goo blog サービス終了のお知らせ 

温泉めぐり紀行

メタセコイア並木(滋賀県 2025年5月)

938.東北の名湯そろい踏み

2021-10-12 | 旅の空

■2021年9月30日(木) 旅の4日目

これまでずっとホテルの立体駐車場にすんなり駐められた。

経験上、夕方5時過ぎてしまうと大抵は外部の駐車場を案内されるのに、

これは珍しいことだ。

平日であることやコロナ禍による旅行控えのせいなのだろう。

明日(10月1日)、緊急事態宣言がすべての地域で全面解除されるという。

 

梅雨明け宣言後のように気分が晴れ晴れとし開放感に浸る人も多いだろう。

観光地をはじめ街では人出が増加するにちがいない。

もっとも私みたいに宣言があろうとなかろうと勝手に宣言解除して行動するおバカも世間には

たくさんいるんだろうな。

 

さて、そもそもだが、

今回の旅は福島・会津地方の温泉地を回ってみようかなと当初は考えていた。

それはあの本(「へんな名湯」) にある温泉、珍湯へ行ってみたいなぁとおもったからだ。

ところが、どうも今ひとつ気合いが入らない。

中途半端な距離感がするのだ。

行くぜ!!という心理ドライブが働かないし、今ひとつテンションが上がらない。

 

グズグズしていたそんなあるとき、

いっそのこと蔦温泉、酸ヶ湯温泉の青森まですっ飛ばしていってみたらいいんじゃないか、

復興道路を利用すれば南三陸町や大槌町の様子もみてこれるし、

しかも復興道路のほとんどが無料区間だよ・・

という魅惑のささやきが聞こえたのだ。

これで導火線に火が点き、ボルテージが一気に上がった。

 

■蔦温泉(青森県十和田市)

8時20分、八戸駅前のホテルを出発。

カーナビに蔦温泉をセット。天気は晴れ(このあと崩れる)。

田園地帯から山間部の道に入る。少しずつ標高があがっていく。

 

10時15分 蔦温泉旅館に到着。

2年前に奧さんと訪ねて以来だ。

そのときは臨時キャンプ場にテントを張り、青森ねぶたをみた翌日、蔦温泉に足を運んだ

 

温泉に入る前にまず蔦沼へむかう。

燃えるような紅葉が湖面に映る撮影スポットとして超有名なのだが

残念ながら紅葉にはまだ早かった。

ブナの原生林を周遊するコースがある。

ちいさな沼が点在し素敵なブナ散策ができるのだが今回は時間がないのでパス。

巨樹たちに挨拶し、旅館へ向かう。

 

現在の蔦温泉旅館の玄関

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

■蔦温泉・泉響の湯 

 

この時間に入れるのは「泉響の湯」(入湯料800円)。

もうひとつある「久安の湯」は女性専用となっている。

泉響の湯は脱衣場から階段をおりていく半地下の構造となっている。

源泉の真上に湯船があるのでぷくり、ぷくりと足下から源泉とともに泡が上ってくる。

フレッシュな源泉そのものを体感できる気持ちのいい湯だ。

温泉の様子は蔦温泉旅館のホームページに詳しい。

 

仮に全国の温泉の中からひとつだけ選んでください、といわれたら

私はちゅうちょなく蔦温泉をあげる。

ブナの原生林にたたずむ旅館の風情、気持ちの良い温泉、ロケーション、どれをとっても

申し分ない。

 

蔦温泉には20年前の2001年5月、温泉好きの仲間と泊まっている。

当時の写真をみると、昔のまんま今も全然かわらないなぁ、と改めて思った。

この木造建築を維持するには人知れぬ苦労があることだろう。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2001年の蔦温泉旅前

 

 

             20年前の記念写真

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

■酸ヶ湯(すかゆ)温泉 (青森県青森市)

蔦温泉を12時10分出発。酸ヶ湯温泉は蔦温泉から15キロの距離だ。

ここからは広大なブナの二次林の中を行く。

峠を越えた辺りから雨が強くなってきた。

ときおり紅(黄)葉した木々が現れては山岳道路の単調さを慰めてくれる。

 

ブナの二次林が延々と続く  樹齢は90年前後

 

 

12時50分 酸ヶ湯温泉着

毎年冬になると積雪4メートルを越えたとかTVで放送される酸ヶ湯温泉

今回の旅の最北端だ。ここまで935キロ走ってきた。

玄関先の自動販売機で入浴料1000円(記念タオル付き)を払う。

脱衣場から階段をおりていくと広々した浴場空間がひろがる。

湯滝の音がひびく。

湯船は大きいし、なんたって湯治場としての貫禄が備わっている。

大浴場のヒバ千人風呂に客は5人ほど。

白濁した硫黄泉なのだが癖は強くない。手に付いた温泉をちょっと舐めてみたら酸っぱい。

歯を傷めそうなので直ぐにうがいをした。

 

 

 

 

■大鰐温泉・大湯会館 (青森県大鰐町)

酸ヶ湯には2時間弱滞在し、2時過ぎに出発。

国道394号で黒石に出る。弘前まで15キロの表示。えっ、そんな近くにいるんだと驚く。

国道7号を走っていると大鰐温泉郷の案内板をみかけた。

好奇心が頭をもたげ寄り道することにした。行きがけの駄賃というやつだ。

 

こういうローカルな温泉にはたいてい共同浴場があるものだ。

町中をキョロキョロして走ってると、案の定、大湯会館という共同浴場をみつけた。

自動販売機で入浴券(200円)を買って中に入る。

中は町民の人たちでけっこう賑わっている。

お湯は無色透明で癖がない。42~43度でやや熱い。湯上がりは実にさっぱりしている。

雨、依然として止まない。

 

 

■大湯温泉 (秋田県鹿角市)

今日はどうしても寄りたい温泉がある。

秋田県鹿角市の大湯温泉郷にあるアパートに湧く温泉である。

「へんな名湯」に紹介されてた湯だ。

 

大鰐温泉の共同湯を出たのが午後4時30分。

時間を稼ぐため碇ヶ関ICから東北自動車道に入る。辺りはもう暗い。

暗いし雨だし、高速運転としては最悪だ。

十和田ICでおり、国道103号を十和田湖・休屋方面へ走らせる。

 

夜の大湯温泉郷に入り、旅館やホテルがポツポツとみえてきた。

そしてカーナビが案内した場所はアパートらしき建物の前。

暗くてよく見えないが、どうやらお目当ての白山荘アパートのようだ。

 

傘をさして薄暗いアパートの前に立つ。

 すみませ~ん 

と管理人室に向かって何度も声をかける。

しかし誰も出てこない。反応なし。

蛍光灯は点いてるしTVの音もするのに人の気配がない。

出かけてるのかもしれない。

管理人室の隣をみるとふたつ部屋がある。

通路突き当たりの部屋の小窓からは灯りが漏れてるし台所辺りで生活音もしている。

 

仕方が無い、料金入れに200円を払い、下駄箱に靴をしまって階段を下り湯に向かう。

3メートル四方の湯船だ。実にシンプル。

一本の青いホースから温泉が注ぎ込まれている。

湯船にそろりと足を突っ込んでみるとなかなか底に届かない。

腰の辺りまで浸かる深い浴槽だ。

しかし熱い湯が気持ちいい。これは癖になる温泉だ。

湯船の深さからすると、あがるとき、お年寄りはちょっと難儀するだろうとおもう。

 

温泉付きマンションというのはよく聞くけど温泉付きアパートはないのではないか。

さっぱりして階段を上がっていくとちょうど男性客とすれ違った。

やはり地元ファンがいるんだ。

管理人室は相変わらずもぬけの殻。

外は雨が降り続いてる。

 

アパート白山荘の玄関

誰もいない管理人室

ここに料金をいれてくださいということらしい 200円をいれる

左にみえる階段を降りていく  手前は下駄箱だ

いちおう男女別になっている

実にシンプルである  いい湯だった

 

■盛岡駅前のホテルへ

国道103号線を戻る。

せっかくの大湯温泉郷を走っているのに暗くて町の様子がよく分からない。 

いつか昼間にたずねてみたいものだ。

午後6時15分、十和田ICから東北自動車道に入る。

8時05分、盛岡ICを降り、8時20分に盛岡駅前の東横イン到着。

 

今日は蔦温泉、酸ヶ湯温泉という老舗の名湯に入れたし、大鰐温泉の共同浴場へも寄り道し、

さらにアパート温泉にも入ることができた。大満足の270キロ走行だった。

 

夕食はちと奮発し、駅前の「ぴょんぴょん舎」で焼き肉&生ビールで乾杯。

午後8時を過ぎてはいたが酒も食事もできる盛岡の街だった。

 


 


 


937.三陸復興道路を疾走

2021-10-10 | 旅の空

■2021年9月29日(水) 旅の3日目

今日は長距離の移動となる。

福島、宮城、岩手、青森の4県をまたぐ約500キロのドライブだ。

三陸沿岸を縦断する高速道規格の復興道路を利用する。通行料金が無料なのがありがたい。

今日は目指す温泉はないけれど三陸沿岸の街を訪ねてみたい。

 

7:30 福島駅前のホテルを出発。天気は良い。

岩屋観音に立ち寄ったあと通勤車で混雑する4号線に入る。

福島飯坂ICで東北自動車道へ。

およそ1時間後に仙台南部道路から三陸復興道に入り、南三陸ICで下りる。

 

