東京にいる三女からのラインに気が付いたのは昼休みでした。
「お母さんがテニスコートで倒れて救急車で運ばれてる。テニスコートの人が連絡してくれた。お母さんも途中で電話に出て、なんとかしゃべれる状態だけど、ちょっと危険かもって、自分でも言ってた」
「埼玉医大に運ばれた。私も行ってくる。熱中症かな?」
すぐに三女に電話をしましたが、まだ病院に向かうタクシーの中。
「熱中症なら、そんなに心配いらないでしょう。ぼくは今日は行けないから、付き添ってあげて」
三女に託しました。
午後の会議が始まってすぐ、三女からの第二報が来ました。
「くもまっかしゅっけつ。即入院」
(えっ!!)
会議を中座し、すぐに電話しました。
クモ膜下出血で、脳の動脈瘤が破裂したこと。
カテーテル手術で動脈を修復すること。
軽い出血なので、8割がた助かること。
手術は3時間ぐらいで終わること。
などを聞きました。
その日の仕事はすべてキャンセルし、新大阪から新幹線で東京に向かいました。
クモ膜下出血!
昔 、原因不明のひどい頭痛で、タクシーで都立病院に行ったことがあります。
外来は混んでいて、順番が回ってきたのは3時間後でした。
待っている間、スマホで「ひどい頭痛」などのキーワードで検索すると、「クモ膜下出血」がヒット。
順番が回ってきたとき、先生に
「もしかしてクモ膜下出血じゃありませんか?」
と聞くと、
「大丈夫です。クモ膜下出血だったら、もう死んでます」
と一笑に付されました。
私の中では、クモ膜下出血は「死」と強く結びついています。
新幹線の中で、クモ膜下出血について調べたりしているとき、三女からのライン。
「手術成功したけど、左手足に麻痺があるので、もう一回手術するらしい。ゼロから別の手術だから、さらに3時間ぐらいかかる」
私が埼玉の病院に着いたのは、夜8時過ぎ。二度目の手術はまだ終わっていませんでした。
茨城にいる二女、遅い夏休みをとって、島根に車で旅行していた長女夫婦も駆けつけてくれました。
3時間ぐらいと言われた二度目の手術が始まって、すでに5時間。家族の不安が募ります。
夜11時過ぎ、手術室から執刀医が憔悴した様子で出てきました。
「カテーテルで、血栓を何度も掻き出したんですけれども、血流は完全には戻りませんでした。左半身に麻痺が残るかもしれません」
妻は、ともかく一命をとりとめました。
今後、リハビリで生活に支障が無いレベルになればよろしいのですが。
同じような年代の人間として、心よりお見舞い申し上げます。
あたたかい言葉がけ、ありがとうございました。
幸い、妻の回復は順調で、現在リハビリ中です。通常の生活に戻れるかはまだわかりませんが、相当時間がかかるでしょう。
気長に介護していきたいと思います。