これまでに何度かブログでも取り上げてきたが、今年もいよいよ夏本番～、このアルバムを取り上げる季節がやってきた！
僕の最も好きなインストアルバムに、角松敏生の『SEA IS A LADY』というフュージョンアルバムがある。リリースされた1987年の夏と言えばまさにバブル絶頂期で、このアルバムを聴くと、当時夏には必ず海に出かけていた、あの熱い夏の風景が思い出される。そういう意味でも思い出のアルバムとなっている。
角松敏生は本来、普通にボーカルアルバムが主流だが、このアルバムは全曲インスト曲で、しかも夏らしい曲が並ぶ。キレ味抜群のギター、カッコいいベース、効果的なシンセ、ドラマチックなストリングズが見事に絡み合って、実にクオリティーの高い、極上のフュージョンを奏でる。とても37年前のアルバムとは思えないほど、今聴いても古さが全くなく、むしろ新しいサウンドのように感じてしまう。まさに普遍的な名盤だと思う。
収録曲は下記全12曲。全曲、作曲/編曲を全て角松敏生が行っている。
1. WAY TO THE SHORE“ERI”
2. SEA LINE“RIE”
3. NIGHT SIGHT OF PORT ISLAND“MIDORI”(NIGHT FLIGHT OF DC-10)
4. SEA SONG“NAOMI”
5. SUNSET OF MICRO BEACH“SATOKO”
6. OSHI-TAO-SHITAI“KAORI ASO”(MEMORIES OF DUSSELDORF?)
7. 52ND STREET“AKIKO”
8. THE BASS BATTLE“CHAKO”
9. MIDSUMMER DRIVIN' “REIKO”
10. LOVIN' YOU“SAWAKO”
11. SEA SONG (REPRISE)
12. JUNE BRIDE
ご覧頂ける通り、12曲中10曲に“女性の名前”がタイトルに付けられている。しかも、”子”の付く名前が多いのが、少し時代を感じさせてくれるのもいい(笑)。恐らく角松敏生が過去に夏に付き合った、又は巡り合った女性をイメージして作曲をしているのかもしれないが、そういう意味でひと夏の思い出なども含まれているのではないかと妄想してしまう。実にエロく、エモいアルバムであり、男性としては女性との思い出を曲に込めて、タイトルにまで付けて1枚のアルバムを創ってしまうというのは、思い出を形にする究極的な表現方法であり、何とも羨ましい。男性なら誰もが共感してしまうエロい奴・・角松敏生、恐るべしである(笑)。
この中で、2曲目の『SEA LINE “RIE”』は、当時日本たばこ(JT)のマイルドセブンメンソールのCMソングに起用されていた有名な曲なので、聴いたことがある人もいるかもしれない。
どの曲も素晴らしい出来映えだが、僕が特に好きなのはキレ味抜群のCM曲『SEA LINE “RIE”』、熱く攻める曲『OSHI-TAO-SHITAI“KAORI ASO”』、ベースバトルがカッコいい『THE BASS BATTLE“CHAKO”』、爽快なドライブミュージック、『MIDSUMMER DRIVIN' “REIKO”』などだ。激しく熱い曲の合間に、切ないバラードを折り込むことも忘れてはいない。切ない『SEA SONG“NAOMI”』、美しいバラードの『SUNSET OF MICRO BEACH“SATOKO”』、そしてラスト2曲の『SEA SONG』と『JUNE BRIDE』は、何とも切ない夏の終わりを思い出させてくれるが、とても心地良い中でアルバムは終了する。
毎年夏が近づくとこのアルバムが聴きたくなってしまうが、今年もまたZ3のBGMには欠かせない1枚となった。実はApple Musicでは少なくともデジタルダウンロードできないので、やっぱりCDで聴くしかないのだが、僕はCDから取り込んでiPhoneでも聴けるようにしている。最近レコードにハマっているので、むしょうにこの『SEA IS A LADY』のLPレコード盤が欲しいのだが、なかなか入手が困難な代物である。しかし、フュージョンやインスト曲が好きな人は、絶対におススメ出来るアルバムなので、もしまだ聴いたことが無い人は、今年の夏こそ、ぜひ聴いてみて頂きたい名盤である。