■南三陸町「さんさん商店街」

10:45に到着。

この周辺も護岸工事や公園整備が進んだ。

コロナ禍のせいで人が少ない。

商店街の裏に立って震災遺構となった旧防災庁舎を見る。

震災発生1年2ヶ月後の2012年5月、旧防災庁舎は傷跡も生々しい状態でたたずんでいた。

 

2012年5月  路面が波打ち水溜まりができている

2012年5月 別の角度から

 

2021年9月 周囲が盛り土され、鉄骨は綺麗にペンキ塗りされている

 

さんさん商店街

 

■気仙沼

朝ドラ「お帰りモネ」にたびたび登場する気仙沼大橋。

震災直後、大きな船が陸に上がっていたのを思い出す。

気仙沼大橋

2012年5月 一年以上経っても解体されずにいた

 

 

■大槌町

先ず、町の様子が一望できる大槌城趾公園に行く。

2012年8月、大槌町で3日間、奧さんとボランティア活動をした。

その際に宿泊施設として利用した大槌北小学校。その校舎は数年前に解体された。

被災後、臨時の商店街として建てられた2階建てのプレハブ棟。

コの字形に組み立てられたプレハブには食堂やボランティアセンターが入った。

昨年までプレハブ棟は残っていたのだが今回行ってみると、きれいに取り壊され、

平地になっていた。

あぁ~ホントに何もなくなってしまった。

その分、大槌駅は再建され、住宅もずいぶんと建ってきた。

遺構として残すかどうか議論が分かれていた旧大槌町役場は解体され、

慰霊のための木造小屋が建っている。県立大槌町病院跡は市民球場になっていた。

ともかく10年という時間の現実がある。

 

 

2012年5月被災後の大槌町 残ったのは頑丈だった建物だけ。だが、徐々にすべて解体された

2021年9月 今の大槌町

旧大槌町役場跡

三陸鉄道の大槌駅

 

 

 


    大槌町の2012年当時の記録

プレハブには多くの店が入居して賑やかだった。オバちゃんが焼き鳥定食を作っていた

ところが昨年2020年3月には焼き鳥の店などほとんどのテナントが退去していた。

プレハブの一角にボランティア活動の拠点「きらり駅」があった

リクルートの若手社員らと一緒にボランティア活動 右端のVサインの女性は看護師さん

旧大槌北小学校

教室で寝泊まりした

プレハブ棟はもうない  かつてここに集い、賑わったのが夢のようだ


 

 

■浄土ヶ浜

14時45分、浄土ヶ浜の駐車場に到着。

新潟ナンバーをつけたキャンピングカーのおじさんと駐車場係のおじさんが談笑している。

ここから浜まで700mほどの歩き。

透き通った海と島のコントラストが美しい。

 

 

 

 

■八戸のホテルへ

カーナビによると、ここ浄土ヶ浜から宿泊予定の東横イン八戸駅前まで2時間20分。

約140キロ先だ。

久慈あたりで復興道路は一部区間、一般道路に下りて走行する。

八戸近郊ですっかり暗くなってしまった。

あと数キロだというのになんだか寂しい山道だ。街らしい雰囲気がない。

 

そして18時30分、ホテルに到着。

今日一日の走行距離は490キロ。

東北4県を股にかけた走りだった割には高速区間が多かったせいで苦痛にはならなかった。

 

フロントで手続きを済ませ、散歩に八戸駅へいってみた。

驚くほど人が歩いていない。深夜かとおもうくらい寂しい駅のコンコース。

どうなってんのだろうかとホテルに戻って訊いてみると、「本八戸駅」のほうが賑やかな

なんだという。

吉永小百合の「大人の休日倶楽部」のポスターにもなった酒場の横町はそっちなんだとか。

確かに横浜だって新幹線の通る新横浜駅は横浜駅からすごく遠いものなぁ。

勉強になった。

夕食はホテルのサービスであるカレーライスで済ませた。経済的!!。

湯を沸かして持参したコーヒーを淹れる。

今日は一軒も温泉がなかったので明日に期待。

毎夜のルーティン、午後8時に家の奧さんに電話する。

早く寝よう。

 


 

 


 


936.食堂にも魚屋にもある温泉

2021-10-09 | 旅の空

今朝、バッテリー上がりのトラブルに見舞われたが、今日の天気のように気分は明るい。

バッテリー交換したらクルマも元気が出たらしく活発に動いている。

昼近くになってお腹が空いてきた。レストランやら牛丼店が眼にちらつくけど、

ここはあの食堂まで我慢だ。

 

 

 

■12時15分、食堂いやさかに到着(福島県矢吹町)

 

看板に「お食事 温泉処 いやさか」とある。

自宅から270キロ。おおきい店構えだ。

温泉処の3文字にいやでも気分が盛り上がってしまう。

 

席に案内され、メニューをみるといろいろな定食やら一品料理が並んでいる。

食堂といってもかつて割烹料理屋を経営してたかも・・と想うような品揃えだ。

地元のおばちゃん達や家族連れ、ドライバーの皆さん、美味そうに食べている。

巨大ワラジメンチが名物らしいが、食べきれる自信がないのでカニクリームコロッケ定食(935円)を

注文。これがなかなかに美味しかった。

 

 

食べ終わり、念のためレジの女性に訊いてみた。ここの温泉入れます?

はい、定食を食べた方は無料ではいれますよ。温泉だけの方は350円を頂いています。

そこからどうぞ上がってください。

よかったぁ、あの「へんな名湯」にかいてあるとおりだ。

つまり、定食にもう一品、デザート代わりの温泉が付いてるのだ。

  

    温泉のマークのイラスト = 935

 

 

ということで今旅で最初の温泉に入る。

内湯がふたつに露天風呂がひとつ。

塩ビパイプで内湯の浴槽にドバドバと湯が注がれている。

41~42度くらいだろうか、気持ちいい。

湯の底をみると薄い茶褐色をしているが手ですくってみると透明。

弱アルカリ性なのだろう、肌がツルツルする。

さっきまでおじさん二人いたが今はわたしひとりだけ。

露天風呂で手足を伸ばし、車中泊の疲れとバッテリートラブルの心労を癒やした。

 

 

 

■丸一魚店・富士の湯

食堂いやさかを出発し、国道4号を北上すること約50キロ。

滝桜で有名な三春町をこえて田村町へ。

探していた丸一魚屋(福島県田村市) は田園風景に溶け込むように建っていた。

コスモスが咲き、周りの田圃の稲穂は黄金色に輝いている。

店を覗くと、魚屋というより食料品など何でも置いてる雑貨屋さんだ。

 

あの~お風呂入りたいんですけど・・と声をかけると奥からおばちゃんが出てきた。

10回入ると無料で入れますよ、と説明を受けたあと、

こっちへどうぞと別棟の温泉棟へ案内された。普通の民家のようだ。

ちょうどおばあちゃん二人が帰るところに遭遇した。

ここの温泉はいいよ、腰がすごく良くなった・・と効能を教えてくれる。

地元にたくさんのファンがいるようだ。

そこを突き当たったら右が入り口、男、女って書いてあるからと、どこまでも親切。

        木の風呂桶のイラスト

小さな湯船がひとつ。

ここも私ひとり。独占湯だ。

湯に入ると直ぐに分かる。ふわりと包み込むような柔らかい湯なのだ。

体は正直だ、喜んでいるのが分かる。

気持ち良くてずっと入っていたくなる湯感だ。

なるほど、これなら地域の人に愛されるわけだ。小さな名湯と言っていい。

日本の温泉の広がりと底力を証明する温泉である。

窓を開けると小川の流れる山村風景が眼に飛び込んできた。

 

外へ出ると太陽が沈みかけていた。

火照った体に夕暮れのヒンヤリした空気が心地よい。

午後5時だ。ずいぶんと長居をしたようだ。

ありがとうございましたぁ、と店のおばちゃんに声をかけ出発。

 

 

 

 

 

 

■杉沢の大杉

さぁ、あとは福島のホテルへ向かうだけだ。

近くに聖石温泉「恵みの湯」をみかけたが、ちょっと荒廃している感じなのでパス。

田舎道を走っていたら「杉沢の大杉」(福島県二本松市)の案内板をみかけた。

この巨樹は数年前に訪ねたことがある。

思いがけず、大杉の案内板に遭遇し、そうか、このあたりだったのか、と懐かしむ気持ちが

足を向けさせた。

すでに薄暗い時間帯だったが何とか大杉と対面できた。

高さ50m、周囲22.6m、樹齢600年(1000年という説もある)の堂々たる巨樹である。

 

二本松市内から国道4号線に入る。

19時、東横イン福島駅前Ⅱに到着。ここまで自宅から375キロ。

 

 


 

 


 


935.東北縦断・名湯巡り旅

2021-10-08 | 旅の空

あれっ、どうしたんだぁこれは!!

