goo blog サービス終了のお知らせ 

犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

カテーテル手術

2018-09-23 23:13:37 | 介護生活

 妻が救急車で病院に運ばれ、脳の緊急手術を受けた夜、駆けつけてくれた長女の夫は医療技師で、心臓外科手術などの補助を仕事にしていました。

 手術中の家族待合室で、「脳の手術についてはくわしくないんですが」と言いながら、カテーテル手術などについて、素人のわれわれにわかりやすく説明してくれました。

 クモ膜下出血や脳梗塞の手術には、頭蓋骨を切る手術と、開頭せず、太ももの血管から脳まで長い管を入れて治療するカテーテル手術があり、妻が受けたのが後者でした。

「太ももから脳まで管…」


 うまく想像ができませんでした。

 手術が終わった直後、執刀した医師から、印刷された脳内血管の画像を見せられました。

 その印刷物はモノクロで、血管が鮮明に立体的に表されていました。最初は、一般的な脳内血管のサンプル図と思いましたが、話を聞くうち、これが妻の実際の脳のMRI画像から作られた立体的画像であることがわかりました。

「これが今回破裂した動脈瘤です。破裂は小さくて、すぐに血が止まりましたが、そのままにしておくとまた破裂するので、すぐに処置をしなくてはなりません。手術には、頭を開くクリッピングと、カテーテルを通してコイルの手術がありますが、今回はカテーテル手術をしました」

 画像をみると、動脈瘤らしき突起の内側に、巻かれた針金のようなもの(コイル)が詰められていました。

「この手術は成功しました。同じ個所がまた破裂するということはありません。ところが手術を終わってみると、左半身に麻痺が見られたんですね。それであらためてMRIを撮ってみると、動脈瘤の手術の時にできた小さな血栓が、こちらの動脈、前大脳動脈を塞いでいたんです。いわゆる脳梗塞ですね。この先の血管が細くなっているでしょう?」

 確かにそのように見えました。

「放置すると左半身不随になるので、もう一度別の足からカテーテルを入れて、血栓をとる手術をしました。細い針金で血栓を掻き出すんです。しかし、これがなかなかうまくいかなくて、さっきまで何度も試みたんですが、完全には開通しませんでした」

 つまり、妻は動脈瘤が小規模に破裂して(クモ膜下出血)、その動脈瘤の再度の破裂を防ぐために、カテーテル手術という方法で処置、その手術は成功したが、血栓が近くの動脈を塞ぎ、血栓を完全には除去できなかったため、左半身に麻痺が残る可能性があるとうことです。

「2週間ほどは、脳梗塞が再発したり、容体が急変する可能性があるので、ICU(集中治療室)で絶対安静になります」


 ICU
の面会時間は1日3回、30分ずつです。

 翌日、一回目の面会時間の午後1時に行くと、妻は昏々と眠っていました。麻痺していると言われている左手を握ると、反射的に握り返してきますが、意識的な動きではないようです。

 午後3時の、二度目の面会時間のときは、目覚めていて、言葉を交わすことができました。

 すでに医者から、自分の病気について、簡単な説明を受けていたようです。

「脳梗塞なんて、私じゃなくて、あなたがなると思ってた」

 蚊の鳴くような声でそう言いました。確かに、毎年受けている人間ドックで、妻はオールAなのに対し、私はBCが散見されていました。

 でも、冗談めかして、そんなことが言えていたので、少しホッとしました。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 妻、倒れる | トップ | お礼 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

介護生活」カテゴリの最新記事