MONOGATARI  by CAZZ

世紀末までの漫画、アニメ、音楽で育った女性向け
オリジナル小説です。 大人少女妄想童話

ちいさなあの娘

2008-02-28 | Weblog
ちいさなあの娘
CAZZ


雨が降るのを待っている
水たま模様の傘をさし
窓の下に立ちぼうけ
赤いリボンが髪に揺れ
何を考えているのだろ
笑顔が風にとけ消える

雨が降るのを待っている
あのこ このこ どこのこだろか

愛を捜して待っている
木々の梢にさし交わし
青いベンチに腰掛けて
七色の髪ふき乱れ
そばかすだらけの白い肌
忘却の鳥 鳴き交わす

愛を捜して待っている
あのこ このこ どこのこだろか

雨が降るのを待っている
今もそしてこれからも
水たま模様の傘が錆び
赤いリボンが色あせるまで

やさしく雨は降るだろか
それとも悲しく降るだろか

雨が降るのを待っている

あのこ このこ どこの娘だろか






。。。。。。。。。。。。。。。。
どこの娘(こ)なんでしょうね~(戸惑い)
雨を待ってること愛を捜しているこは
きっと同じ娘なんでしょう・・・
愛という言葉はフレーズにすると
どうしても気恥ずかしい。
なんかに変えようとあれこれいじってみましたが
どうしようもなくて
初期のそのままに落ち着きました。。。
「愛だって?ぷぷっ!」とか思いながら
読んでくださって結構結構こけっこーなのであります。
ぷぷっ・・!

アリスに付いて

2008-02-25 | Weblog
「なりそこないアリスの為の追悼簿」について


タイトル最後まで迷ってましたです。
もう一人の・・では平凡だし。
ちょっとキツイけど結局これで・・

内容については
自分どんだけ萩尾望都さんが好きなんー?!!!
ってことに尽きると思います。
すっごい影響受けてましたね。

後、これを描くきっかけになった本があります。
クリストファー・ミルンの「プーさんと魔法の森」です。
ご存知、熊のプーさんを書いたA・A・ミルンの息子さん。
プーさんにもクリストファー・ロビンとして登場していますね。
この本はプーさんの続編では全然なくて
クリストファーのエッセイに近い本でした。
彼のプーさんに寄せる複雑な思いとかの話でした。
これにヒントをもらい
大好きな「不思議の国のアリス」を彷彿とさせるように
わざと書いてます・・・
これは勿論、フィクション。
アリスのモデルはいるようですが全然違いますよー。

「熊のプーさん」ですが私は
ディズニーのプーさん物語は好きではありません。
あくまで原作のファンです。
物語の最後(プー横町に立った家)で
クリストファー・ロビンがプーさんにさよならを告げます。
彼は子供から大人になるからです。
でもプーさんにはその意味がわかりません。
そのすれ違う悲しみが幼かった私にも
強烈に印象に残った記憶があります。
私にもたくさんの愛するぬいぐるみ達がいました。
自分が成長することは痛みを伴うことだとなんとなく
教えられたのでしょうか・・・

そのラストがあるからプーさんは単なる童話ではないと
大人の読書にも耐えうる、お話であると私は思うのです。
「星の王子さま」と並ぶ名作ではないでしょうか。

なりそこないアリスの追悼簿14

2008-02-20 | オリジナル小説
アリスは永遠です。


なりそこないアリスの追悼簿13

2008-02-20 | オリジナル小説
ああ・・・

「そうだね・・」

そうです。
やっと、わかりました。
こんなにも長い年月をかけて
やっと 今。

私はアリスではありません。

「おばあちゃんもアリスって言うんだよ。」

アリスは誰でもありません。

「ほんと?」
「変かい?」
「変なの!」

アリスはアリスです。


なりそこないアリスの追悼簿12

2008-02-20 | オリジナル小説
「おばあちゃん」
「おばあちゃん、起きて。」
「ご本読んで。」

・・・これで 私の話は終わりです。

「どれどれ」

「この間、とうさんが
読んでくれた本なの」
「何度も読んでいるの。」

・・・思わず、私の息が止まりました。

「・・・そんなにこの本が好きなのかい?」

それは父が書いた・・・
私が形見に一冊だけ持っていた
アリスの本でした。

「あのね」
「すっごく、わくわくするの」
「わたし、アリスと友達になりたいの」
「アリスみたいになりたいな」


なりそこないアリスの追悼簿11

2008-02-20 | オリジナル小説
いつまでも 開けない 夜が過ぎ
平和は再び 戻ってきました。
だけど
私の中の何かは
けしてもとには
戻りませんでした。