スタートボタンを押してもメーター類が激しく点滅するだけで全くエンジンがかからない。

何度やっても同じだ。

う~ん、まいったなぁ。 

初めて遭遇する事態に頭が混乱する。

 

ここは東北自動車道・上河内SA。朝の8時。昨夜、ここで車中泊したのだ。

顔洗って、さぁ出発というとき、このトラブルに見舞われた。

結論から言うと「バッテリーあがり」だった。

昨夜、「ゴールデンスランバー」のDVDをみたのがいけなかったかも。

2時間半のドラマで電力を消費したのと長時間駐車で充電できなかったことが原因だろう。

先月の定期点検時にバッテリーが消耗してますねっていわれたのを思い出した。

 

保険会社の緊急連絡先に電話すると、40分ほどでレッカー車が駆けつけてきた。

職員さんは慣れた様子で小型バッテリーを取り付け、

ブースタースタートでエンジンがかかったときには心底ホッとした。

バッテリー早めに代えた方がいいですね、という忠告に従い次の西那須野ICで早々におり、

オートバックスで新品のバッテリーと交換した(約1万円)。

  いろいろな湯のれんのイラスト

さて、前置きが長くなってしまった。

東北の名湯、それもちょっと変わった名湯を訪ねるクルマ旅に出た。

振り返るとおおよそこんな感じだ。 

 


■期 間    2021年9月28日(月)~10月3日(日) 6泊7日

■総走行距離  2020キロ

■使用した高速 東名、東北自動車道、仙台南部道路、三陸復興道路(無料区間)

■泊まり    ホテル5泊、車中泊1泊

■入湯温泉   食堂いやさか・温泉(福島県)、丸一魚店・美山藤の湯(福島県)、
        蔦温泉(青森県)、酸ヶ湯温泉(青森県)、大鰐温泉・大湯会館(青森県)、
        大湯温泉・白山荘(秋田県)、新花巻温泉・蓬莱湯(岩手県)、
        鉛温泉・白猿の湯(岩手県)、西山荘(福島県)、湯ノ花温泉・石湯(福島県)
        鹿の湯共同浴場(栃木県)

                       行ってはみたが休館、閉館だった温泉どころ

         <休館中>会津みなみ温泉・里の湯(福島県)、老沢温泉旅館(福島県)
                        <廃  業>老松温泉(栃木県)

■主な訪問地  杉沢の大杉、岩屋観音、南三陸町さんさん商店街、気仙沼大橋、大槌町
        浄土ヶ浜、達窟窟毘沙門堂、五色沼、円蔵寺、遊行柳、境の明神
        アウシュビッツ平和博物館 

■ガイドブック  「929.へんな温泉本」でふれた2冊(「へんな名湯」)。


 

さてっと、これから旅の記憶と記録をもとにぽちぽち書いてみよう

 

              静かに温泉に入る人のイラスト(黙浴)

 


 

 

 

 

 

 


930.信州の夏休み

2021-08-17 | 旅の空

8月6日~8日、奧さんと信州へクルマ旅に出かけた。

目的地は栂池高原・自然園。そしてもうひとつが間山温泉である。

間山温泉はポンポコの湯とも呼ばれ、この4月にリニューアルオープンしたばかりという。

たのしみである。

 

■初日は車中泊

クルマに荷物を積んで自宅を出たのが5日の夜8時。

八王子から中央高速に入り、諏訪湖SA で車中泊。

これはもう私たち夫婦が信州へ旅するときの必須のパターンである。

諏訪湖SA に泊まってれば、たとえば上高地などへも、翌朝早く、出発することができる。

次の日が目一杯使える効率的な行動パターンなのだ。

奧さんは車中泊には慣れてるし、もともと、どこでも寝られるタイプの女性(ひと)なので

何の心配もない。

 

奧さんがトイレに行ってる間に、車内のシートを倒し、凸凹をタオルケットで埋め、

エアマットを敷いて寝床をつくる。いつも家で使ってる枕を並べる。

フロントガラスと両窓をカーテンで覆って完璧なベッドが完成。

こうしたアウトドア感覚は楽しいねぇ。

寒くなるかもしれないので念のため寝袋を広げておいたが、

軽自動車の車内は想ったよりも寒くはなくタオルケット一枚で充分だった。

 

■山と花に囲まれた栂池高原

朝五時に起き出す。

諏訪湖を霧がうっすらと覆っている。辺りを見渡すと車中泊らしきクルマが10数台もある。

トイレで顔を洗い歯を磨く。

今日は長野自動車道で信州中野IC まで行き、間山温泉でノンビリ過ごすつもりだ。

しかしふと、天気のことが頭に浮かび、

スマホで調べると明日の栂池高原は雲が多いことが分かった。

ならば天気のいい今日、栂池高原へ行ったほうが良かろう、ということで急遽予定変更。

 

朝の7時,安曇野ICで下り、大糸線沿いの国道147号を走る。

左に常念岳がよく見える。

窓を開け快晴の空気を吸う。気持のいい朝だ。

コンビニでサンドイッチとコーヒーを購入し朝食。

木崎湖、青木湖を横目で眺め白馬村に入る。白馬駅で小休止。

駅前から見るアルプスの山岳風景は迫力がある。

朝食になんとなく物足りなさを感じていた私は駅そばを探して構内を探したが見当たらない。

駅の近くに開けている蕎麦屋が眼に入り、さっそく天ぷら蕎麦を注文。

おいしかったぁ? とクルマから奧さんが顔を出す。

 

10時20分、栂池高原・ゴンドラ乗り場に到着。

駐車場(500円)にクルマを入れる。まぶしいほどの晴天だ。


ゴンドラ・ロープウェイの往復乗車券と自然園入園料を併せてひとり3700円。

ゴンドラに奧さんと乗り込む。なんだかウキウキとする。

設備が古いのか支柱を通過する度にガタガタとひどく揺れる。

 

 

きつい勾配をぐんぐん登り標高を稼いでいくと左手に白馬岳が見えてきた。

興奮して何度もスマホのシャッターを押しまくる。

撮っても撮っても感動の波が収まらない。

15分ほどで終点に着いた。

 

5分ほど歩いてゴンドラ乗り場へと向かう。

20分間隔の運転のようだ。家族連れや登山客がぼつぼつ集まり始めた。

乗客案内のおじさんが言う。

この一週間は全く山が見えなかったけど今日はよく晴れて見えてますね、皆さんついてますよ

 

 

自然園にはいろいろな植物の花が咲いていた。

チングルマ、ワタスゲは私でもわかるが花の名前はほとんど分からない。

そこでスマホの「Googleレンズ」の登場だ。

花を枠内に撮影すると花の候補が写真とともに出てくる。このアプリのお陰でいろんな花の

名前を調べることができた。

園内には湿原や川もあり多少のアップダウンもある。

木道の脇に風穴という場所があり、涼しい風がくるここで昼食のお弁当を広げる。

園内を一周したかったが寝不足の体力と次の長野駅前のホテルまで移動を考え、

浮島湿原でUターン。

 

栂池山荘まで戻ってきた。ソフト食べましょうか、奧さん。

山荘の前のベンチでソフトクリームを食べてひと息ついていると、

10名くらいの登山者たちがやってきた。

あんな所からよくきたよなぁ、とひとりの登山者がいう。

白馬岳の先に聳え立つ五竜岳のことのようだ。

 

駐車場に戻り、国道406号で長野市へと向かう。

途中、工事のため渋滞したが午後6時頃、長野駅前の相鉄ルネッサインホテルに到着。

夕食はホテル近くの居酒屋で済ます。

 

 

 

 

   (注) ルート図の「茶寮志もだ」が「相鉄フレッサイン長野東口」である

 

 

■旅の三日目 ~ ぽんぽこの湯で疲れを癒やす ~

相鉄フレッサインの朝食は1階のレストラン。

奧さん、朝からもりもりと食べている。和食の煮物が美味しい。

荷物をまとめ、先ずは善光寺にお参りだ。

 

 

 

お参りのあと、須坂長野東ICから長野自動車道に入り信州中野ICで下りる。

間山温泉にはなんども来ているので道は良く知っている。

山麓の中腹に建つ間山温泉。

10時ちょい過ぎに到着。入浴料450円。

 

リニューアルした食堂はメニューが洋食中心となっている。

そしてベランダが新たに造られ、眺望を楽しみながら寛げるスペースができていた。

これはいい。

肝心の風呂のほうは、特にいじっておらず内湯と小さな露天風呂も健在。

黒姫山、飯綱山そして青空を仰ぎながら入る露天風呂は開放感抜群だ。

間山温泉の最大の魅力はここにある。

 

 

露天風呂にどっぷりと浸かり、昨日の疲れを湯に溶け込ませていく。

畳み敷きの休憩室に戻り、奧さんと交代。

寝っ転がっているうちに眠くなってきた。昼食に蕎麦を食べたらなお眠くなった。

このあと小布施に行こうと思っていたが、このままだらだらとくつろいで過ごすことにした。

結局、間山温泉を出たのは5時間後の午後3時。

 

高速道路で一気に松本に向かう。

松本市の東横インに着いたのは午後5時。

東横インは10ポイント(泊)溜まると一泊無料(シングル料金相当)となる。

14ポイント溜まっているのでこれを利用し、ツイン宿泊料との差額3500円を払う。

かなりお得!。

 

ひと息ついて町へ繰り出す。

駅前通りでは一部を歩行者天国にし、両側に並ぶ居酒屋などイス、テーブルを出してビール、

焼き鳥などを提供している。

私たちもそのうちの一軒に足を止めビール、焼き鳥、ピザを注文。

注文取りのお兄さんは秋田県から来た大学生。

3年間このバイトをし市内の和装店に就職が内定したとか。

ご両親は郷里に戻ってくるだろうと想ってただろうにガッカリしたのでは・・と訊くと、

はいと頷いていた。

 

デザート買っていきましょうと奧さん。

コンビニでチーズケーキを購入。部屋でお湯を沸かしコーヒーを淹れる。

なんだか至極エコノミーな旅となっている。

 

 

