王道ではあるが、最近モダンジャズにハマり出して以来、マイルス・デイヴィスとジョン・コルトレーンのアルバムを良く聴いている。そして先日また2枚のジョン・コルトレーンアルバムをレコードで購入した。共にジョン・コルトレーンが当時契していたインパルス・レコードからリリースされたアルバムで、音質も素晴らしい。
1)『Live at the Village Vanguard』
1枚は1961年にジョン・コルトレーンがニューヨークのジャズクラブ、『Village Vanguard』で演奏したものを録音した、『Live at the Village Vanguard』である。先日紹介したビル・エヴァンスの名盤、『Waltz for Debby』は1962年にVillage Vanguardで録音されたアルバムであったが、このアルバムはその1年前に同じ場所で録音されたものである。なぜだかわからないが、Village Vanguardで録音されたライブアルバムには名盤が多く、このアルバムもまたジャズライブの名盤として、『Rolling Stones』誌が選んだオールタイム・ライヴアルバム50の15位にランクされているくらい有名な1枚である。やっぱりライブの臨場感が素晴らしい。たった3曲しか入っていないアルバムなのだが、聴き終わった後その濃い密度に圧倒されてしまう何とも素晴らしい3曲で、爆発力のあるコルトレーンの即興演奏が実に芸術的で美しい。メンバーは当時コルトレーンとクインテットを組んでいたマッコイ・タイナー、レジー・ワークマン、エルヴィン・ジョーンズ。そしてこれにエリック・ドルフィーが数曲に参加。まさに最強のメンバーで録音したアルバムである。
(収録曲)
- Spiritual
- Softly As In a Morning Sunrise
- Chasin’ the Trane
2) 『John Coltrane & Johnny Hartman』
こちらは1963年に発表したアルバム。ジョン・コルトレーンのサックスに、ジョニー・ハートマンが歌うジャズボーカルという組み合わせのアルバムである。僕は正直ジャズボーカルアルバムはあまり好みではない。あくまでもインストで楽器の演奏だけをひたすら聴いていたい方である。しかし、このアルバムは、コルトレーンのサックスの音色が何とも甘い~。そしてハートマンの歌声がまた果てしなく甘い。虫歯になるくらい甘いのだ。この糖分多めで甘々な組み合わせは恐らく後にも先にもないくらいの傑作ジャズボーカルアルバムに仕上がっていて、比較的甘い作品が多いコルトレーンのアルバムの中でも、『Ballads』と並ぶ人気アルバムらしい。確かに、演奏もボーカルとの掛け合いがメインでもあって、変な独創的なサックス演奏に入り込み過ぎることもなく、ただひたすら美しいサックスとボーカルの競演が堪能出来るアルバムなのである。全6曲が収録されているが、ボーカルアルバムなので各曲も4-5分と、比較的普通のロックやポップスの曲時間にも近く、普通に聴きやすい。他にはコルトレーンのクインテットメンバーでもあるマッコイ・タイナーがピアノ、エルヴィン・ジョーンズがドラム、ジミー・ギャリソンがベースを担当している。シンプルな構成だが、これが実に上質なジャズボーカルアルバムとして仕上がっている。
(収録曲)
- They Say It’s Wonderful
- Dedicated to You
- My One and Only Love
- Lush Life
- You Are Too Beautiful
- Autumn Serenade
ジョン・コルトレーンと言えば先日紹介した『至上の愛(Love Supreme)』がジャズ史上に輝く名盤として有名だが、他にも実に素晴らしいコルトレーンアルバムが多い。次回は『Ballads』もぜひ購入したい。