クラージュせたがや ~Courage Setagaya~

元はベルマーレ応援サイト「STweb」の別館で2005年7月開始も、2010年12月の韓国赴任を機に半ば休業中。

(日本語訳)ホン・ミョンボ監督へのインタビュー「大韓民国がまたサッカーで盛り上がれるように」

2014-01-14 01:22:05 | アジア、韓国のサッカー
韓国のサッカー雑誌「BEST ELEVEN」2014年1月号の新年インタビューのメインが、
ホン・ミョンボ国家代表監督に対するものでした。
A4で4ページにわたるインタビュー、
以下に記者の質問とそれに対する答えをかなり拙いながらも日本語訳して紹介します。



~素早く過ぎ去った6か月~

-まず、ご苦労されたことをねぎらいたい。
2013年6月 A代表チーム 司令塔職に来た後6か月、近い時間の間 本当に苦労が多かった。
いつの間にか、赴任後 半年という時間が流れた。
去った半年をゆっくり振り返りたい。

「ゆっくりと整理することができないくらい、時間が速く過ぎ去っていった。
6月末、急にA代表チーム監督を預かって、すぐに2013EAFF(東アジアサッカー連盟)東アジアカップを
経験するなど、休まず走った。
その後でも、毎月Aマッチを経験して何かを整理する時間がなかった。
11月19日 ロシア戦を最後に、評価試合日程を終えたが、
12月初めにはブラジルへ移って2014ブラジルワールドカップ組み合わせ抽選と
我々が本選を打つ競技場を見回す等、本当にめまぐるしく過ぎた。
今は少しすき間ができたが、2014年1月に実施するブラジル-米国キャンプスケジュールをくみ
召集選手メンバーで苦慮しようものなら、残った時間も足りない。
A代表チーム監督という地位は本当に忙しくて大変だ。」


-去る半年間、一番疲れたことがあるなら、何だ?
おそらく重大な責任に対する負担がないかと思う。

「負担なんて当然にある。
どんなにひどくて人々がA代表チーム監督職を『毒の入った聖杯』だと言うだろうか?
外で見るときは、この程度までとは知らなかったが、直接体験したらすごい。
無論、その負担感で自分がしなければならないもとをできないとか、そんなことはない。
『何のためにできない』のは言い訳に過ぎない。
他方、その負担の大きさを認定してそれを超える為に努力するだけだ。」


-その間、A代表チームでして見なかった役がなかったから、あまねく経た。
選手から始まって主将-末っ子コーチ-首席コーチまで、できる任を全部預かってみた。
このくらいなら、A代表チームを預かる為に経なければならない関門は全て通過したと思う。
それにもかかわらず、A代表チーム監督が他のものとは違ったのか?

「違った。一番大きく違ったのはA代表チーム選手である時や年齢別代表監督である時より
はるかに大きな世間の関心だ。
A代表チーム監督の地位に上ってみたら、こんなに多くのメディアが存在しているとは知らなかった。
国民の関心がこんなに大きいとは知らなかった。
しかも、2002年 韓・日ワールドカップ以後、A代表チームを見る目は大きく格上げしなかったか?
その間、A代表チーム監督地位に上った先輩がなぜそんなに疲れてたのか、
今やっと少しわかったと思う。」


-表から見ても、重圧感がすごく出ていたと思う。今、チームの話を少ししてみると、
赴任後、計10試合を経て3勝3分4敗を記録した。この成績に対する所感から少し聞きたい。
満足か?

「満足だ。外形的に明らかになった成績より、選手がどのように試合をしなければならないかを
わかった所が肯定的だ。例をあげるなら、こういうことだ。
東アジアカップ最終戦として行われた日本戦で我々は1-2で負けた。
後半追加時間に決勝ゴールを許容したのだ。
その時、我々の選手は1-1の同点の状況で日本に勝つために無理をして、
そして決勝ゴールを入れられた。
しかし、その試合は勝つことより負けないことが重要な試合だった。
無論、引き分けなら優勝は得ることはできなかっただろうが、ライバルの日本に負けたという汚名は
そそぐことができなかった。
無数の全ての試合に全て勝つことはできない。
それなら、勝たなければならない試合と、そうでない試合の区別の仕方を知らなければならない。
そして、その分けられた区分に合うゲームマネジメントをする知恵が必要だ。
すなわち、そのゲームマネジメントの知恵が去る6か月間の間 一番多く改善された部分だ。」