■旅の4日目

今日は自宅へ帰るだけだ。

松本市内にはあちこちに湧水ポイントがある。実は水の都なのである。

そのうちのひとつ、源智の井戸で5リットルタンクに水を汲む。そして、

松本に来たら必ず寄る場所がある。「アガタの森」である。

旧制松本高校のあった場所だ。

 

その旧校舎から弦楽器の演奏が聞こえてきた。

窓の向こうに指揮者が見える。オーケストラのようだ。

松本は小澤征爾などが率いる音楽の町だし、今日は日曜日。

なるほどこんな場所で練習しているんだ。

ここは作家の北杜夫が青春時代を過ごした場所でもある。

大学で文学の講義をしてくれた古川先生は北杜夫と同期だったという話しを思い出した。

 

「アガタの森」の主は巨大なヒマラヤスギだ。すごい巨樹である。

太い幹を見上げると鶏卵ほどの大きさの実が枝から顔を出している。

我が家近くの公園にも大きなヒマヤラスギがあるが、この実が熟すとバラの花のような

形になる。時季が来ると落ちた実を拾いに行く。

そのまま飾っておけるくらい完成度の高い芸術作品である。

 

 

■松本民芸館

ここからそう遠くない距離にあることが分かったので「松本民芸館」に立ち寄ることにした。

民芸運動の父とも言われた柳宗悦と交流のあった丸山太郎(明治42年~昭和50年)によって

昭和37年に創設された。

自らが工芸家であり蒐集家でもあった丸山は没する2年前の昭和58年、陶磁器、染め織物、

箪笥、石像など約6800点の収蔵品と土地・建物の一切を松本市に寄付し、今日に至っている。

 

館内はとても落ち着いた雰囲気に満ちている。じっくりと家具調度品、壷、彫刻などを

みてまわる。

所々に活けてある花が品良く収まっている。

 

 

■そしてみたまの湯へ

日曜日の午前中、中央高速の上り線は空いている。

緊急事態宣言下なので休日割引の適用がないのは痛い。

いつものように甲府南ICで下り、みたまの湯へ(750円)。

こんな時期なのでわりと空いている。

 

お腹かが空いたので先ず昼食。ここのレストランは何を食べてもおいしい。

カツ重とホウトウを注文しシェアする。

夕方5時までノンビリ過ごし、帰路についた。

 

この4日間で走った距離は713キロ、夏空を満喫したクルマ旅であった。

 


 

 


926.デコ屋敷

2021-07-16 | 旅の空

 

■デコ屋敷

2021年7月1日(木)、福島・山形旅の最終日。

福島東横インホテルを9時10分発。

福島市街地を抜けると国道4号線の車は80キロで走っている。高速並みだ。

二本松市に入った辺りから雨が降ってきた。

関東は朝から雨のようだ。

県道28号線に入り、

10時45分、郡山市西田町のデコ屋敷に到着。

雨、小止み。

 

デコとは人形のことで、この辺りは三春駒と三春張子人形の発祥の土地である。

江戸時代からデコを作る工房が何軒も集まっているこの辺り一帯をデコ屋敷と呼んでいる。

そのうちの一軒、橋本広司民芸を訪ねた。

昔ながらの農家という風情。

 

どうぞ、どうぞ上がってみてください、と

家に招き入れた痩身の50才くらいの男性、この人が家主、工房の主人、橋本さんだ。

中に入ると所狭しとデコが並んでいる。全部、売り物のようだが・・

この型にぬれた紙を押しつけ、乾いたら外し、トノコを塗ってなめらかにし

彩色します・・・

そう訥訥と話すご主人、橋本さんの職人気質の真面目さが伝わってくる。

 

この辺りに面白いものを展示するところがあるらしいんですね

と、ミヤゲに小さなダルマを購入し、それとなく訊いてみた。

あぁ、それならこの道の先に「おいち屋」という茶店があるので、そこをまっすぐ

上がっていっくと彦春民芸があるのでそこできいてみてください

 

 

■デコ屋敷「道六館」

あぁ、ここだ、ここだ、やっと探し当てたデコ屋敷「道六館」。

入館するにはコインが要るのだがコイン販売機が故障中だ。

「彦治民芸」でコインを購入して・・と張り紙がしてある。

この店で400円を払ってコインを入手し、カチャリと機械に挿入する。

けっこう厳重な造りだ。

ここは珍スポット探検サイトで知ってたので機会あれば行ってみたいと思っていた。

 

結論から先に云ってしまえば、少々期待外れだった。

浮世絵の四十八手図などがあるがごくごく普通でインパクトがない。

部屋の中央に巨大な陽根が横たわり、またいでください・・とあるが

たとえば愛知県小牧市・田縣神社に奉納されている巨根などを見慣れてしまってるせいか

いささか感動が薄い。

期待外れではあったが、まっこれはこれでいいとしよう。

 

 

■須賀川市の乙字ケ滝

11時45分、デコ屋敷出発。

郡山市街地を抜け須賀川市へ。

まずは松尾芭蕉の記念館ともいうべき「風流のはじめ館」を訪ねる。

これで2回目だ。

書籍コーナーで「芭蕉という修羅」(嵐山光三郎著)をメモする。

13時30分、芭蕉も訪ねた名勝・乙字ケ滝に到着。

雨だったせいで水量が多い。

流れが速く迫力がある。

2019年10月の台風19号阿武隈川が氾濫し、滝見不動堂が破壊されてしまった。

去年の6月に訪ねた際には骨組みしか残っておらず燈篭も倒れたままの無残な姿だった。

今日、訪ねてみると見事に再建されていた。

 

2020年6月の様子

2021年6月の様子

 

■矢吹33観音へ

13時50分、乙字ケ滝出発。曇り、気温23度。

14時30分、矢吹33観音に到着。

雨強くなる。

さぁ、あとは自宅まで一気に帰るだけだ。

ここまで760キロ走破。

あと300キロくらいか。

 


 

 

 

 


 

 


925.温泉旅はつづく

2021-07-14 | 旅の空

 

■福島・山形旅はつづく

昨日は温泉入りまくりの一日だった。

姥湯温泉に始まって赤湯温泉の共同浴場3箇所、上山温泉では共同浴場の下大湯

そして寒河江市民浴場の計6箇所の温泉を堪能した。

この日の締めはホテル直結の日帰り温泉施設「ゆ~チェリー寒河江温泉」。

ここで三つの異なる源泉を楽しんだ。

ということは昨日は全部で7箇所に入湯したということになる。

よくぞ入りまくったものだ。

 

「ゆ~チェリー寒河江温泉」は内湯が二つ、露天がひとつある。

それぞれ源泉が異なるのが特徴。

ホテルの宿泊客は無料で入れるし、日帰り入浴客は入浴料350円。格安!!。

眼下に最上川を見る露天風呂が気持ちいい。

ほてった体を川風に冷ましてもらう。

みると昨年の豪雨で氾濫した最上川右岸では護岸工事の真っ最中だ。

ホテル側の左岸は無事だったのは幸いだった。

 

■慈恩寺

6時半に目覚め、先ずは朝風呂へ。

朝7時にホテル一階のレストランで食事。客は少ない。

ずんだ餅がうまい

 

ホテル近くのJA直売所でミヤゲ用のサクランボを購入し、9時20分ホテルを出発。

先ずはいつものように慈恩寺へ。

実は夜間のライトアップを楽しみにしてたのだが土曜日だけのイベントだった。

よく調べておけば良かったが後の祭り。残念。

 

入館料900円を払って堂内へ入り、仏像を拝観。あわせて隣のお堂の十二神将像も拝観する。

ついでに「慈恩寺テラス」(無料)にも行った。

ここは寒河江市がこの5月1日にオープンしたばかりホヤホヤ。

慈恩寺の歴史文化、仏教美術を後世に伝える施設である。これが実によくできている。

客席をグルリと囲む240度の円形ワイドスクリーンの映像が美しい。

鳥になって慈恩寺を空から見ているような錯覚を覚える。

館内にはレストランも併設されている。

 慈恩寺テラス

慈恩寺テラスのパンフから

 

 

 

■長命水を汲む

NHK・BSPの人気番組、火野正平の「こころの風景」。

視聴者からの思い出の地を自転車で訪ねる番組である。

6月23日の放送は山形・寒河江の旅で、葉山市民荘という山中からのスタートだった。

その市民荘の前に湧き水があり、火野正平が一口飲んで美味い!、といった「長命水」。

私が出発する一週間前の放送でもあり、旅のついでにこれを汲んでこようと思い、

20リットルタンク用意してきた。

 

慈恩寺から県道286号線(田代白岩線)に入る。

どんどん林道を上っていくのだが、なかなかたどり着けない。

初めはサクランボ農家のハウスが見られたが次第に鬱蒼とした山林に変わってきた。そして、

なんと17キロも山中に入り込んだ先、やっと葉山市民荘が現れた。こんな山深い所まで、

「こころの風景」の火野正平、スタツフはよくきたもんだなと感心する。

ハルゼミが鳴いている。

カッコウの声もする。

人工的な音は何もない。

森林の匂いがする。

自然の呼気がもたらす空気に満たされている。

火野正平が飲んだ長命水は直ぐに見つかった。たしかに柔らかい飲み味の湧水だ。

ありがたく20リットルタンクに汲ませていただいた。

 

葉山市民荘

 

