私の娘(3女)は、大阪在住ながら、デパートでの販売の仕事なので、出勤日も勤務時間も私とは合わず、なかなか会えません。
たまに会うと、大阪ならではのオモロイ話を聞かせてくれます。
「この前なんかさあ、カードの支払いだったから、『お支払いは1回払いになりますがよろしいですか』って聞いたら、大阪のおばはん、『百回でお願いします』なんて澄ました顔で言うんだよ」
「冗談なのね?」
「もちろん。でも、どうして返していいかわかんなくて、笑うしかなかった」
その話を十三(じゅうそう)の韓国料理屋さんのご主人にしたところ、
「利息のほうが高うつきまっせ、て返したらええのや」
その返しをラインで娘に送ると、
「なるほど。今度言われたらそう答える!」
そんな娘も大阪勤務一周年。昨年の秋からは店長になりました。
「入社3年目で店長なんてすごいね!」
「店長は体壊して辞めちゃう人が多いから」
「…」
店長で大変なのは、シフトの作成とクレーム処理だそうです。
「アルバイトさんは責任感ないから、ちょっとしたことで休んだり、急に辞めちゃったりするんだよ」
シフトに穴が空くと、埋め合わせをするのは店長。結局、休みが取れず、「連勤」が続くそうな。
3月の初めは休みが続出。
「インフル、ぎっくり腰、感染性結膜炎で3人休みのところにもってきて、また休みの連絡が来たの」
「それは大変だったね」
「普通なら、またかよってイライラが爆発する所だったけど、そのアルバイトさん、「貝の毒で倒れました」とかゆうから、面白くて許した」
「貝の毒? 生牡蠣に当ったの?」
「加熱したアサリだって。夜アサリの吸い物を飲んで、翌日倒れて、病院行ったら「貝毒」っていう診断だったって」
「しかし、面白いから許すって、お前も今や完全に大阪人だね」
シフトよりももっと大変なのがクレーム処理。店員のミスや不手際もあるけれど、こちらにまったく落ち度がないのに文句を言ってくる人がいるらしい。
「送ってもらったのが足りなかったとか言ってきたんだけど、私、その人のこと覚えたから、『その配送は私がやりました。確かに確認しました』と言ったら、急にどぎまぎしだして、なんかごまかすようなこと言って、行っちゃった。「お詫びの品狙い」なんだよね」
「クレーマーか。嫌だね、そういう人」
日曜日、妻が帰京するのを送り出してから、Y! mobileの解約に行きました。
単身赴任先では、家でのインターネット用にY! mobileのポケットワイファイを使っていました。2年間の「使い放題」のキャンペーン期間が3月末に切れ、同じサービスを受けるためには使用料が高額になるので、4月からは光ファイバーを引くことにしたのです。
3月中に解約しようとしたら、3月中は違約金が1万円かかると言われたので、4月になるのを待って契約したのと同じお店に解約に行きました。
「解約すると、すぐ使えなくなりますが、よろしいですか」
「ええ、かまいません」
担当の男性は、早速端末に向かって解約の手続きをします。
「今日は4月2日ですけど、4月分は日割り計算になるんですよね」
「いえ、このキャンペーンは日割りはできないので、4月分を全額お支払いいただくことになります」
一か月分は3999円です。
「えっ、じゃあ、解約は4月末にしてください」
「申し訳ございません。今、解約の手続きを完了してしまったので…」
「キャンセルしてくださいよ」
「あの…、解約のキャンセルはできないことになっていまして…」
「そんなはずはないでしょう!」
思わず語気が荒くなります。
「少々お待ちください。取り消せるかどうか、確認してみます」
小さな販売店で、ほかに客はなし。店長とおぼしきこの男性社員のほかに女子社員が一人だけいるのですが、私と店長の間の不穏な空気を察してか、机から顔を上げません。
店長は、まず解約のキャンセルができないか電話で問い合わせ、それがだめだとわかると、別の部署に電話をかけなおしました。
「今、お客様がお見えになっているんですけれど、私の説明が足りなくて、日割り計算ができないことをお伝えしないまま、解約してしまったんです。なんとかなりませんでしょうか」
結局、5分以上の電話の後、次のような説明が。
「長いことお待たせしてすみませんでした。解約の取り消しはできないのですが、私の説明不足でしたので、4月の料金はいただかなくて結構です」
「ああ、そうですか。ありがとうございます」
結果オーライで、対応の仕方も感じがよかったので、これで終わればよかったのかもしれませんが、電話の間にいろいろ考えていたことを言ってみたくなりました。
「ちょっと確認なんですが、いいですか」
「はい、なんでしょう?」
「私、3月末に解約しようとして、1週間ぐらい前に、こちらに電話したんです。そしたら、解約に関しては別の番号にお願いしますと言われて、そちらに掛け直したら、自動音声が回っていて、3月中に解約すると1万円かかりますってことしか聞けませんでした。だから4月に入ってすぐに(といっても今日は二日ですけど)、ここに来たわけです。でも、もし昨日来たとしても、4月分の利用料がまるまるとられてしまうわけですよね、日割りができないから。3月中に解約の予約をしておけばよかったんですか?」
「いえ、解約の予約はできないんです」
「ということは、3月末で、追加料金を払わずに解約することはできない仕組みなんですか」
「そうなります」
「それっておかしくないですか」
「…」
店長が言葉を詰まらせたのを見て、そのときまで沈黙を守っていた女子店員が口を開きました。
「通信業界はどこも同じやり方でやっていますので…」
「…」
(よその会社は関係ないだろうに…)
女子社員のきっぱりした言い方がカチンときて言い返そうとしましたが、大人げないのでやめました。
「まあ、私にとってはかえって得した形になったので、これでいいです。どうもありがとうございました」
帰り道、このやりとりを振り返ると、自分がいっぱしの「クレーマー」になっていたような気がしてきました。
(今晩、あの二人、ぼくのことを肴にクレーマーに対する鬱憤を晴らすのかもしれないなあ)
などと思いながら家路につきました。
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それとも、指摘されたら何とかしてあげ、でないとその分得するというのが金銭的に断然有利であることを計算しての、、、笑
むしろ、僕よりもっとすごいクレーマーが多いんだろうなあ、と想像して、あわれみの気持ちが強いです。