たまごの漢字表記には二通りありますね。
卵と玉子
スーパーで買うものをメモするとき、どっちで書くか迷うことがあります。
どっちも正しいんだと思いますが。
ちょっと辞書を引いてみました。
まず『新明解国語辞典』(第7版)
たまご【卵・玉子】
漢字表記欄には二つが併記されていて、使い分けの説明はありません。
次に『明鏡』(第二版)
たまご【卵】
漢字表記は卵のみ。ただし、第二語義に、
②鶏の卵。鶏卵。「-料理」「生-」 [表記]料理では、「玉子」と書くことも多い。
という説明があり、「玉子」が鶏の卵の料理に使われることがわかります。
最後に、私がもっとも信頼している『三省堂国語辞典』(第八版)
たまご【卵・タマゴ】①〔鳥・さかな・虫などの〕子になる前の、まるい形のもの。「アヒルが卵を産む」②ニワトリの「たまご①」。「卵を買ってくる・卵型」③【玉子】ニワトリの「たまご①」を調理したもの。「玉子どんぶり」(以下略)
生物学的なたまご、また調理前のニワトリのたまごは、「卵」または「タマゴ」と書き、調理されたニワトリのたまごは「玉子」と書くと説明されています。
そういえば、天ぷら屋「さき亭」のたまごの天ぷら(リンク)も、メニューには「玉子」と書いてありました。
これに従えば、スーパーの買い物リストでは、「卵」を使うのが正しいことになります。
玉子の用例として、「玉子どんぶり」が挙がっていますが、そのあとに羅列されている複合語の表記は、「卵かけご飯」「卵酒」「玉子豆腐」となっていて、「卵かけご飯」「卵酒」は調理されていない、「玉子豆腐」は調理した、という使い分けがされています。
一方、「玉子とじ・卵とじ」は両方が挙がっています。語義は「煮物や汁物の仕上げにときたまごを入れて、とじた料理」で、ときたまごを最後に入れるのが「調理」かどうか微妙なので、両方とも許容になっているということか。
最後にたまごでとじる、という場合は「卵」。
出来上がったたまごとじは「玉子とじ」になるのでしょうか。
おもしろいのが、「玉子焼き・卵焼き」。
[表記]という欄で、「高知県では卵焼きがふつう。〔「玉子焼き」が小型のカステラを指すため」という解説がありました。「卵焼き」は高知県限定の表記なのですね。
念のため、同じ辞書の第七版も見てみました。すると、内容が微妙に異なっている!
たまご【卵】①〔鳥・さかな・虫などの〕子になる前の、まるい形のもの。「アヒルが卵を産む」②【玉子】ニワトリの「たまご①」。鶏卵。「玉子どんぶり」(以下略)
ここでは、「タマゴ」というカタカナ表記がない。そして、漢字の「玉子」は「ニワトリのたまご」のことであって、調理されたかどうかは関係ない。
2014年(第七版)から2022年(第八版)の間に、たまごの表記に何かしらの変化があったとは考えにくいので、第八版で、第七版の語釈を見直し、より厳密に書き直したのでしょう。
最新の第八版によれば、「玉子」は「調理されたニワトリのたまご」なので、中華料理のピータン(アヒルのたまごの塩漬け)や、タイ料理の「赤蟻のたまご」(リンク)は、調理されているけれど「ニワトリ」じゃないので、漢字で書くならば「卵」とすべき、ということになります。
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