犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

論難の日本戦VAR判定

2022-12-04 18:00:17 | 日々の暮らし(2021.2~)

図版:決勝トーナメント組み合わせ

 日本対スペイン戦での日本の2点目のゴールのVAR判定が、世界中で話題になっています。

 なぜかというと、この判定のせいでサッカー強国ドイツのグループリーグ敗退が決まったからです。もしこのゴールが認められていなければ、日本―スペインは1-1の引き分け。日本とドイツは勝ち点で並びますが、得失点差でドイツが日本を上回り、日本は敗退していました。

 韓国の新聞も、韓国は当事者ではないのに、この判定を盛んにとりあげていました。


写真:聯合ニュース

スペインを破った日本の逆転ゴールに説往説来…「ラインアウト」vs「かかっていた」(12月2日、朝鮮日報-ニュース1

「明らかな誤審」vs「VARが判定」…日本の逆転ゴールめぐり甲論乙駁
12月2日、ファイナンシャルニュース

論難の日本戦VAR判定に一部ファン嘲弄…「VARまた失敗した」(
12月2日、聯合ニュース

「数ミリの差」で決勝トーナメントに行った日本?…VARで覆った決勝ゴール依然論難
12月2日、京郷新聞

 もし、韓国がグループリーグで敗退していたら、きっといつまでもこの問題で騒ぎ続けたでしょうが、翌日、韓国が日本以上の劇的な展開でポルトガルを破り、決勝トーナメント進出を決めたので、日本のことなんかどうでもよくなったんでしょう、報道も沈静化しています。

1ミリの差を捉えたVAR、日本の「決勝ゴール論難」をだまらせた(12月3日、東亜日報

 おもしろいのは、報道の大部分がアメリカのESPN(スポーツチャンネル)や英国BBCなどを引用する形をとっていること。

 「日本に敗退してほしい」という韓国の願いが込められた記事なのですが、「別に韓国が文句をつけてるんじゃないですよ、世界の人たちが言ってるんですよ」というふうに装っているんですね。

 当事者であるスペインやドイツのソースを使っていないのは、スペイン語やドイツ語がわかる人が韓国メディアに少ないからなんでしょう。

 ところで、韓国の新聞記事の中に「論難」「説往説来」「甲論乙駁」というような漢字語が見えます。

 甲論乙駁は日本語の四字熟語と同じ意味。

 説往説来(설왕설래)は日本では使わない漢字語で、「言葉が行き交う」、「互いにああだこうだと言い争う」こと。

 論難のほうは日本でも使いますが、意味がちょっと違う。

 日本語は、「議論して非難すること」(三省堂国語辞典)で、使用頻度はあまり高くない。

 一方、韓国語の論難(논란ノッラン)「何人かが互いに異なる主張を出して争う」で、使用頻度は極めて高い。

 日本語に訳すときは、そのまま論難とするのではなく、論争とするのが適切な場合が多いです。

 韓国の新聞は、韓国がガーナに敗れたとき、試合終了間際のコーナーキックを認めず、それに抗議した韓国チームの監督にレッドカードを出した主審を非難する記事を載せ、主審のSNSには何万通もの抗議メールが殺到したということですが、韓国が「アル・ライヤーンの奇跡」を起こしてからは、「日本のVAR論難」同様、吹っ飛んでしまったようです。


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