■りんご温泉と大沼の浮島

287号線に戻り、12時50分、道の駅・あさひまちりんごの森で昼食。

陽射しが強くなってきた。

リンゴ温泉の立て看板が何カ所かあった。気持ちが傾く。

りんご温泉はだいぶまえだが入ったことがある。

 

露天風呂をめざしたが残念なことに週末だけ開けてるとのこと。料金300円。

文字通り、リンゴが10個ほど湯船に浮いている。

しかし、それよりもなによりも温泉固有の臭気が強い。

石油のような鼻をつく匂いでモール泉特有の臭気とか。

換気したいところだが窓が開かない。

やはり露天風呂がいい。

 

 

■大沼の浮島

リンゴ温泉の受付のおばちゃんに訊くと、大沼の浮島まではさほど遠くないようだ。

国指定の名勝だそうだから、せっかく近くまで来ているので立ち寄ることにした。

林道を13キロ走って駐車場に到着。ポツポツと観光客もいる。

 

浮嶋稲荷神社の脇の階段を下っていくと朱い橋が見えてきた。沼の水面が顔をだした。

30分もあれば沼を一周できる。写真を撮りながらノンビリ周遊した。

今夜は、おととい泊まった東横インを再予約してあるので余裕で行動できる。

沼にいくつも島が浮遊する神秘の沼として古来から注目され、山岳修験者によって

開山された。

島は30センチ~3メートルの者まで大小30ほどあるという。

尾瀬が原の浮島と同じものなのだろう。

 

浮嶋稲荷神社

ブナ

 

■赤湯温泉元湯に再挑戦

午後5時20分、南陽市の赤湯温泉に戻ってきた。

一昨日は定休日で入れなかった赤湯温泉元湯が今日は開いていた。

料金200円。ここだけ100円高い。

湯船は2階にある。大小二つの浴槽。森の源泉、川の源泉がそれぞれ流れ込んでいる。

糸状の湯ノ花がゆらめいている。気持ちのいい温泉だ。

これで赤湯の共同浴場4つをすべてめぐり終えた。

午後5時50分、赤湯温泉を出発。

ここまで自宅からちょうど600キロ。

 

 

 

■飯坂温泉・鯖湖湯

 

赤湯の深沼ICから東北中央自動車道に入る。

知らなかったのだが米沢北IC~福島大笹生ICの間は無料区間となっている。

これはありがたい。地方の高速道路でもときどきある措置だ。

約40キロほどの区間を快適に走り、福島大笹生ICで下りて飯坂温泉の鯖湖湯を目指す。

鯖湖湯は松尾芭蕉も入った温泉である。午後6時50分到着。

 

料金200円。入浴券を受付のおばちゃんに渡して中へ。

先客は地元のおじさん3人。

体を洗って湯船に脚を入れたが、アッチチだ。

熱すぎてとてもじゃないが5秒も入れない。我慢して入れるレベルではない。

下手したらやけどしそうな熱さだ。

でも慣れというのはおそろしいもので地元の人は肩まで浸かって悠々としている。

 

右往左往している姿をみかねて、おじさんが水入れてもいいよと云ってくれた。

湯船の縁に腰掛け、足だけ浸かり、周りにホースで水を入れてみた。

しかし、流れ込む熱い湯の方が水を圧倒してまったく歯がたたない。

ついに諦め、かけ湯で我慢することにした。

 

帰り際、受付のおばちゃんに熱かったぁというと、

  そうなんだよね、わたし飯坂の生まれじゃないんだけど

    ここの温泉は熱くてねぇ、足湯でやけどしちゃったもん

やっぱりそうなんだぁ、と納得。

 

午後7時45分、福島駅前東横インⅡに到着。

チェックインを済ませ福島駅前の餃子会館へ。

会館といっても夫婦二人で営む小さな店で、自家製麺のラーメンと手作り餃子が売り。

生ビール、餃子、ラーメンで今日を締めくくった。

 

 



 


924.温泉ついでに石仏めぐり

2021-07-09 | 旅の空

 

今回の福島・山形の旅で訪ねた石仏群ふたつ。

■驚きの岩屋観音

福島に行ったら必ず立ち寄る岩屋観音

福島駅から車で10分ほど、信夫山の中腹にある。

磨崖仏の一種なのだが、とにかく岩質がとてももろいので風化のスピードも速い。

 

今回とんでもないことを眼にすることになった。

なんと観音様のお顔がそっくり剥がれ落ちてたのだ。

地面まで2メートルくらいあるのに割れもせず、さながらお面のように落ちていた。

割れなかったのは奇跡としかいいようがない。

 

夕刻の午後5時半だが、多分、剥がれ落ちて間もなかったのではないか。

雨が降ってるし散歩する人もいなかったので私が第一発見者だっただろう。

とりあえずお顔をひろいあげて立てかけた。

風化が進み、いずれ見られなくなるかもしれないとは想ってはいたものの現実のものとなって

いささかショックではある。

翌日、福島市教育委員会へ状況を伝えた。さっそく現地に行ってみるとのことだった。

 

 

 

2021年6月30日 お顔が剥がれた     7年前の様子 2014年6月13日

 

 

地面に・・

 

 

■いつもの三十三観音磨崖仏群(福島県矢吹町)

この磨崖仏もどこか心惹かれるものがある。

矢吹町の国道4号線を曲がれば5分ほどの距離である。

川幅は20メートルくらいだろうか、隈戸川の流れはゆったりとしている。

右岸の岩壁に彫られた仏さんたち。いい表情をしている。

岩質は花崗岩のようなので岩屋観音のような風化はそれほど進んではいない。

訪ねる度に穏やかな心持ちにしてくれる空間である。

 

 


 

 

 


923.山形の共同浴場めぐり

2021-07-08 | 旅の空

 

姥湯温泉

 

午前11時半、楽しかった姥湯温泉を出発。

来た道を戻る。

Z字のカーブがあったり、けっこう急勾配な林道だったことに改めて気づく。

滑川温泉・福島屋への分岐点で、一瞬、どうしようか、入ろうか、どうか迷った。

けっきょく寒河江までの長い道中を考えパスすることにした。

 

この滑川温泉には立ち寄ったことがある。調べると4年前の6月だ。

たしか若い夫婦が切り盛りしていて、館内は湯治宿らしい雰囲気を残していた。

渓流沿いに大きな露天風呂があるらしいのだが、そのときは女性専用タイムだったため

別の小さな露天風呂で我慢した記憶がある。

そのときの写真を引っ張り出してみた。

 

福島屋の玄関

館内は清潔である

湯治場の定番、料金を入れてガスを使う

気持ちのいい内湯

小さい方の露天風呂

あいにくの雨だったが入湯した

 

奥羽本線・峠駅前の分岐点から板谷峠を越え、米沢街道(県道232号)へ入る。

この辺りは風が強いのだろう、風力発電施設が何基も建っていて巨大な羽根が

ブンブンと回転している。なんだかずいぶんと景観を壊している気がする。

米沢街道はいかにも田舎の道という風情で少々さびしい。

大澤宿跡があり、往時は行き交う旅人で賑わったことだろう。

 

旧大沢駅のホームは夏草が生い茂り、わびしさがいっそう募る。

米沢街道はずいぶんと山奥の道筋なのだが笠松鉱泉の看板があった。

こんな奥深い所まで入りに来る人がいるのだろうかといぶかしく思ったりもしたが、

建物や庭が荒れてる感じからして、どうやら営業はしてないようだった。

 

 

大澤宿跡

 

■奥羽本線・峠駅

奥羽本線・峠駅はちょっとユニークな駅舎だ。

写真の案内表示にあるように、この分岐点を600mほど下ると駅前に到着する。

駅といっても、かなり山深く、周りは名物の力餅を食べさせてくれる家が一軒あるのみ。

この駅を利用するのは、この餅屋さんと姥湯温泉、滑川温泉の三軒くらいではないか。

 

ちょっと変わってるのはトンネル状の建屋内に駅があることだ。

そこへ続く構内道路が大きな建物で覆われているのは、ここが豪雪地帯のせいだろう。

なんだかユニークな雰囲気のある構内でもある。

帰り際、警報器が鳴ったので振り向くと、山形新幹線がちょうど通過していった。

 

峠駅はここを600mほど下る

駅前には一軒家が

この先が峠駅

下り方向の様子

山形新幹線が通過した

このチラシのとおりホントにクマが飛び出てきた

 

 

 

南陽市・赤湯温泉の共同浴場

米沢市郊外を抜けて南陽市・赤湯温泉に着いたのは午後2時。

さっそく公衆浴場・赤湯元湯をさがす。

そもそも赤湯を目指すきっかけは赤旗・日曜版の「たび」コーナーの記事(2021.2.21号)だ。

同紙に出ていた地図を頼りに探したのだがなかなか見つからない。

街の中心街は電柱を無くして地下化してあり、とてもすっきりした町並みである。

 

行ったり来たりしながらやっと赤湯元湯に着いた。

ところが、なんということか水曜日は定休日とある。

気を取り直して他の三つの浴場を目指した。

 

烏帽子の湯、あずま湯、とわの湯 と立て続けに入湯。

入浴料はいずれも格安の100円。

自動販売機で券を買って受付のおじさんに渡す。時節柄、体温測定がある。

湯は透明でやや熱めである。

あずま湯で温泉めぐりマップをもらったのだがちょっと地図が分かりずらい。

イラストマップにしたらいいかもしれない。

最後に入ったとわの湯が窓も大きく広々して明るい印象だった。

 

 

 

