韓国という国は,熱しやすいというか,激しやすいというか,何かが流行ると国民全体が一斉にそちらに向く,極端に走りやすい,という傾向があるように思います。
たとえば出生率。(→リンク)
朝鮮戦争で人口が減ったあとの反動として,一時は出生率が「6」を越えるほどの「多産国家」だったのですが,戦後の「漢江の奇跡」を通じて釣瓶落としのような出生率急落の結果,2002年には日本を下回り,2005年には「1.08」というぶっちぎりの少子化国家になりました。
日本では新生児の数がだいたい20年で半減したのですが,韓国は2倍のペース,10年で半減しました。
もう一つは大学進学率。
1990年は30%ちょっとだったものが,最近は80%を越えると伝えられています。こちらも間違いなく世界一でしょう。「大学に行かなければ人間ではない」というような雰囲気の中で,われもわれも大学を目指した結果です。
少子化と大学進学率急上昇の結果,次のような事態が現出しています。(→リンク)
【社説】大学とはいえない大学は1日も早く整理を
少子化の影響で新入生募集定員を満たせない私立大学が続出している。教育科学技術部は今回そのような複数の大学を統合させるか、あるいは廃校させる方針を打ち出した。以前もよく似た話を何度も耳にしたことはあるが、実行に移されたことは一度もなかった。しかし今回こそはそれが実現することを期待したい。
これまでは設立者たちが自ら所有する学校を無理して廃校させるようなケースはみられなかった。学校が廃校となれば、彼らにとっては自分たちが投じた資金が当然無駄になるからだ。そのため教育部は今後学校が廃校に至った場合、設立者に対してその財産の一部を保全できるよう配慮することにした。つまり学校資産の一部を設立者に返還することで、教育部は大学の統廃合を促したい考えだ。
全国に199校ある4年制大学の中で、今年入学した新入生が定員の70%にも満たなかった大学は20校あった。全羅北道のS大学では2070人の募集定員に対し、実際に入学したのはその22.1%にあたる447人にすぎなかった。慶尚北道のK大学も、416人の募集定員に対して実際の入学者数は28.2%の112人だった。このような大学ではほぼ例外なく、1学期が過ぎると入学した新入生たちも数多く退学する。K大学では昨年の在校生602人のうち、授業料をあえて支払わない自主退学や、休学後に復学しなかった学生の数が371人に達した。つまり途中で学校をやめた学生が全体の61.6%にも達したことになる。これでは到底大学とは呼べないだろう。
しかも今後はこのようなケースがさらに増えることが確実な状況となっている。少子化の影響で高校の卒業生は今年57万人にまで落ち込んだが、2018年にはさらに46万人にまで減少することが予想されるからだ。一部の地方大学では、教授たちも学生の指導より新入生募集のための高校回りに忙しい。しかも今ではこれもごく普通の光景となり、決して特別なことではなくなった。ある高校では職員室前に、「大学教授と訪問販売お断り」という張り紙が貼られてあるところもあるほどだ。
韓国の大学進学率は83.8%で世界でもトップレベルだ。大学卒業者も毎年56万人ずつ輩出されてくる。しかし大学を卒業しても企業の正社員として就職できるのはその56.1%に過ぎず、実際は「88万ウォン(約6万3000円)世代」と呼ばれる非正規雇用ばかりを生み出しているのが実情だ。1年に1000万ウォン(約71万円)を超える授業料を支払う親にとっても、大学は子供の就職に何の役にも立たない。単に家から貴重な金を持っていくだけの存在でしかないのだ。
2007年の専門大学(2年から3年制の短期大学)卒業者の就職率は83.4%に達したが、4年生大学卒業者で実際に就職できたのは全体の70%にとどまった。大学とはいえないような大学が、非正規職で生活が安定しない若者ばかりを増やす原因となっているのだ。
大学として一定の基準を満たせないのは私立大学ばかりとは限らない。今後は国公立大学も例外なく統廃合を断行し、学生の数を減らすしかないだろう。大学の数と定員は大学に行きたいという学生側のニーズに合わせるものではない。それぞれの分野ごとに社会が必要とする大学卒業生の数というものがあるはずだ。今後はそれを基準に学生定員を決める方向へと政策を転換すべきだろう。
韓国の大学の数は,90年代初めは100校を少し越えるくらいだったと記憶しています。
その後1996年に,大学設立がそれまでの認可主義から,準則主義(一定の条件を満たせば自動的に認める)に転じて,急増。専門大学(短大)を4年制大学にしたり,新設したりして,96年の134校が2005年は173校,2008年現在199校。大学院大学も増えました。
一方で,一家庭当たりの子どもの数も少なくなり,経済成長で生活水準があがってくると,一人の子どもにかける教育費も多くなる。以前は,家計が原因で大学に行きたくても行けなかった子どもたちが行けるようになり,また行きたくなかった子どもたちも「学歴差別」を恐れて進学するようになる…。
韓国の大学進学率について,以前調べたことがあります。
1997年の統計庁『韓国主要経済指標』という本を見ていたら,「大学進学率85.8%」という数字が目にとまった。
いくらなんでも高すぎるんじゃないかと思って,統計庁にメールで問い合わせると,
「それは一般高校の進学率だった。実業高校も合わせると次のようになる」
といわれて教えてもらったのが以下の数字。
70年 26.9%
75 25.8
80 27.2
85 36.4
90 33.2
95 51.4
99 66.6
統計庁から出ている公式統計集にしてからがこの調子です。
今回の新聞記事にある83.8%という数字も,出所はおそらく韓国の統計庁だから信用ならない。そこで日本の資料を調べました。文部科学省の『教育指標の国際比較』(平成20年版)。
日本の大学進学率は2007年54.6%,アメリカ52.1%,イギリス62.6%…
韓国は…
2006年102.4%!!
