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電子部品各社、世界景気減速やタイ洪水で最終損益悪化、大手6社、今期予想を下方修正

2011-11-10 | 電子部品業界



 京セラ、TDKなど電子部品大手7社の2011年4-9月期連結決算が9日出そろった。

 歴史的な円高に加え、世界景気の減速で全社の最終損益が悪化。タイの洪水による生産停止などの混乱も打撃となり、6社が12年3月期通期の業績予想を下方修正した。

 スマートフォン市場の拡大を追い風に11年3月期までは好業績を維持してきたが、ここにきて業績悪化が鮮明になっている。


●タイ洪水被害

 9日に決算を発表したロームの4-9月期の売上高は前年同期比9%減の1647億円、最終損益は21億円の赤字(前年同期は98億円の黒字)だった。

 主力のLSIの販売不振に加え、円高が収益を圧迫。08年に子会社化したOKIセミコンダクタ(現ラピスセミコンダクタ)ののれん代を減損処理したことも響いた。

 先行きも不透明感が強く、12年3月期通期の業績予想を修正した。売上高は前期比10%減の3080億円、最終損益は180億円の赤字(前期は8億円の黒字)になりそうで、上場来初の最終赤字に転落する見通し。

 ロームの沢村論社長は同日の決算発表で、「(一部製品では)東日本大震災で国内の前工程が止まり、タイの洪水で海外の後工程も止まった。あり得ない事態だ」と語り、タイの洪水被害が通期での業績悪化に拍車をかけるとの見通しを示した。

 タイではハードディスク駆動装置(HDD)の世界生産の5割を占めるなど、電子部品メーカーの工場が集積する。

 日本電産も主力工場の停止で、世界シェア8割を占めるHDD用モーターの10-12月期の出荷が7-9月期比26%減の1億台程度まで落ち込む見通し。

 現段階では過去最高となる550億円の純利益を見込む通期の業績予想を据え置いているが、目先の収益悪化は避けられない。好調だったスマートフォン関連だけでは全体の落ち込みを補えなくなっている。

 スマートフォン向けコンデンサーの受注を伸ばしてきた村田製作所も、4-9月期は前年同期比で減収減益。12年3月期通期業績も従来予想より下振れする。


●欧米景気減速

 欧米景気減速も響く。欧州の財政不安などの影響でデジタル家電製品の販売は低迷。電子部品の販売にも影響が及ぶ。

 タッチパネル用のフィルムが好調だった日東電工はタブレット端末向けの勢いに陰りが出ており、「全体にクリスマス商戦は厳しい」(武内徹最高財務責任者)。

 アルプス電気も年末商戦向けにゲーム機やテレビなどの部品受注が低迷する。円高も収益を圧迫する。京セラは通期の純利益予想を250億円引き下げ、前期比29%減の870億円とした。

 TDKが主力のHDD向け磁気ヘッドも含め全事業を対象に合計1万1000人を削減する方針を明らかにするなど、厳しさを増す経営環境に対応する動きも加速している。





【記事引用】 「日本経済新聞/2011年11月10日(木)/9面」


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