<61空港、需要予測届かず 08年度、達成8空港のみ>
朝日新聞 http://www.asahi.com/ 2010年3月10日
国土交通省は9日、国内98空港について、空港を建設したり拡張したりする際の判断基準となってきた国内線の需要予測と2008年度の利用実績をまとめた。建設時期が古くて当時の需要予測が明らかでない空港や実績がない空港などを除く69空港のうち、実績が予測を上回ったのは8空港にとどまり、約9割の61空港は予測を下回った。甘い予測に基づいて地方空港を乱造してきた実態が浮かび上がった。
08年度を予測の対象年度としていない空港も多く厳密な比較はできないが、直近の予測と実績とを単純に比較すると、予測を上回っているのは熊本、長崎、庄内(山形県)、岡山、那覇、旭川、名古屋、羽田だけだ。
一方、小値賀(おぢか)、上五島(ともに長崎県)など5空港が、路線の運休などで利用実績がほぼゼロ。紋別(北海道)、石見(島根県)、奥尻(北海道)など離島や過疎地の空港も予測を大幅に下回った。松本が5分の1、福島は4分の1、宮崎は3分の1にとどまるなど、都市部でも大きく低迷した空港も多く、33空港の実績が予測の半分を割った。
需要予測は国や地方自治体、空港会社などが、交通量や人口・国内総生産(GDP)の将来予想、観光需要の見通しなどを基に作成し、建設の必要性を判断する重要な指標だ。調査の多くは、同省出身者が幹部を務める「運輸政策研究機構」などの財団法人やコンサルタント会社などに委託されている。
予測が軒並み過大だったことについて、同省は「GDPが想定ほど伸びなかったことや、航空会社の経営不振による路線撤退などが主な原因」と説明する。ただ、空港を造る主体が主導して調査しているため、甘い見通しを立てた可能性もある。前原誠司国交相は9日の会見で、適切な予測や検証が行われるよう改善に努める意向を示した。
空港建設は、高度成長期の1970年にできた空港整備特別会計(現在の社会資本整備事業特会の空港整備勘定)が支えてきた。航空機燃料税や空港使用料が充てられ航空会社の負担となったほか、不採算な地方空港や地方路線を増やす結果にもなった。前原国交相は、特会を抜本的に見直す方針を打ち出している。(澄川卓也)
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予測が甘いのは、何のための予測なのかを考えれば当然のことです。
それにしても、明日開港の茨城空港が年間70万人の予測。
首都圏第3空港を目指すことを本気と捉えればかなり控えめな数字です。
予測レベルでは稚内空港、鳥取空港などと同じレベル、実績レベルで釧路空港や出雲空港などとほぼ同じレベルで、羽田の規模と比べるとその2%にも満たない数字ですよ。
しかも国内線1日1便でのスタートですから、実績が予測に届かないことは小学生でも解ります。ホントに何のために作ったのか、ため息が出ますね。
離島の貴重な交通手段とは違い、代替手段が豊富にあって、比較すればそちらの方が断然利便性が高いんですから。
朝日新聞 http://www.asahi.com/ 2010年3月10日
国土交通省は9日、国内98空港について、空港を建設したり拡張したりする際の判断基準となってきた国内線の需要予測と2008年度の利用実績をまとめた。建設時期が古くて当時の需要予測が明らかでない空港や実績がない空港などを除く69空港のうち、実績が予測を上回ったのは8空港にとどまり、約9割の61空港は予測を下回った。甘い予測に基づいて地方空港を乱造してきた実態が浮かび上がった。
08年度を予測の対象年度としていない空港も多く厳密な比較はできないが、直近の予測と実績とを単純に比較すると、予測を上回っているのは熊本、長崎、庄内(山形県)、岡山、那覇、旭川、名古屋、羽田だけだ。
一方、小値賀(おぢか)、上五島(ともに長崎県)など5空港が、路線の運休などで利用実績がほぼゼロ。紋別(北海道)、石見(島根県)、奥尻(北海道)など離島や過疎地の空港も予測を大幅に下回った。松本が5分の1、福島は4分の1、宮崎は3分の1にとどまるなど、都市部でも大きく低迷した空港も多く、33空港の実績が予測の半分を割った。
需要予測は国や地方自治体、空港会社などが、交通量や人口・国内総生産(GDP)の将来予想、観光需要の見通しなどを基に作成し、建設の必要性を判断する重要な指標だ。調査の多くは、同省出身者が幹部を務める「運輸政策研究機構」などの財団法人やコンサルタント会社などに委託されている。
予測が軒並み過大だったことについて、同省は「GDPが想定ほど伸びなかったことや、航空会社の経営不振による路線撤退などが主な原因」と説明する。ただ、空港を造る主体が主導して調査しているため、甘い見通しを立てた可能性もある。前原誠司国交相は9日の会見で、適切な予測や検証が行われるよう改善に努める意向を示した。
空港建設は、高度成長期の1970年にできた空港整備特別会計(現在の社会資本整備事業特会の空港整備勘定)が支えてきた。航空機燃料税や空港使用料が充てられ航空会社の負担となったほか、不採算な地方空港や地方路線を増やす結果にもなった。前原国交相は、特会を抜本的に見直す方針を打ち出している。(澄川卓也)
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予測が甘いのは、何のための予測なのかを考えれば当然のことです。
それにしても、明日開港の茨城空港が年間70万人の予測。
首都圏第3空港を目指すことを本気と捉えればかなり控えめな数字です。
予測レベルでは稚内空港、鳥取空港などと同じレベル、実績レベルで釧路空港や出雲空港などとほぼ同じレベルで、羽田の規模と比べるとその2%にも満たない数字ですよ。
しかも国内線1日1便でのスタートですから、実績が予測に届かないことは小学生でも解ります。ホントに何のために作ったのか、ため息が出ますね。
離島の貴重な交通手段とは違い、代替手段が豊富にあって、比較すればそちらの方が断然利便性が高いんですから。