-反対に、否定的な部分はなかったか?
3勝3分4敗という成績が外形と考えても素晴らしい成績と言うことはできない。

「否定的部分というよりは、今後、補完しなければならない点は明らかにある。
最も際立ったのが、経験不足だ。
去る10試合で我々のチームはゴールを許容したり、逆転負けしたケースが多かった。
これは、90分をマネージメントする経験不足で起きたことだ。
若い選手が多くて生じた問題だが、ブラジルワールドカップ本選を前に、
必ず補完しなければならない部分だ。」


-今現在A代表チームの水準はどのように評価するか?
世界的水準に例えても、良くて過去A代表チームに比べて説明してもいい。

「半年間、A代表チームを指揮したことはあるけど、
それ以前の過程を直接経験せず、正確な評価を出すことは難しい。
だから、最近はブラジルワールドカップに参加する為に払ったアジア地域最終予選結果と
それ以前の選手の姿をビデオで見て分析中だ。
他方、確信することができる部分を話そうとするなら、
個人技術と水準は明らかに素晴らしい点だ。
世界一流の選手と比べると、差があるだろうけど、全体的水準は遅れていない。
問題は選手個人が持っている技量をどのように一つのチームとして合わせるかだ。」


-信頼が強そうだ。
それなら、現在A代表チーム構成員の個人技量に対して、信頼はいつ持つようになったのか?
ひょっとして、2012年ロンドンオリンピックを経て得た自信感か?

「そうだ。2012年ロンドンオリンピックで我々選手の姿を見て、
そのような確信を得るようになった。
オリンピックがワールドカップのように完成形の選手が出場する大会ではないことはある。
しかし、その過程にある彼らが出場する大会であることは明らかだ。
そして、これは我々も同じ条件だった。
そのような状態で経たロンドンオリンピックという世界の舞台に立った我々選手が
成し遂げることができるのは小さくなく感じさせることができた。
先だって言及したように、その水準が一流を意味するのではない。
他方、周囲で心配するように、みずほらしいとか、思わしくないということはない意味だ。
よって、自分がしなければならないことは、良い技量をもつ我々選手を一つのチームに
上手くまとめあげることだ。
それだけをやり遂げたら、もう1回良い思い出をつくることができる。」



~『激戦地』ブラジルへ行って来る~

-話題を少し変えよう。
2013年12月7日、ブラジルワールドカップ組み合わせ抽選会が開かれた。
現場へ直接言ってきたが、組み合わせ抽選結果に対して
「希望を現実に変えなければならない」と話した。
組み合わせ抽選が終わった後、感じた所感が気になる。

「我々と同じ組に属する3チームはどれも面倒だ。
トップシードのベルギーは無論、ロシアやアルジェリア、
どれも勝利を確信することができる相手ではない。
現実的視線で見るとき、我々はH組で3~4位の水準だ。
そのような水準を2位まで引き上げなければならないことが当面の課題だ。
組み合わせ抽選が終わった後、国内で肯定的な雰囲気が起きていることをよく知っている。
期待がおおきくなったことも同様だ。一言で希望をうたう雰囲気だ。
期待に外れないように、その希望を現実に変える為の準備をしなければならないと思う。」


-『希望を現実に変える為に準備する』」という言葉をもう少し具体的に説明してくれないか?
はっきりと実体がつかめなかったので。

「他の3か国を分析する前に、まず我々について明確に把握しなければならないということだ。
ブラジルワールドカップで願う成績を達成するためには、我々がどれだけ準備しなければならないか、
今まで明らかになった問題点をどれだけ補完しなければならないかが重要だ。
相手戦力を把握して、比較することはその次だ。
今は我々が争える耐性を伸ばすのが優先だ。
もう一度強調するが、H組で我々の順位は3番目か4番目だ。
ベスト16に進出する為には、現在の順位を2位以上へ引き上げなければならない。
順位上昇を現実化する為には、あと6か月余りの時間をどのように過ごすかが重要だ。
一番最初に、我々のチームについて正確に把握して、
その次に、敵の様子を観察して見たい。」


-とても慎重な態度だ。
だが、組み合わせ抽選自体は良い結果だと思う。
ワールドカップ本選で簡単な組がないのは同意する。
しかし、優勝候補を避けられた点、ヨーロッパやアフリカで強豪に分類されるチームを
避けられたことは明らかな事実ではないか?