なんと,100%を越えていました。
韓国人は掛け持ちで大学に通うのか?
計算方法は,高等教育機関(短大を含む)入学者数÷該当年齢人口
注記に,「該当年齢以外の進学者を含む」とありますから,社会人で夜間に(?)入学する人が含まれていて,100%を越えるという異常な数字になったんでしょうか。
韓国の記事の「83.8%」が統計庁の数字だとすれば(現在,韓国の統計庁のサイトでは検索できない),計算式は,大学入学者数÷高校卒業者数。
この数字が高く出すぎるとすると,可能性としては,
①高校卒業者数が,18歳人口を表していない(中卒や高校中退者が抜けている),
②大学入学者に18~20歳以外の年齢の者が多数含まれる,
③大学が「定員割れ」を隠すために,入学者を多く発表している,
などが考えられます。
たぶん,③が多いような気がしますが…
たとえば出生率。(→リンク)
朝鮮戦争で人口が減ったあとの反動として,一時は出生率が「6」を越えるほどの「多産国家」だったのですが,戦後の「漢江の奇跡」を通じて釣瓶落としのような出生率急落の結果,2002年には日本を下回り,2005年には「1.08」というぶっちぎりの少子化国家になりました。
日本では新生児の数がだいたい20年で半減したのですが,韓国は2倍のペース,10年で半減しました。
もう一つは大学進学率。
1990年は30%ちょっとだったものが,最近は80%を越えると伝えられています。こちらも間違いなく世界一でしょう。「大学に行かなければ人間ではない」というような雰囲気の中で,われもわれも大学を目指した結果です。
少子化と大学進学率急上昇の結果,次のような事態が現出しています。(→リンク)
【社説】大学とはいえない大学は1日も早く整理を
少子化の影響で新入生募集定員を満たせない私立大学が続出している。教育科学技術部は今回そのような複数の大学を統合させるか、あるいは廃校させる方針を打ち出した。以前もよく似た話を何度も耳にしたことはあるが、実行に移されたことは一度もなかった。しかし今回こそはそれが実現することを期待したい。
これまでは設立者たちが自ら所有する学校を無理して廃校させるようなケースはみられなかった。学校が廃校となれば、彼らにとっては自分たちが投じた資金が当然無駄になるからだ。そのため教育部は今後学校が廃校に至った場合、設立者に対してその財産の一部を保全できるよう配慮することにした。つまり学校資産の一部を設立者に返還することで、教育部は大学の統廃合を促したい考えだ。
全国に199校ある4年制大学の中で、今年入学した新入生が定員の70%にも満たなかった大学は20校あった。全羅北道のS大学では2070人の募集定員に対し、実際に入学したのはその22.1%にあたる447人にすぎなかった。慶尚北道のK大学も、416人の募集定員に対して実際の入学者数は28.2%の112人だった。このような大学ではほぼ例外なく、1学期が過ぎると入学した新入生たちも数多く退学する。K大学では昨年の在校生602人のうち、授業料をあえて支払わない自主退学や、休学後に復学しなかった学生の数が371人に達した。つまり途中で学校をやめた学生が全体の61.6%にも達したことになる。これでは到底大学とは呼べないだろう。
しかも今後はこのようなケースがさらに増えることが確実な状況となっている。少子化の影響で高校の卒業生は今年57万人にまで落ち込んだが、2018年にはさらに46万人にまで減少することが予想されるからだ。一部の地方大学では、教授たちも学生の指導より新入生募集のための高校回りに忙しい。しかも今ではこれもごく普通の光景となり、決して特別なことではなくなった。ある高校では職員室前に、「大学教授と訪問販売お断り」という張り紙が貼られてあるところもあるほどだ。
韓国の大学進学率は83.8%で世界でもトップレベルだ。大学卒業者も毎年56万人ずつ輩出されてくる。しかし大学を卒業しても企業の正社員として就職できるのはその56.1%に過ぎず、実際は「88万ウォン(約6万3000円)世代」と呼ばれる非正規雇用ばかりを生み出しているのが実情だ。1年に1000万ウォン(約71万円)を超える授業料を支払う親にとっても、大学は子供の就職に何の役にも立たない。単に家から貴重な金を持っていくだけの存在でしかないのだ。