せっかく電柱無くして綺麗にしたんだから赤湯温泉をもっとアピールする町作りを

する必要があるんじゃないかねぇ。

温泉町らしい風情をもっと全面に出す工夫が欲しいね。

湯から上がった地元のお父さんんが少々不満げに話してるのが聞こえた。

 

 

   

   

 

 

■上山温泉・下大湯公衆浴場

国道13号線に戻り、さらに北上する。

バイパス道路が整備されていて気持ち良いドライブができる。

上山市の郊外に超高層建築物が建っている。たぶんマンションなのだろうが、なんで

こんな場所に? と疑問に思うほど周囲と不釣り合いなのだ。

今度誰かに訊いて確認してみようと、思いつつ今回も忘れてしまった。

 

上山市を通るのであれば、

いつも立ち寄る下大湯公衆浴場にいってみよう、ということになるのはごく自然な話し。

勝手知った駐車場に駐めてサンダルに履き替え、目の前の公衆浴場へと歩き出す。

この木造の建物も年月を重ねて風情がある。

入浴料は150円。いつ来ても地元の常連さんでいっぱい。

 

 

湯船は二つあるのだが大きい方は熱くてとてもじゃないがはいれない。

(熱くて入れないのは福島県飯坂温泉の鯖子湯も同じ。やけどしそうだ)

16時10分、出発。

国道13号線をさらに北上し、山形市街から寒河江市に通じる112号線に入る。

 

■寒河江市民浴場

今日の宿泊は山形県寒河江市のチェリーパークホテル

ここ数年、定宿にしているホテルである。

宿泊客は隣の日帰り温泉施設「ゆ~チェリー」を無料で利用できる。

なので寒河江市民浴場の看板がホテル近くに立っていてもまったく気にしていなかったの

だが、今回は気が変わって立ち寄ってみることにした。

料金は200円。

浴室は比較的ひろい。こげ茶色の熱めの湯が二つの湯船にあふれていた。

この湯の色はゆ~チェリーと同じだ。

場所が近いから同じ泉脈なのだろう。

 

 

■チェリーパークホテル

17時20分、チェリーパークホテルに到着。自宅から480Km。

今日は温泉三昧のいち日だった。

姥湯温泉、下湯温泉公衆浴場、赤湯温泉共同浴場の3ケ所そして寒河江温泉の市民浴場。

なんと六カ所も入ってしまった。といってもとくに湯疲れとかはない。

今夜はホテル隣のゆ~チェリーで源泉の異なる三つの湯を楽しもう。                                              

 

 チェリーパークホテル  左の建物が日帰り温泉「ゆ~チェリー」


 


 


922-2.秘湯満喫

2021-07-06 | 旅の空

 

姥湯温泉にいる。

福島県米沢市が誇る秘湯中の秘湯である。

今日は2021年6月30日、水曜日。時刻は10時50分。天気は晴れ。

福島駅前のホテルを出発したのが午前7時40分。

 

国道13号線から脇道に入り、奥羽本線・峠駅前を経由して奥深い林道を走る。

目の前の林道にいきなり飛び出してきたクマに驚いたり、

ブナ林全体から春セミのジージーという鳴き声を聞きながら林道運転を楽しむ。

そして道のどん詰まりに姥湯温泉・枡形屋の駐車場がやっと現れた。

ここまで自宅から380Km。

 

姥湯温泉までここから林道を8Km

姥湯温泉まであと3Kmほど

ここが姥湯温泉・枡形屋専用の駐車場

枡形屋の建物が見えてきた

 

目の前には荒々しい岩肌の断崖が立ちはだかり、

宿が斜面にへばりつくように建っている。

600円の入湯料を払って露天風呂へと向かう。

露天は女性専用と混浴の計3箇所。いちばん奥の露天風呂が広い。

 

わたし宮城(県)なのでここへはよく入りに来るんですよ。

きれいですよ。これからそっちの女性専用の露天に入ってきます。

 

湯上がりのさっぱりした顔でおばちゃんが云う。

脱衣所の前に乳白色の露天風呂。掛け流しの硫黄泉だ。

大自然の猛々しい景色を見ながら乳白色の湯に体を沈めると

熱い温泉がじわりと全身を包み込む。

硫黄の微粒子(コロイド)が豊富に溶け込んでいる。

気持ちいいことこの上ない。

青い空と雲の白さが目にしみる。

客はわたし独りだし気分が盛り上がる。

携帯と一眼レフで目の前の絶景写真を撮りまくる。

 

そうこうしてるうち板塀で囲まれた隣の露天風呂に客が来た。

声からすると若い男女のようだ。

さらにおじさんたち3人やってきて急に賑やかになってきた。

独り時間はそう長くは続かなかったが十二分に満足できた。

 

着替えながらなにげに目をやると、

板塀の隙間から見えてしまった・・桜色のおっぱいが・・

云っておくが、見たのではなく見えたのである。

どうもごちそうさまでした。

 

 

 

湯上がりは実にさっぱりした感じ。サラリとしている。

さて、次は南陽市・赤湯温泉の共同浴場めぐりだ。

4箇所もあるというので全部入っちゃうつもりだ。

 


 


894.とちぎの宝・医王寺の仏像

2020-11-11 | 旅の空

いま通ってる道を例幣使(れいへいし)街道といいます。
ご存知かと思いますが、例幣使街道とは何か少しお話をいたします。

江戸時代、朝廷は伊勢神宮や日光東照宮に供え物を納める勅使を毎年派遣しました。これらの人々を例幣使といい、彼らが利用した道のことを例幣使街道とよんでおります。
京の朝廷を出発した例幣使は中山道に入り、現在の群馬県高崎市の倉賀野宿で中山道と分かれ、下野国、現在の栃木県・鹿沼市の楡木宿で日光街道に合流します。地元では鹿沼市から日光市までの国道121号線のことを例幣使街道と呼んでいます。

日光東照宮に派遣される例幣使は公家の人々で、この制度は正保3年、1646年から慶応3年、1867年までの221年間、一回も中止することなく続けられたそうです。
一行は50~70人ほどの集団で、毎年4月1日に京都を出発し、中山道・例幣使街道を通り、4月15日に日光に到着しました。そして16日に持参した供え物を納め、帰りは宇都宮、江戸を経由し東海道で京都に帰るのが一般的でした。

  

 

■医王寺の宝

2020年11月8日(月)。
栃木県鹿沼市の医王寺にやってきた。「医王寺の至宝展」の薬師如来像を拝観するためである。

朝、横浜駅を湘南新宿ラインで出発し、2時間半後に宇都宮駅到着。
日光線に乗り換え二駅目の鹿沼駅に着いたのが午前11時半。
出迎えの鹿沼市役所の職員さんに案内されてシャトルバスに乗車。
乗客は客は6人。先ほどの職員さんも同乗し、医王寺までの道中、例幣使街道などの解説をしてくれた。

後日、例幣使のことをいろいろ調べていると、この連中の悪行の実態が見えてきた。金品をたかる「ゆすり」の語源となっているのには驚いた。乗っている駕籠をわざと揺らして金品をゆすり取るのが常習化していたという。
あきれた公家とその取り巻き連中である。

 

そういえば今回の鉄道旅で初めてジパングを使った。乗車券が3割引となる。

 
下りの車中はガラガラ シュウマイ弁当を食べながらのんびりと過ごす

   


医王寺仁王門


医王寺金堂

 

仁王門をくぐり金堂へ。今日が企画展の最終日なので人の姿が多い。
初めに目に飛び込んできたのが弥勒菩薩座像(鎌倉時代)。
高さは60センチほどの仏像だ。優しい表情が心を和ませる。
次いで、お目当ての薬師如来(83センチ)と月光菩薩、日光菩薩(いずれも鎌倉時代)の3像を拝観。
薬師如来の螺髪(ラホツ)の青みは今でもしっとりと輝き、日光(110センチ)、月光(107センチ)の両脇侍像の表情がとても柔和なのが印象的。
おもわず両手を合わせ、孫達の幸せをお願いした。
そしてもう一体、このお寺で一番古い仏像が十一面観音菩薩立像(平安時代)。
カヤ材の一木造りの像(146センチ)。地味な仏像だがこのお寺にはしっくりくる仏像だ。

奈良時代の創建と伝える医王寺の仏像はこの地域の人々の信仰によって守り伝えられてきた歴史でもある。思い返せば、滋賀県長浜に残る仏像も地域の人たちで守り、継承されている。信仰心篤き地域人の善意がありがたい。


左から月光菩薩、薬師如来、日光菩薩(企画展冊子から)

弥勒菩薩座像(企画展冊子から)

十一面観音菩薩立像(企画展冊子から)

 

 
講堂が第2会場 古地図、古文書等が展示  このバスに往復乗せてもらった

 

■宇都宮ギョウザ

医王寺から鹿沼駅までの復路もバスで送ってもらい、日光線に乗り込む。
せっかく宇都宮にきたのだから名物のギョウザを食べて帰らなきゃ。
宇都宮駅の観光案内所でどこか近くでギョウザ店はないかと訊くと、駅ビルの店を教えてくれた。有名な店だそうだ。
これとは別の店だが家でネット検索し、念のため地図も印刷してきた。

その宇都宮餃子会館という店に入る。ギョウザ一皿とグラスビールを注文。今日は暖かい一日だったし、長時間の移動で少々つかれた。
ビールを一口飲みギョウザを頬張る。皮が薄く肉汁がこぼれる。
あっという間に6個を平らげてしまった。我が家でつくるギョウザの味に慣れてしまっているせいか、想ったより味の印象は薄い。

