「娘さんが決めたアパートは、家賃いくらですか」
ミャンマー語の授業の後、先生と日本語での会話です。
「管理費込みで9万5千円です」
「高い! 私たちが借りているところは3万5千円です」
今、先生はミャンマーから呼び寄せた息子との二人暮らし。
「それじゃ、お風呂がないのでは?」
「ありますよ。田舎ですから」
狭いけれどもロフト形式の小部屋があって、二人で暮らすのに不自由はないとのこと。
「大学から遠いので、引っ越そうかと思ってるんです」
先生は今、東京大学の博士課程で、キャンパスは駒場。千葉の奥地から通うのは遠いし、、学割とは言え通学費もばかにならない。
去年から同居している息子は、日本橋の天ぷら屋さんでアルバイトをして、それなりに稼いでいるけれど、母親があと1年で帰国し、そのあと一人で残るために、貯蓄にいそしんでいるらしい。
今は、母親の家族帯同ビザがありますが、一人になったら就学ビザをとらなければならない。日本語学校または専門学校に入るためには70万円ぐらいのお金が必要です。
「娘さんの家賃は、出してあげるんですか」
「まさか。自分で払わせますよ。でも、四女もいっしょに住みたいと言っているから、その分は出してやらないとね」
「日本は、結婚してから、子どもたちに援助しないんですか」
「しないですよ」
「えらいですね、日本の子どもたちは。ミャンマーじゃ、結婚してからもしばらくは親がお金を出すのが普通です。若い二人がもらう給料じゃ暮らせないから」
「そりゃ大変ですね、親が」
親の援助がないと暮らせないんなら、結婚するな、って言いたいところだけれど、お国柄はいろいろのようで。
親が甘いのか、家族の絆が強いというべきか。
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