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思い出の傑作アメリカTVドラマ、『The Twilight Zone』!

僕がアメリカのLAに住んでいた小学2-3年生の頃、母の影響でアメリカのテレビドラマを良く見ていた。当時見ていたドラマで特に印象に残っているのが、『I Love Lucy(アイラブ・ルーシー)』、『6 Million Dollar Man (600百万ドルの男)』、『Bionic Woman (バイオニックジェイミー)』、『The Brady Bunch(ゆかいなブレイディー家)』、そして『The Twilight Zone(ミステリーゾーン)』などだが、今回は『The Twilight Zone』を取り上げてみたい。

『The Twilight Zone』は1959年から1964年まで全5シーズンにかけて156話が放送されたテレビドラマで、日本では『ミステリーゾーン』という邦題が付いていたように思う。このドラマはまさにSFミステリードラマの金字塔とも言えるメガヒットドラマで、その後日本でも『世にも奇妙な物語』などの原点とも言える作品なのである。1980年代にはスピルバーグによって映画化などもされているので映画で知った人も多いのではないだろうか。

放送当初は30分番組であったが、その後第4シーズンからは1時間枠となった。僕は日本で観たことは一切ないのだが、アメリカでは常に再放送が繰り返されている人気番組で、僕も恐らく2回目の再放送あたりを小学生の頃観ていたのではないかと思う。

 

トライライト・ゾーンとは、「不可思議」や「超常現象」が起こる場所などを指す造語。「昼」でも「夜」でもない曖昧な時間帯である「夕暮れ時」(トワイライトの時間帯)を「怪異が起こる時間」という意味に使ったもので、テレビドラマが語源になった。全156話モノクロで、これが当時返って不気味なミステリアスさに拍車をかけていた。ストーリーテラーとして、原作・脚本を担当していたロッド・サーリング氏が自ら冒頭とラストに登場し、物語へと誘う仕掛けで、これをそのまま採用したのが『世にも奇妙な物語』で同様のストーリーテラーを演じるタモリである。このロッド・サーリングの小難しい解説が更にミステリアスさを演出しており、実に効果的である。

当時このドラマを観て受けたインパクトはかなり大きかったようで、細部は忘れてしまったものの、断片的に幾つかのエピソードはその後も鮮明に記憶に残っていた。そしてまた50年ぶりくらいにじっくり観てみたくなり、先日ついに念願であった全156話収録の豪華ブルーレイボックスを入手した。日本版ブルーレイは販売されておらず、入手したのは海外版で日本語字幕の無いものだが、ブルーレイだと日本のプレイヤーでも観賞できるのが嬉しい限りだ。

全156話の中で、僕が特に小学生当時好きで印象に残っていた6編をまずは下記にご紹介したい。

1) Night Call (139話 / シーズン5)

嵐の真夜中に身体が不自由な老婆に無言電話がかかってくるところから物語は始まる。やがて、その電話は嵐の影響で電話回線が墓地に繋がってしまい、昔亡くなった筈のフィアンセからの電話であったことが判明。死者と電話で繋がってしまうという、ちょっと怖い奇妙な物語なのだが、単に怖いエピソードではなく、老婆の心に長年引っかかっていた後悔の扉が開かれるちょっとラストは切ない物語。当時観たこのエピソードは長年一番鮮明に記憶に残っていたが、今回改めて観賞し、とても懐かしくなってしまった。

2) Invaders (51話/シーズン2)

無口で年配女性が一人寂しく暮らす一軒家の屋根に、ある日小さな円盤が着陸する。そして中から小さな“宇宙人”が何人か出てきて、女性を攻撃しだす。女性は怯え、家に全て鍵をかけて立て込もるが、宇宙人は小さな隙間から小さな電子銃やナイフなどで攻撃してくるが、隙を付いて女性はついに屋根にあがり、ハンマーで宇宙船を粉々に破壊する。しかし、良く見ると、その宇宙船にはUS Air Forceと書かれていた。地球から派遣された宇宙船だったのだ。するとこの女性が暮らす、巨人の住む星はいったいなんなのだろうか・・。映画『猿の惑星』の衝撃のラストシーンでも用いられた、侵略者を逆転の発想で捉えた話で、『トワイライトゾーン』を代表するエピソードとなっている。

3) The Dummy (98話/シーズン3)

腹話術師として舞台に立ち、人気者になっていた男が、腹話術人形が生きていると言い出し、狂気の世界に落ちていき、最後は人形と入れ替わってしまうという、これまた怖い話。腹話術人形自体良く見ると結構怖いが、人形に魂が宿るというエピソードとして、以降様々な映画やドラマに影響を与えた作品。僕も大学時代にマネキンをベースにした短編映画、『Once In a Blue Moon』というホラー映画をゼミメンバーと一緒に撮影したのが良い思い出だが、この時にもこの『Dummy』のエピソードが間違いなく脳裏にあったのだと思う。

4) The Hitch-hiker (第16話/シーズン1)

東海岸からLAまで長距離をドライブしている女性の前に、謎のヒッチハイカーが現れる。無視して先に進んでも常に同じヒッチハイカーが現れ、彼女を恐怖に陥れ、次第に精神状態がおかしくなっていくが、実は彼女がこのドライブの途中で交通事故にあい、死亡してしまっていたというこれまた怖い話。謎のヒッチハイカーの怖さが、スピルバーグの出世映画『激突!』や、前半部分の不安感はヒッチコックの『サイコ』にも通ずるサスペンス感があって、僕もお気に入りのエピソード。

5) Mirror Image (21話/シーズン1)

ニューヨークで長距離バスを待合室で待つ女性。悪天候でバスは30分以上出発が遅れており、何時ごろ出発になりそうか窓口に聞きにいくと、“さっきも説明したばかりだろ、何度聞くんだ!“と怒られてしまうことから、自分の分身がいて、自分と置き換わろうとしているんだと、次第に精神的に彼女は追い詰められていく様子が描かれる。ドッペルゲンガーなのか、パラレルワールドなのか、単なる錯覚なのか、今でも色々な映画やドラマで類似したテーマが展開されるが、そのエッセンスがコンパクトに詰まった秀作。主演は、『サイコ』にも出演していた人気女優のヴェラ・マイルズというのも特筆すべきエピソード。

6) The Monsters are due on Maple Street (22話/シーズン1)

これも宇宙人の侵略ものだが、ある日謎の宇宙船を空に見かけ、小さな町のMaple Streetエリアは一斉に停電してしまう。これを機に、町民は疑心暗鬼になり、近隣住民が実は宇宙人の仲間ではないかとお互いに疑い、争いだす。そしてある家だけ電気が復旧したことで、“おまえが宇宙人だろ!”と大暴動がおこり、Maple Streetは崩壊していく。それを、宇宙船から見守る宇宙人。“愚かな人間どもは、攻撃しなくてもお互いの信頼を壊せば自ずと崩壊していくので簡単だ”と言い放ち、物語は終わるが、これは本当に人間の弱さを皮肉った秀逸なエピソードであった。

今改めてみると短編の中にSF・ミステリーとしての面白さ、そして人間のもろさなどが各エピソードに込められていてとても面白いし、興味深い。その後の多くの映画やドラマに多大なる影響を与えたテレビドラマシリーズとしての偉大さを痛感せずにはいられない。物語の怖さも、オカルト・ホラーの怖さというよりは、精神的な怖さがあり、ある意味一番怖いのが人間の精神的な怖さであることも改めて思い知らさせる内容で実に興味深い。

他にも秀逸なエピソードが多く、また改めて色々なエピソードを観賞し直した上で、第二弾として取り上げてみたいと思う。

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