 
 わりとアッサリ味の餃子        宇都宮駅前に建つ餃子像

 

 

よし、次の店だ。
たしか元祖肉汁餃子の店「ダンダン酒場」という店だ。一人でもふらりと入れる店らしい。プリンターで印刷したgoogle地図を片手に駅ビルを出て歩き出す。駅の東口を線路沿いに歩いて行けばいい。そう遠くないはずだ。
楽しみが足取りを軽くする。

でも、なんかおかしい。
地図上ではどう見ても5分くらいの距離なのに、立体駐車場やマンションばかり。居酒屋がある雰囲気ではない。よっぽど歩いてる人に訊こうかとも思ったのだが、スマホで調べ、経路案内させることにした。

住所を入力しようとして地図をよくよく見た瞬間、アッと目が点になった。
そこには埼玉県大宮と書いてあったのだ!!!。
あぁ、なんということだ!!
宇都宮と大宮を混同して検索してたのだ。ばかだねぇ~。大チョンボだ。
なんだかガックリと疲れてしまい餃子はもうどうでもよくなった。
トボトボ宇都宮駅まで引き返したものの中途半端なお腹具合だ。
結局、駅構内で目に入った「かき揚げ天蕎麦」でお腹を満たした。
思い返せば鎌倉国宝館でも神奈川県立歴史博物館でも蕎麦だったなぁ。

16時38分発の湘南新宿ラインに乗車。横浜には19時頃到着の予定だ。

  

■オマケにチョンボをもうひとつ

この夏、山梨県の「みたまの湯」のでのこと。
入り口で靴を脱ぎ、下駄箱へしまう。100円玉を入れて鍵を閉めるやつだ。
ところがお金を入れ鍵を回しても閉まらない。別の下駄箱でも同じだ。
3つ目の下駄箱も閉まらないので、これって壊れてるんじゃないの・・と職員さんに来てもらった。
はぁ~、確かに閉まりませんねぇ、ちょっと待ってください、と職員さんが取り出した100円玉は・・・50円玉だった。
これじゃ何度やっても閉まるわけないよね。
下駄箱が壊れたんじゃなくてこっちの頭のほうが壊れてたっていうオチ。


 

 

 

 


892.福島・磨崖仏めぐり(3)

2020-10-17 | 旅の空

旅の3日目。
7時、目が覚める。窓の外は小雨だ。
ロビーでサンドイッチとコーヒーの軽い朝食をとり、8時10分ホテル出発。

今日中に家に帰りたいので、寄り道先を絞ることにした。
何度も来てるので福島駅周辺の道にはすっかり詳しくなった。
難なく4号線の上り線に入る。
あれほど多かった車も市郊外までくるとぐっと少なくなった。
車間を空け70~80キロで走行する。これが地方国道の良さというもの。
郡山市内で4号線と別れ国道49号線へ。雨止まない。

■大供三十三観音(福島県郡山市)

この場所がなかなか分からず難儀した。カーナビで指している場所への入り口が見つからない。スマホで検索し、やっと場所が特定できた。もう少し案内板などを整備してくれるとありがたいのだが・・。

小さな集落の脇道へ入り、川と険しい崖に挟まれた薄暗い細い農道を下って行くと田圃が広がった。時間は10時。福島市からここまで約60キロ。
向かいから傘を差して犬の散歩に来たおじさんに大供観音のことを尋ねると、すぐそこだという。通り過ごしてきた場所だ。
車を置いて歩いて戻ってみると、薄暗くて分からなかったが、よくよく見れば崖に彫られた観音像が確かにみえる。

ひとつひとつは小さな観音像だ。木立が周りを暗くし、おまけに雨とあって陰鬱で表情がよく見えない。ここは望遠レンズの番だ。
傘を差しながら重いカメラを操作するのも楽じゃない。

大悲山石仏と違い、大供磨崖仏は岩肌に平面的に彫られている。
安永2年(1773年)に大供村の庄屋が当時流行していた疫病の退治、死者の冥福、健康安全祈願のため西国三十三観音を刻んだものだという。

 


この道の左側に磨崖仏がある 右側は川 

 

 

■和田大仏(福島県須賀川市)

大供三十三観音での滞在時間は15分。
雨足が強くなってきたので早々に退散にした。そして、
今回の旅、最後の目的地、須賀川市の和田大仏に着いたのが10時40分。
大供観音から約13キロの地点だ。
左右に杉の巨木を従えた石段を上ると磨崖仏が目に飛び込んできた。
これだ、これだ、和田大仏だ。



大仏というから大きい姿を想像していたが、意外とちいさい。
和田大仏は横穴古墳群の崖面に彫った鎌倉時代の磨崖仏、高さ3.6メートルの大日如来座像。伝説によると大同3年(808年)、弘法大師が彫ったと伝えられている。無粋だが、これもよくある大師伝説のひとつかもしれない。
※弘法大師は806年、留学先の唐から帰国して太宰府に留まり、809年、平安京への入国が許可
 されている。


大仏の胸の部分から腹にかけて大きく削れている。
地肌が露出し、痛々しい姿である。
これは昔、乳不足の女性が大仏の乳部を削って飲むと母乳の出が良くなるとの民間信仰から。それだけ当時の人々の暮らしと密接なかかわりのあった磨崖仏だったといえる。
  ※乳不足のためイチョウの垂乳根を削って煎じて飲むという風習も各地にある。

一方、大仏の周りに彫られているたくさんの横穴古墳。少し不気味な感じもするこれらの横穴は、阿武隈川流域を支配していた豪族の墓跡といわれている。これを見て四国八十八霊場・71番札所、弥谷寺(いやだにじ)の横穴を想い出した。その横穴も死者を葬ったものだと伝えられている。



巨大杉の奥に鎮座する和田大仏


横から見た和田大仏


横穴古墳跡


四国八十八霊場71番札所 弥谷寺の横穴 (2015年4月8日)

 

 

■旅の終い

今朝のホテルでのことだ。
トイレに入っていたとき、テレビで須賀川市内に○○館がオープン、と云っていた。キンモクセイの大木があって和風の建物らしい。
音声しか訊いてないので詳しいことは分からないが、興味が湧いた。

まずは「松尾芭蕉記念館」を訪ねて詳細はそこで訊いてみることにした。
何かヒントがもらえるはずだ。

実は今年6月この松尾芭蕉記念館に立ち寄っている。
松尾芭蕉の直筆など貴重な資料が豊富に展示してあることにまず驚いた。
松尾芭蕉に随行した曽良の日記によると、芭蕉は相良等躬など須賀川の俳人らと歌仙を巻き、なんと8日間も須賀川で過ごしている。
それだけに須賀川市の奥の細道・松尾芭蕉に対する思い入れは大きい。

和田大仏を出発。
およそ5キロで須賀川市内だ。ところが以前あった場所に「松尾芭蕉記念館」が見当たらない。
うろうろしていたら須賀川市役所に迷い込んでしまった。今日は日曜日で閉庁だろうが誰かいるだろうと思い玄関から須賀川市役所に入った。
宿直の職員さんに訊いたところ、今朝のテレビでやっていた施設のことがやっと分かった。

「松尾芭蕉記念館」が「須賀川風流のはじめ館」として生まれ変わってオープンしたんだとか。以前あった場所から道を挟んで真ん前に新しくできた和風の建物がそれなんだ、と地図まで書いておしえてくれた。

さっそく「須賀川風流のはじめ館」の真新しい館内に入ってみた(無料)。
オープンギャラリーでは10人ほどの客を前にモンペ姿の女性が昔話しを熱演中だ。「文化伝承の間」。ここには松尾芭蕉ゆかりの資料が豊富に展示されている。奥の細道の紹介ビデオも美しい映像だ。
和風の素敵な建物である。

 


できたての「須賀川風流のはじめ館」   雨が止まない



このあと市民交流センター(tette)にも足を運んだ。そして、この建物も斬新な設計だった。
館内は縦長の広い空間が確保され、床面がなんと丘のようになだらかな曲面で傾斜している。踏みしめる足に広場を感覚させる仕組みなのだ。
こんなオープンスペースはみたことがない。

1階は図書館スペースでゆったりくつろげる。小さなブースが点在し、小物やアクセサリー、服飾などを販売している。コーヒーショップもある。
とにかくおしゃれな空間に満ちていることにびっくりしてしまった。
須賀川市、なかなかやるじゃん、と脱帽。
そういえばさっき行った須賀川市役所も新しく建てたらしくピカピカの庁舎だった。1階の広々とした空間デザインは市民交流センター(tette)同様にお洒落れなセンスを感じさせた。ひょっとしたら同じ設計事務所・デザイナーなのかもしれない。

市民交流センター(tette)の5階には特撮映画で有名な故・円谷英二監督のコーナーがある。
なぜかというと、円谷監督は、須賀川の生んだ英雄・偉人の一人であるからなのだ。交流センターの隣に生誕の碑が建っているほどだ。
コーナーにはゴジラの模型が展示され撮影方法の解説やら、すごく充実した展示施設である。一見の価値ありだ。

 


市民交流センターtette

 

