部品Blog

―― 部品技術・部品メーカー関連の記事集.

台湾半導体業界の再編暗雲 公的資金で新会社、議員ら反発

2009-04-16 |  DRAM再編



 台湾当局が進めている台湾メモリー(TMC)設立計画に対して、一部議員が反発している。同計画を中止し、半導体企業自身が巨額損失に対応するよう求めている。

 野党・民主進歩党の潘孟安議員は取材に対し、TMCの設立は「愚かな構想」で、台湾半導体業界の再生にはならないと述べ、同計画に反対する動議を15日にも提出する考えを示した。


●税金の無駄遣い

 「TMC設立は、納税者のカネを無駄遣いするものだ。我が党も私も同社に資金を投じることは認めないだろう」(潘議員)と主張している。

 馬英九総統が所属する与党・国民党は、議会で72%の票を有する。

 同党の広報を担当する林益世議員は、「同党が300億台湾ドル(約880億円)の公的資金投入が検討されている同計画を支持するかどうか検討している」と説明。

 TMC設立の詳細が分からない現段階で、計画に賛同できないとする議員がいるのも仕方がないとの認識を示した。


●台湾DRAM大手も疑問

 韓国のサムスン電子に対抗するためにTMCを設立するという構想には、台湾のDRAMメーカー大手の力晶半導体や南亜科技も疑問を呈しており、議員らはこの流れに乗った格好。

 計画が中止となれば、技術提携先に選ばれたエルピーダメモリに影響が出る恐れがあるほか、台湾勢は統合か廃業、資金調達を迫られることとなる。

 パラダイム・アセット・マネジメントのケビン・ヤン最高投資責任者は、「当局は、TMC設立計画を打ち切るべきだ。業界に必要なのは資金であって、TMCの資金力は十分といえず、問題の解決にはならない」と話した。

 一方、計画を主導する尹啓銘・経済部長(経産相)は、「なぜ反対を言い出すのか、理解できない。TMCの設立目的は技術の獲得にあり、それによって台湾の半導体メーカーは再生できる」と強調した。


●技術流出を懸念

 南亜科技の提携先の米マイクロン・テクノロジーは先週、TMCとは提携しない方針を示した。エルピーダへの技術流出懸念が背景。

 南亜科技の呉嘉昭会長も取材に対し「正直言って、TMCが何を目指しているのか不透明だ。我々は公正な扱いを望んでいる」と語った。

 議会の承認がなくても、当局は国家開発基金を活用してTMC設立直前に資金を投じることはできる。

 民進党の潘議員は、「抑止力として、今後の政府予算削減を迫ることも可能」と牽制。与党・国民党党員で議会経済委員会に所属するエリック・シュー議員は、「TMCが成功するとは思えない」と語る。


●死命 市場に委ねるべき

 ポラリス証券のアナリスト、チェン・リウェイ氏は、「業界は競争力の劣る企業を倒産させる必要がある。駄目なメーカーが業界から去れば価格は上昇し、残ったメーカーは黒字に転じるだろう」と話す。

 半導体各社の死命を、市場に委ねるべきとの考えを示している。





【記事引用】 「FujiSankeiBusiness i./2009年4月16日(木)/42面


最新の画像もっと見る