2016年10月08日 第76回クラシックレコードを楽しむ会
今回の選曲は、モーツァルトの歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」から第1幕、第2幕の1部。
モーツァルト 歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」 カール・ベーム指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ウィーン国立歌劇場合唱団 1955年録音 LONDON L54C-5236/8 3LP
1面~24分06秒~序曲 第1幕 第1場から第2場前半(三重唱、三重唱、三重唱、三重唱、アリア、五重唱、合唱)
休憩5分
2面~25分56秒~第1幕 第2場後半から第3場前半(五重唱、三重唱、レチタティーヴォ、レチタティーヴォとアリア、六重唱)
休憩5分
3面~25分04秒~第1幕 第3場後半から第4場前半(アリア、三重唱、、アリア、フィナーレ)
休憩5分
4面~24分25秒~第1幕 第4場後半、第2幕 第1場から第2場(レチタティーヴォ、アリア、二重唱、合唱、四重唱)
【登場人物】
フィオルディリージ(S): ナポリの貴婦人~リーザ・デラ・カーザ
ドラベッラ(Ms): フィオルディリージの妹~クリスタ・ルートヴィヒ
デスピーナ(S): 姉妹に仕える女中~エミー・ローゼ
フェルランド(T): 士官、ドラベッラの恋人~アントン・デルモータ
グリエルモ(Br): 士官、フィオルディリージの恋人~エーリヒ・クンツ
ドン・アルフォンソ(Bs): 老哲学者~パウル・シェフラー
【第1幕】
時は18世紀、舞台は地中海に面したイタリアのナポリ。カフェの店先で、二人の士官フェルランドとグリエルモが、老哲学者ドン・アルフォンソと言い争いをしています。若い二人は、彼らの恋人が自分たちを裏切るようなことは決してないと信じていますが、アルフォンソは、そんなことはない、人間なら女性でもふとした出来心はあると、彼らの純真さを笑います。そこで、どちらの言い分が正しいか賭けをすることになりました。アルフォンソの策略が始まります。
まずアルフォンソは、海辺の庭園にいたフィオルディリージ(グリエルモの恋人)と、その妹ドラベッラ(フェルランドの恋人)に、彼女たちの恋人二人が急に戦争に行かなくてはならなくなったと伝え、士官二人には実際に船に乗って出発するふりをさせます。恋人がいなくなって悲しむ姉妹。その上でアルフォンソは、士官二人にひげを付けたり帽子をかぶせたりして変装させて、姉妹に別人として紹介し誘惑させようとします。
姉妹の家で変装した二人を紹介する際には、アルフォンソは女中のデスピーナにあらかじめ小遣いを与えておき、協力させました。変装した二人は姉妹に言い寄りますが、このときはまだ見向きもされません。
【第2幕】
しかし、しばらくして女中デスピーナが部屋で姉妹の世話をしながら、男遊びもいいものよと浮気を勧めると、姉妹は、もし選ぶならこっちの人かしら、と話し始めます。お互い元の恋人と違う相手を選んでいました。
そしてとうとう変装したグリエルモは、フェルランドの恋人ドラベッラを口説き落とします。逆にフェルランドも、グリエルモの恋人フィオルディリージを口説くことに成功します。フェルランドとグリエルモは、恋人の裏切りに激怒しますが、アルフォンソになだめられました。“女はみんなこうしたもの”だと。
さてその後は・・・。姉妹は変装した二人と結婚契約書を交わしますが、そこへ戦争に行ったはずの士官二人が帰ってきて、その契約書を見て怒ってみせます。そうしておいてから、慌てふためく姉妹にフェルランドとグリエルモは種明かしをしました。
姉妹は許しを請い、士官二人はもう恋人を試すようなことはせずに信じると誓います。老哲学者ドン・アルフォンソは、みんな笑い飛ばしてしまおうと恋人たちをねぎらうのでした。
『コジ・ファン・トゥッテ』(伊:Così fan tutte)K.588 は、モーツァルトが1790年に作曲したオペラ・ブッファである。正式なタイトルはCosì fan tutte, ossia La scuola degli amanti(女はみなこうしたもの、または恋人たちの学校)。コシ・ファン・トゥッテと表記されることが多いが、イタリア語発音に近い表記は「コジ」である。
『フィガロの結婚』、『ドン・ジョヴァンニ』に引き続いて、ロレンツォ・ダ・ポンテの台本に作曲された。初演は1790年1月26日ウィーンのブルク劇場。初演後まもなく皇帝ヨーゼフ2世が死去したため、10回ほどの上演にとどまった。
物語は姉妹の恋人である二人の男が、それぞれの相手の貞節を試すために互いの相手を口説いたら、二人とも心変わりしてしまった。どちらにも言い分がありそのまま認めあうしかないものだということ。タイトルの原語の意味は「Così このように fan する tutte すべての女性は」。『フィガロの結婚』の第一幕に出て来た台詞で、全てを仕組んだアルフォンソ(登場人物参照)が事態を収拾するために恋人たちに説いて聞かせる台詞でもある。
本作品は19世紀を通じて、内容が不道徳であるとして評価が低く、特にワーグナーは音楽面をふくめて酷評している。20世紀に到って再評価され、モーツァルトのオペラの代表作であると認識されるようになった。商業的には、『フィガロの結婚』、『ドン・ジョヴァンニ』『魔笛』の3大オペラにこれを加えて4大オペラと呼んだり、さらに『後宮からの誘拐』を加えて5大オペラと呼ぶことがある。なお、ダ・ポンテによるイタリア語台本三部作の中では唯一イタリアを舞台にした作品だが、他の二作(これらもイタリアでの上演数はドイツ圏に比べごく少ない)にも増して同地では人気が低く、ミラノ・スカラ座は1826年から1951年までこの作品を一切上演しなかった。
概要
もともとアンサンブルの多いモーツァルトのオペラ作品の中にあっても、特別にアンサンブルの割合が多い(30曲中16曲が重唱)作品である。 フィオルディリージの各幕に一曲ずつあるアリアは、初演時の歌手の並外れた喉を反映して高度の技巧を要するが、全体を通じて二重唱から六重唱まで様々な組み合わせで作られたアンサンブルで進行する。登場人物が男女各三人という対称性を活用している。
この作品は、ステレオタイプな性格の登場人物という点で、いかにも18世紀のオペラブッファ的な作りである。しかし音楽はそれぞれの場面の登場人物の心理に対応して真に迫ったものになっており、ロココ風な人工的・遊戯的な性格を持つ台本を部分的に超越したものとなった。
登場人物と楽器編成
フィオルディリージ(ソプラノ) - 2の姉(妹)で4の恋人。台詞からは姉妹のどちらが年上かは判断できない。
ドラベッラ(メゾソプラノ) - 1の妹(姉)で3の恋人。
フェルランド(テノール) - 士官。2の恋人。
グリエルモ(バス) - 士官。1の恋人。
ドン・アルフォンソ(バス) - 1、2、3、4、6の友人で哲学者。
デスピーナ(ソプラノ) - 姉妹の女中。
楽器編成:フルート2、オーボエ2、クラリネット2(バセットクラリネット1)、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ1対、ヴァイオリン2部、ヴィオラ、バス(チェロ・コントラバス)、通奏低音楽器
演奏時間は各幕カット無しで90分近く、全部で約3時間かかる。