戦後の混乱の最中に
アリスの本は なんの価値もありません。
私の生きる糧には到底、なりません。
飢えた子供達のお腹を満たすことだって
できやしないのです。

この本になんの価値があったのでしょう?
なぜ、書かれなくてはならなかったのでしょう?
私を不幸にする以外に・・・

そうして私は世の中の泥にまみれ
その後にどうにかやっと這い出して・・・
ごく普通の人と
ごく普通に結婚して
平凡なひとりの女に
なっていったのでした。


なりそこないアリスの追悼簿10

2008-02-20 | オリジナル小説
戦争が始まりました。

それは
恐ろしい戦いでした。
大陸は傷だらけになり
人の心も憎しみによって
穴だらけになりました。

父は世界を憂いて 死に
私は
空想することを
やめたのです。


なりそこないアリスの追悼簿9

2008-02-20 | オリジナル小説
あなたは贅沢だ と
小さな読者が書いてきました。
私なら 自分がアリスだということを
光栄に思います と

しかし
私にとっては
もはや
この道しか ありませんでした。

アリスは私を不幸にしたからです。

しかし
時代は私の不幸など
おかまいなしに進み
日増しに世界の緊張がみなぎっていきました。
そしてとうとう
その年
その堰が切って落とされたのです。


なりそこないアリスの追悼簿8

2008-02-20 | オリジナル小説
もう、たくさん!

学校の中庭から
アリスの大合唱が始まるたび
私は歯を食いしばり

自分がアリスであることを
憎むようになったのです。

私の学生時代は終わりました。


なりそこないアリスの追悼簿7

2008-02-20 | オリジナル小説
私は
私の物語を書いたことで 父を恨み
アリスについて聞かれると
よそよそしく答え
罪もない本を追放したりしました。

しかし
アリスはどこへでも付いてきました。

父の名を聞き 私の名を聞けば
人々は言わずにはいられないのです。
では
あなたがーと。

アリスが書いた作文
アリスの鉛筆
アリスがかぶる帽子
アリスの靴

アリス アリス アリス

ああ!


なりそこないアリスの追悼簿6

2008-02-20 | オリジナル小説
私がもともと口べたな少女だったせいでしょうか。
やがて
小さな悪意の根がはびこってきたのです。

遊びや世間話の中で
私はいつも 一人 でした。

残酷盛りの少女達は
声を揃えて歌うのでした。

・・・アリスの唄を・・・

いたるところに
父の詩や 文が引用されました。


なりそこないアリスの追悼簿5

2008-02-20 | オリジナル小説
それから父は
ぼんやりしてることが多くなり
夜中まで 眠れずに
歩き回る足音が聞こえてきました。

守りのなくなった私は
小さな読者の訪問を受けることもあり
そんな時は決まって
当惑と笑顔で答えるのでした。


なりそこないアリスの追悼簿4

2008-02-20 | オリジナル小説
私は少し成長して
やや、ぶかっこうな女子学生になりますた。

空想することは
相変わらず 好きでした。

その秋・・・

私と父のすべての愛であった
母が死にました・・・

悲しまないで と
言いながら。



なりそこないアリスの追悼簿3

2008-02-20 | オリジナル小説
父と母のはからいで
たくさんの訪問者(雑誌記者、読者etc)から
守られて

私は自分がアリスであることに
たいへん満足して暮らしていました。


なりそこないアリスの追悼簿2

2008-02-20 | オリジナル小説
父は願望を書くタイプの作家でした。

性格のためか
ストレートに愛情を示すことは少なく
遊んでもらった記憶も
あまりありません。

そんな中で父は
アリスの冒険物語を書いたのでした。