12時30分、須賀川を出発。中華の幸楽苑で昼食。国道4号を走る。
13時30分、東北自動車道・矢吹IC入る。
16時、浦和料金所通過。

想ったより風雨がない。台風、関東からそれたようだ。
川口JCから首都高・湾岸線を使って17時30分、自宅到着。
2020.10.8~10の3日間の総走行距離 815キロ。
1日目 自宅 → 中郷SA    228キロ
2日目 中郷SA →福島市ホテル 222キロ
3日目 福島市ホテル →自宅  365キロ

 

 


 

 


891.福島・磨崖仏めぐり(2)

2020-10-16 | 旅の空

大悲山の石仏と別れ、次に向かったのが百尺観音(相馬市)。
15キロほど先だ。急ぐ旅ではないのでのんびり走る。

ところで昨夜は常磐自動車道・中郷SAで車中泊だった。
自宅を午前10時に出発し、雨中の湾岸線を走り、四ツ木で降りてあとはひたすら国道6号線を北上。
取手、牛久、石岡を過ぎ午後3時、小美玉市の「四季健康館」の湯で一息いれる。ここは市役所の支所と併設されてる珍しい温泉施設だ(630円)。ここまで150キロを記録。雨は一度も止まない。



日立中央ICから常磐自動車道に入り、午後7時、車中泊を予定していた中郷SAに到着。雨止まず。
ここのレストランは午後7時に閉店。随分早い店じまいだ。翌日分かったのだが、ひとつ先の関本PAでは24時間営業のファミリーマートがあった(こっちに泊まるのもありだったかも)。
シートを倒し凸凹をタオルケットでならし、エアマットを敷いて寝袋を広げる。いつもどおり枕も持ってきた。これで寝る体制は万全。

雨のSAは寂しい。乗用車7台、トラック10台ほどが駐車。トラックは保冷のためかエンジンかけっ放しが多く、うるさいといえばうるさい。
事前に買っといたワンカップとピーナッツを片手にDVDで「ディアドクター」を見る。過疎の村を舞台にした笑福亭鶴瓶が演じるにせ医者騒動。笑いとペーソスが入り交じる物語である。午前0時、寝る。

翌日午前8時、雨が上がった中郷SAを発ち9時半、浪江ICを下りる。
ここから約10キロの道を走って大悲山に到着。

 

■百尺観音
とにかくでかい観音様だ。
昭和6年、地元の仏師、荒嘉明がたった一人で作り始めた磨崖仏である。
昭和33年の開眼式以降、造営は止まったまま。
ということは半世紀以上、62年間雨ざらしということだ。
たしかに鼻は黒く変色し、鼻水のような筋も付いている。
さらに追い打ちをかけるように2011年の東日本大震災で左手や体の一部が崩落し、現在は地元有志が保守管理などを行っているとか。


 

 

■信夫山・岩屋観音磨崖仏

ホテルへ向かう前に、ちょっと寄りたいところがある。
相馬市の港に近い「伝承鎮魂祈念館」だ。
岩手県の陸前高田や鵜住居の津波被害を伝承する建物に比べればとても小さいが、この地区でも大きな被害を受けた。

2010.3.11の津波の様子がビデオで再現され、自然災害の恐ろしさが体感できる。そして、館内には持ち主の分からない写真がたくさん展示されている。アルバムに貼るサイズの写真だ。結婚式、七五三、孫を抱く姿、友達とVサインする一枚や同窓会らしき集合写真もある。
遺されたたくさんの笑顔の写真。無念さがひしひしと伝わってくる。

 

 

 

相馬市内を走行していると、市内から伊達市まで無料区間の高速道路のあることが分かった。これを利用し、午後4時、福島市内に入る。
古関 裕而記念館」に立ち寄ったが開館は4時までだった。残念だがまたの機会としよう。

すぐ近くの岩屋観音磨崖仏に行くことにする。信夫山の麓である。古関 裕而記念館から歩いても5分くらいで着く位の距離だ。
ここにはいったい何度きていることだろう。なぜか惹かれる磨崖仏たちだ。
どんどん風化が進み、いずれのときに崩壊することを想うと、自然と足が向いてしまう。

 


写真を撮っていると夢中になってついつい時間を忘れる。
あとでいろいろ補正したいのでRAWデータも記録してるためデータ量が多い。それにしてもNIKKON7200につけたAF-S NIKKOR 18-200mmEDレンズは重い。右手首が痛くなってくる。

17:00 今宵のホテル、東横イン福島駅東口Ⅱに到着。
想ったより寒くはない。雨は上がった。
GO TO キャンペーンで宿泊料が35%割引、500円の駐車代込みで3958円。
さらにチェックインの際、1000円の地域限定クーポン券が付いてきた。

福島駅・構内ビルの柏屋で大好きな薄皮まんじゅう(1000円)を買い求めたのだが、精算後、ダメ元で訊いてみたらクーポン券がつかえるとのこと。
結局、1000円を返してくれて消費税80円を払ったのみ。
なんかとっても得した気分。今日は220キロ走った。少々疲れた。


 

 

 

 


890.福島・磨崖仏めぐり(1)

2020-10-14 | 旅の空

大悲山「観音堂石仏」の帰り道。

いきなり目の前に小さな動物が飛び出してきた。
ネコぐらいのおおきさだ。キーと鳴きながら消え去った。

あぁ、あれはイノシシの子供、うり坊だ。
かろうじて写真を撮ったもの近くに親がいるんじゃないか、と身構えた。
しかし、親は現われず、鳴き声だけが遠ざかっていった。

       



■観音堂石仏

場所が分からずに何度も行ったり来たりしてやっと探し当てた「観音堂石仏」。磨崖仏を保護するように観音堂は崖に接して建っている。
場所は福島県南相馬市小高区。
お賽銭をいれ、堂に近付くと照明が点灯した。
浮かびあがった千手観音像は高さ9メートル、見上げるほどの磨崖仏だ。

 よく見ると、たくさんの手のうち二本を頭上にあげて組み合わせ、化仏(けぶつ)をささげもっている。この独特のポーズは京都・清水寺の本尊である十一面観音像と共通することから「清水型」と呼ばれている。
残念ながら胸下は崩壊して形をとどめていない。
左右の天井付近には本尊を守るかのように化仏が並んでいる。
     *化仏とは如来が衆生を救う為に姿を変えて現れたもの。

この辺り一帯の大悲山石仏は昭和5年、国史跡に指定されている。
この地域特有の柔らかい岩質を利用して岩窟を掘り込み、その壁面に様々な仏像を彫刻したものである。平安時代前期の作とされている。

 

 

■薬師堂石仏

お堂に通じる階段わきの巨大杉は「大悲山の大杉」と呼ばれ、樹齢千年を超す。幹の太さ8.6m、高さ45mに達する。
観音堂石仏からおよそ100mの場所に薬師堂石仏がある。

階段を上って石仏の保存のためにつくられた覆屋に入る。
堂内の灯りが自動点灯すると石窟内に如来座像がいくつも並んでいる。
保護のためガラス戸越しでしか拝観できないが昔は直に手の届く距離で観られたようだ。
想ったより大きい石仏だ。風化して顔の表情が分からない。
もうすこし近くで観られたらいいのに・・との思いが湧く。

南相馬市内をみると確かに露出した崖をあちこちで見かける。相馬地方に独特の地質は、太古の昔に海底が隆起したものだろう。

 

 

■デジャブ

ところで、ここへ来るまですっかり忘れていたが、ここ大悲山に以前来たことがあった。
目的地に近付くにつれどっか観たことがある風景だなぁ、と感じてたのだが
駐車場に到着し、周りの景色をみたらハッキリと思い出した。
あとで調べると6年前の2014年に訪ねていたのだ。
福島市のNPO「花見山を守る会」でボランティア活動をしたあと相馬市の農家民宿に一泊した。そこの女将さんが、ここまできたなら原発から20キロ圏内の警戒区域で全戸避難しているの小高の町をみてったらいいと、いってくれたのだ。

原発事故から3年後の南相馬市小高区。
常磐線は不通、小高駅は無人、駅前から延びる商店街、家並みにまったく人影はない。ときおりパトカーが行き交うだけでゴーストタウンだった。
駅前に大きな観光案内板があり大悲山の石仏の存在を知った。
しかし、薬師堂には行ったもののその中の石仏の存在には気づかず、周辺の地蔵などの写真を撮っただけで帰ってしまった。

今回の旅のきっかけとなった「大人の休日倶楽部2020年10月号」。
記事を読み、大悲山石仏の写真を見ても気づかなかった。
うっかり者だった。
でもこうして他の石仏らと出会えたし、よかったんじゃないか。
当時の6年前の写真をみてみよう。なお、小高を訪ねた2年後、2016年に警戒区域は解除された。

 
小高駅

 
小高駅前                      駅ホーム 線路は雑草だらけ

 
薬師堂                大杉

 
小高駅前の町並み 人影がない

 



 


889.福島の磨崖仏

2020-10-08 | 旅の空

大人の休日倶楽部 2020.10月号」の会報誌が届いた。

特集記事に「福島の巨大磨崖仏をめぐる旅」があった。

福島県は比類無き仏教文化が花開いた磨崖仏の宝庫で、県内70箇所以上に

磨崖仏が現存するという。

 

私の知る石仏は福島駅近郊の岩屋観音くらいのものだ。

福島には幾度となく訪ねているのに実にもったいないことをした。

ということで急遽、福島の石仏めぐりを思い立って今日(8日)出発する。

土日のいずれかに帰る予定だ。

天気は台風の影響で雨模様だが、まぁ、それはそれでいいだろう。

まずは南相馬市の大悲山の磨崖仏を目指す。