した。
もともと気分屋だと思っていたから僕はあまりに気にしなかったけど。
ある日唐突に、彼はピクニックに戻って来た。多分、喜んだのはユウリだけだと思う。
相変わらずのハイテンション。相変わらずの嫌み。
「なんでしょうかね?なにかあったんでしょうか?」
カプートだけはアギュの上機嫌をとても気にしていた。
「カプートこそ何んで心配してるの?」
「ぼくが参加することがずっと、許されてるからですよ。」
「僕らはユウリが呼んでんでしょ?」僕には疑問がなかった。
「そりゃまあ、ユウリがアギュに、お願いしてるからかもしれないけどさ。」
そう思うとちょっと不愉快。カプートがさらに落ち込ませるようなことを言う。
「だってアギュが本気で嫌がったら、ユウリはぼく達を呼びませんよ。」
「まさかー。」僕は厭な気分で絶句した。
「本当です。残念ながら。」彼は髪を気取ってかき上げる。ふざけてんのか?。
僕はふてくされた。「それはどういう、データの組み合わせからなんだよ。」
「これはぼくの勘ですね。」
「全然、物理じゃねーじゃん!」
「物理はすべからく推論、つまり勘から始まるのです。」カプートはもったいぶる。
「あとはそれを証明するだけと言うわけです。」
「証明できるんかよー!」僕はつい噛み付く。
「公式でも作りましょうか。」からかわれていたのにやっと気が付く僕。
「なんだよー!」カプートもニヤリとする。
「でも、本当に公式化できるか、やってみたらおもしろいかもしれません。」
「やめて。お願い、頼むから!。」
二人でこづきあいながら笑いあう、そのすき間をドラコがにょにょとじゃれまわる。器用なワーム。
ふと目を上げると遠くからアギュと目があった。アギュはプイと横を向く。
隣のユウリが困ったような表情で謝る仕草。何もユウリが謝らなくたって。
側に控えるシドラ・シデンはあきらかに面白がっている。
カプートと又、ボールを投げ合いながらも実は僕の心中はおだやかではなかった。
さっき、カプートに言われたこと。それが、どうしても気になった。
それはどこかで、ほんとにそうかもしれないと思ったからだった。
その日、僕とカプートは一日無視され続けた。
アギュに無視されたって僕は平気なんだけどね。
でも、カプートがアギュが近くに来ると引き気味になるのが僕にはわかった。
だから、僕もその日はアギュにはかかわらないことに決めた。
シドラ・シデンが果敢にもユウリの悪い噂のことを抗議した時はさすがに一言、参加したかったが、そんな隙も与えないアギュが
「勝手に、言わせとけ!」とまったく取り合わい。
そりゃ、アギュは自分が何をやっても非難されることがないから、いいんだろうよと遠くで聞いてないふりして恨めしく思う僕。
なのに。
ユウリときたら、アギュのひたすらオレ様な会話にいつまでも辛抱強く付き合っている。しかも、おもしろそうに笑ったりうなづいたりしてるのだ!。聖母のような微笑みを浮かべ、アギュに話の続きを促したりしてるの彼女を見ると、アギュの話はユウリにとって大変価値のある話題のように思われて、僕の心は乱れた。
しかし、それよりも気になったのは常にユウリの側にいるシドラ・シデンだった。シドラの振るまいが僕にはとても不可解に思えた。シドラはユウリに付き合って話すでもなくいつも二人の側にいる。アギュがいると、ドラコボールにも加わらない。だいたい、あんな退屈なアギュの話を黙って聞いてるなんてシドラに似つかわしくなかった。それが好きとはとても思えなかったのだ。
僕だったら、絶対に絶えられない。チャチャも突っ込みも入れずになんて不可能に近い。
だから僕は、シドラはアギュを監視しているのかな?と漠然と思ったものだ。スクールで聞いた教官達の会話を思い返す。つまり、スパイってこと。
それもシドラ・シデンに似合わないけどね。
ある意味、それはどっちも当たっていたわけだ。
勿論、その真相は後日明らかになるわけだよ。
(ドラコそれ、しってるにょ!言っちゃダメかにゃ~?)ダメ!