2007年の専門大学(2年から3年制の短期大学)卒業者の就職率は83.4%に達したが、4年生大学卒業者で実際に就職できたのは全体の70%にとどまった。大学とはいえないような大学が、非正規職で生活が安定しない若者ばかりを増やす原因となっているのだ。
大学として一定の基準を満たせないのは私立大学ばかりとは限らない。今後は国公立大学も例外なく統廃合を断行し、学生の数を減らすしかないだろう。大学の数と定員は大学に行きたいという学生側のニーズに合わせるものではない。それぞれの分野ごとに社会が必要とする大学卒業生の数というものがあるはずだ。今後はそれを基準に学生定員を決める方向へと政策を転換すべきだろう。
韓国の大学の数は,90年代初めは100校を少し越えるくらいだったと記憶しています。
その後1996年に,大学設立がそれまでの認可主義から,準則主義(一定の条件を満たせば自動的に認める)に転じて,急増。専門大学(短大)を4年制大学にしたり,新設したりして,96年の134校が2005年は173校,2008年現在199校。大学院大学も増えました。
一方で,一家庭当たりの子どもの数も少なくなり,経済成長で生活水準があがってくると,一人の子どもにかける教育費も多くなる。以前は,家計が原因で大学に行きたくても行けなかった子どもたちが行けるようになり,また行きたくなかった子どもたちも「学歴差別」を恐れて進学するようになる…。
韓国の大学進学率について,以前調べたことがあります。
1997年の統計庁『韓国主要経済指標』という本を見ていたら,「大学進学率85.8%」という数字が目にとまった。
いくらなんでも高すぎるんじゃないかと思って,統計庁にメールで問い合わせると,
「それは一般高校の進学率だった。実業高校も合わせると次のようになる」
といわれて教えてもらったのが以下の数字。
70年 26.9%
75 25.8
80 27.2
85 36.4
90 33.2
95 51.4
99 66.6
統計庁から出ている公式統計集にしてからがこの調子です。
今回の新聞記事にある83.8%という数字も,出所はおそらく韓国の統計庁だから信用ならない。そこで日本の資料を調べました。文部科学省の『教育指標の国際比較』(平成20年版)。
日本の大学進学率は2007年54.6%,アメリカ52.1%,イギリス62.6%…
韓国は…
2006年102.4%!!
なんと,100%を越えていました。
韓国人は掛け持ちで大学に通うのか?
計算方法は,高等教育機関(短大を含む)入学者数÷該当年齢人口
注記に,「該当年齢以外の進学者を含む」とありますから,社会人で夜間に(?)入学する人が含まれていて,100%を越えるという異常な数字になったんでしょうか。
韓国の記事の「83.8%」が統計庁の数字だとすれば(現在,韓国の統計庁のサイトでは検索できない),計算式は,大学入学者数÷高校卒業者数。
この数字が高く出すぎるとすると,可能性としては,
①高校卒業者数が,18歳人口を表していない(中卒や高校中退者が抜けている),
②大学入学者に18~20歳以外の年齢の者が多数含まれる,
③大学が「定員割れ」を隠すために,入学者を多く発表している,
などが考えられます。
たぶん,③が多いような気がしますが…
日米では通常MBLは2年コースです。それも毎日徹夜に近い勉強を続けてです。
韓国の場合、どうも知識を身に付けるというよりは、社内で箔を付けることが目的で、お化粧とか整形手術みたいなものじゃないかと。
一方で、語学学校にも社会人は良く通っております。最近は日本語よりも英語がメジャーです。こちらの結構はおおむね良好で、見る見る上達する人も散見され、その熱意には感心させられます。
うちは上げていなかったような。
あと,会社を辞めるときの理由として,大学院で勉強をするっていうのも多いですね。
ま,体のいい「口実」という場合が多いのでしょうけれど。