「それには同意する。いわゆる『死の組』に編成されなかったし、
グループステージ通過を諦めなければならないだけの難しい組に属することはない。
しかし、自分が慎重な反応を見せる理由は選手の為だ。
自分がマスコミを通して話した一言は国民の耳に入って行き世論になる。
そして、その世論は事実のように水増しされてから選手に伝達される。
これはワールドカップという大きな国際大会の準備をすることにおいて、とても危険な要素だ。
我々はワールドカップで客観的戦力が先行しているチームと戦う。
そのような戦いで勝利する為には、とても小さくちょっとした部分でも亀裂が生じてはならない。
万一、自分が組み合わせに対して満足感を示したり、自信ある様子を見せれば、
これは選手にも影響を及ぼすようになる。
そしてそのように及んだ影響はワールドカップ本選で我々が越えなければならない重要な
瞬間、傲慢やうぬぼれに変質することがある。
慎重で注意するほかない理由だ。」


-どのような話か、理解できそうだ。
これに似た話を2012ロンドンオリンピック組み合わせ抽選が終わった後に聞いたと思う。
当時と似たニュアンスで慎重な姿を見せた。

「この部分で話したいことはもう一つある。
ブラジルやドイツのようなとても強いチームを避けたことは明らかに幸運だ。
しかし、そうだからといってベルギーやロシアが簡単な相手ということはない。
我々はブラジル、ドイツ、イタリア、スペイン等、ワールドカップが開かれるたびに
優勝候補にあがるチームのような強いチームだと考える。
だが、現実はそうではない。ベルギーにはブラジルワールドカップで
トップシードを受けた強いチームで、ロシアまで含めた2チームは
険しいというヨーロッパ地域予選でともにグループ1位を占めた。
ロシアだけみても、クリスティアーノ ロナウドが支えるポルトガルを
グループ2位へ押し出したではないか?
だが、これに対しては認めない。
伝統の名門や強豪でないなら、評価切り下げしていつでも我々が勝つことができると考える。
これは間違ったことだ。
そして、このような間違った考えをすぐにつかんだ時、強いチームに勝とうとする凝集力と
集中力が高くなりうる。」


-それなら、H組に編成されて得た付随的問題に対してはどのように考えるか?
国内では移動距離が短く、気候も無難で、最高だという話が出た。

「合っている話だ。だが、個人的には、とても悪い環境と向き合うのを願った。
我々に良い環境ならば、相手も適応するのが簡単ではないか?
反対に、悪い環境だったならば、我々がその部分を掘って
有利になることができるのだと考えた。
例えば、移動距離が長くて気候が悪いならば、我々と相手全てが苦労するし、
その難しさを開いてよりも我々がもっとうまく克服することができると信じる。
だから、以前ならば悪い条件で試合して、その部分くらいは
相手より優位を占めたかった。」


-一理ある話だ。
組み合わせ抽選が終わった後に、ブラジルワールドカップで我々が使用する
ベースキャンプとグループステージの試合が開かれる3箇所を訪問してきた。
現地の雰囲気とそこでの感じ、所感を少し伝えてほしい。

「ベースキャンプは気に入った。
天の恵みの環境に、施設も思いの外、なかなか立派だ。
さらに、グループステージの試合が開かれる所へ移動する経路も大丈夫だ。
競技場は3箇所すべて工事中なので、きめ細かく見回すことはできなかった。
全体的な感じは悪くなかったが、完成された所がなく、精密な構想ができず
少し残念だった。」



~サッカーで盛り上がる大韓民国~

-ここで、最後のテーマに対して話す時間だ。
今後、ブラジルワールドカップ本選まで、6か月という時間が残っている。
本格発進するわけだ。
既に、ブラジルへ行くロードマップを描き始めたと思う。

「大きな絵は描いた。ブラジルワールドカップまで行く道の方向と順序は決まった。
しかし、その中を満たす詳細な部分までは明確に確定はできていない。
その中で、一番先に解決しなければならないことが2014年1月に予定されている
ブラジル-米国キャンプをどうのようにして消化するかだ。
無論、下書きは描いた。今度のキャンプは、KリーグそしてJリーグ(日本)と
スーパーリーグ(中国)等、リーグが休止期の所でプレーする選手を主に選ぶ計画だ。
これらの中、玉石を選ばなければならないためだ。
チップをもう一つあげようとするなら、経験の多いベテラン選手を多く召集しようとする点だ。
インタビューの冒頭に話したように、今、A代表チームに一番不足しているのは経験だ。
ワールドカップという舞台は単純に機能的に素晴らしい選手だけがいるのではだめだ。
何より必要なのは経験なので、その部分を満たしてくれるベテランを点検するのは
新年最初のキャンプの一番重要な目的だ。」


