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弘輝、はんだの低銀化を積極推進 添加元素にコバルト使用、銀含有量0.1%まで低減

2011-08-24 | 実装技術



 はんだメーカーの弘輝は、新製品開発を積極的に進める中で、特に低銀はんだを強化している。

 はんだ業界は、環境問題から鉛フリー化やハロゲンフリー化が進んでいる。鉛フリーはんだは、日本では2000年にJEITAがSAC305(Sn-3Ag-0.5Cu)を鉛フリーはんだに推奨。業界標準として普及している。


●コスト削減要求にも対応

 同社は、鉛フリーはんだでは実装面積の低いパワートランジスタをはじめ、BGA、QFN下部に発生するボイドを大幅に低減して高信頼性を確保したソルダーペーストS3X48-M500-2、地球環境に配慮した有機酸系超低残渣のポストフラックス・ハロゲンフリータイプJS―EU-3I、やに入りはんだでは実用性が高く、優れた濡れ特性が得られるハロゲンフリータイプのS3X-6ONHなど、新製品を積極的に市場に投入している。

 地金価格高騰による実装におけるはんだ材料の占めるコストが切実な問題になる中で、JEITAは07年にフロー用低銀はんだSAC0307を第2世代として推奨している。

 伊藤社長は「銀の価格が数年前に比べ大幅に上がり、実装におけるはんだ材料の占めるコスト削減が大きな課題になってきた。このため、組成を変えて従来のSAC3O5(銀3%)と同等の接合性が確保できるはんだの開発が急務であり、当社も低銀化を積極的に進める」と話す。

 低銀糸はんだとして既にS03X7C(銀0.3%)を製品化しているが、新たにS01X7Cを開発、製品化した。

 S01X7Cは、銀の含有が0.1%。従来の低銀はんだの課題であった銀の含有量を減らすことで発生する接合信頼性の低下や、融点の上昇などを解決するために、同社が以前から採用して実績のあるCo(コバルト)を添加元素に選んだ。

 これにより、Cu(銅)からの拡散を防ぐバリア層の形成によりIMC成長を抑制し、また結晶組織の肥大化を防いで結晶ズレによる接合強度の低下を防ぐ。

 伊藤社長は「S01X7Cの開発コンセプトは、SAC305と同等の性能。銀の含有量を0.3%よりさらに少ない0.1%にすることでコスト削減要求にも対応できる。棒はんだでもクリームはんだでも、糸はんだでも製品化できる。米国でも業界団体が低銀はんだに対して標準化の動きにあり、今後市場の流れになっていくとみている。当社としても低銀はんだの開発を積極的に進める」という。

 8月30日から9月1日までの3日間、中国・深圳で開かれる「ネプコンサウスチャイナ2011」に出展し、低銀はんだをアピールする。





【記事引用】 「電波新聞/2011年8月24日(水)/1面」


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