-それなのに、ベテラン選手が加わると、一つ問題が発生しそうだ。
すなわち、既存の若い選手との衝突だ。
現在、ホン・ミョンボ号は2012ロンドンオリンピックに参加した選手が主軸だ。
さらに、彼らのチームスピリットが相当強く、新しい選手が同化しにくい指摘もある。
とかく無理なベテラン合流がチーム均衡を崩すかもしれない。

「同感だ。そのような指摘を聞いたりもした。
だが、基本的にワールドカップはオリンピックとは次元が違う大会だ。
オリンピックは年齢という制限があるが、ワールドカップは違う。
器量が優秀でチームに必要ならば、歳は何の問題にならない。
ともにロンドンオリンピックメンバーとしても、器量を発揮できないなら淘汰されるしかない。
幸い、新旧調和がかなりなされるような端緒を所々で発見した。
最初は、ベテランが加わる時生じる問題がはみでやしないか心配だったが、
大部分の選手が我々のチームが向こうとしている方向をよく理解していて、
大きな問題はなかった。」


- 同じ脈絡でクァク・テフィ(選手)に対する話を少ししたい。
クァク・テフィは2013年10月と11月 2回召集された時、全ての名前が呼ばれた。
だが、10月と11月に行われた4試合でただの1分もプレーできなかった。
A代表チームで主力に定着している選手が傷つかなかったか、心配した。
それなのに違った。
「自分がホン・ミョンボ号でできることがあると信じる」と毅然とした姿勢を見せた。
意外な反応で驚いたのを覚えている。

「そうしたのだ。クァク・テフィは今までA代表チームで重要な役割をしてきた選手だ。
当然、ベンチよりはグラウンドが慣れている。
だが、今 自分の頭の中にあるブラジルワールドカップ センターバックの組み合わせは明らかだ。
クァク・テフィがその位置をチャージできる能力は持っているが、
現在としては三番目のオプションだ。
クァク・テフィほどの経験と実力を持つ選手が主力でないならば、本人が難しくなることもある。
選手に一番過酷なのは試合でプレーできないことではないか?
だが、自分はクァク・テフィの経験が必ず必要になる。
無理に彼が試合に出ないとしても、チームの為にできることが多くあるからだ。
それでこの問題を置いてクァク・テフィと深い話を交わした。
幸い、自分の本心が上手く伝わって心配は消えた。
クァク・テフィの例を経て、他のベテラン選手が合流しても
チーム精神が崩れなかったので自信を得た。」


-わかった。今度は一番ギスギスする質問を1つしなければならない。
パク・チュヨン(選手)に関する話だ。最悪の状況から尋ねる。
万一、パクチュヨンが移籍しないで続けてアーセナルに宿ると仮定しよう。
それで6月になっても今まで反復した状況と違わなかった。
そうした時、パク・チュヨンをブラジルに連れて行くのか?

「自分が予想しているパク・チュヨン関連のシナリオの中で、最悪の場合を今話した。
パク・チュヨンに対していくつかをめぐり頭を悩ませているところだ。
新しい突破口を探し当てた時、そういかなくて今止まっている時、等、
多様なシナリオを念頭に置いている。
万一、パク・チュヨンが今の状況から抜け出せなかったならば、
我々のチームには一番悪いシナリオになると思う。
彼が持つ能力は必要だが、1年6か月の間、実戦経験がないというのは、
明らかに問題を引き起こすことがありうる。
今としては、我々のチームに助けとなることができる方へ
問題が解決されるもとを願うのみだ。」


-まだ時間をもって見守らなけばならないことで、
もっと深くは尋ねない。
徐々にインタビューを締める時になった。2つだけ尋ねたい。
ブラジルでホン・ミョンボ号が魅せたいサッカーはどんなものか?

「相手を苦しめるサッカーをしたい。
相手を苦しめるサッカーとは、我々がもう少し長い時間
ボールをキープしながら、試合をリードするというものだ。
それとともに、ふらふらしないで強いサッカーもみせて差し上げたい。
残り時間は長くないが、よく準備をして、
決して侮れない韓国サッカーの力を見せたい。」


-最後の質問だ。
ブラジルワールドカップ、そしてその後に開かれる2015アジアカップまで
あまりも遠くて険しい道を歩いているところだ。
その道を歩いて、必ず成し遂げたいものがあればどんなものか?

「もう一度、国民に大きな喜びを差し上げたい。
2010年南アフリカワールドカップ以後、韓国サッカーが国民を喜ばせてあげた
記憶がなかったと思う。
良かったことよりは、怒って残念なことがもっと多かった。
よく準備をして、もう一度2002韓日ワールドカップに続く大きな喜びを差し上げたい。
この地が、サッカーで盛り上がれるよう、最善を尽くそう。」




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