教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

失業とアンパンマン

2010-09-06 00:01:04 | オタネタ全般
『アンパンマンの行く末はダメパンマン』

これは二次創作においてのコンセンサスとなりつつある推測である。

アンパンマンの世界にも、きっといつかは争いも暴力もない世界が現れると皆が信じている。
アンパンマンの真のあるべき世界とはそういうものだ。

では。
その平和が訪れたアンパンマンの世界において、仲間たちの行く末はどうなるのだろうか。



カレーパンマンはまだ見ぬ世界を夢見て外世界へと旅立った。
ドキンちゃんは一人の恋に生きる女として生まれ変わった。
しょくぱんまんはリア充としてヒーローではない別の人生を謳歌している。
ジャムおじさんはかつての平和な時代と同様にパンを焼いて暮らしている。

多くの者たちは、かつての凄惨な正義と悪の代理戦争の時代を乗り越え、自分たちの幸せを見つけようとしていた。

しかし!
たった1人だけ、そこから変わることのできなかった者がいた。
アンパンマンである。

その世界では、アンパンマンはかつて自分が世界を救うヒーローとなって戦っていた自分にとっての栄光の時代を日々反芻しつつ、そしていま何もできない自分に憤り、また腐りはてて何もせずただブラブラと生きていた。
誰となく、ひとはそれをダメパンマンと呼んだ。



・・・とまあ、こんな具合に二次創作されることが多い。

マクロ経済でいうと、これは典型的な構造的失業である。
構造的失業とは、移りかわる社会においては成長産業と衰退産業が常にあり、衰退産業の労働者が成長産業へと転職するまでに一時的に失業しているというたぐいに分類される失業のことを指す。
100年前にいた馬車の運転手が全員失業したのも、ネットの普及により証券の店頭販売が減少しているのも、この構造的失業で説明がつく。

バイキンマンがいなくなった未来。
そこでは外敵から国民の財産を守るという防衛産業が衰退した。
それによりアンパンマンは失業したのだ。
構造的失業とはそういうことだ。

では二次創作では、なぜアンパンマンだけが職がないままとされているのか。
しょくぱんまんやカレーパンマンはなぜ新たな職を見つけているとされているのか。

これについては特化により説明をつけることができる。

どんな人でも、どんな企業でも、どんな国でも、得意なことと不得意なことがある。
得意なことも不得意なことも全て自分で手広くやっていたら埒があかない。
不得意なことは人にまかせ、自分は得意なことに専念したほうが良い。
そのほうが自分も儲かるし、社会全体としても最も効率が良くなる。
資源もなく土地もない日本が加工貿易に特化してこれまである程度の成長を収めたのもこれにあたる。
電子系に少々の知識のあるわたしが道楽で電験2種をとったのも、特化したほうが費用対効果(学習の困難さ 対 社会的なハク付け)が高いと判断したからでもある。

では。
アンパンマンの世界ではどうか。

アンパンマンは誰よりも特化した。
正義の味方という職業に特化した。
だからこそ他のどんなヒーローたちよりも成功した。

しかし!

正義の味方という職業が不要になった未来。
そこでのアンパンマンは、誰よりも無能な人物となりはてていたのだ!

このことは何を意味するのだろうか?

これは決して特化がいかんという事を意味するのではない。
特化しなければ自由競争には勝てないからだ。
アンパンマンの世界においても、専業の職業で正義の味方を勤めることのできる人物は恐らく、しょくぱんまん, カレーパンマン, アンパンマンのたった3人しかいない。
他のヒーローたちは正義の味方という職業だけでは食べていくことができないのではなかろうかと、わたしはそう推測している。

アンパンマンはどうすべきだったのか?
他のヤツらとは何が違ったのか?

それは職種の構造転換を拒否したことに原因がある。

アンパンマンは正義の味方という世界で誰よりも成功した。
誰よりも成功したからこそ、正義の味方という職業からの転換に誰よりも躊躇してしまったのだ。
正義の味方だったアンパンマンは、ジャムおじさんといっしょに地味で慎ましくも安寧にパンを焼いて暮らすという人生の選択ができなかったのだ。

だからダメパンマンとなった。
これは必然である。
わたしはそう推測している。



アンパンマンにとっての選択は何が最適なのか?

正義の味方というかつての栄光は決別できなければ先には進めない。
そして、たとえばジャムおじさんといっしょに地味で慎ましくも安寧にパンを焼いて暮らすべきなのだ。
それが模範解答だ。

しかし!

もう1つ、解答がある。

アンパンマンは強い。
どれくらい強いかというと、敵対民族バイキンマンに対しほぼ100%近い勝率をおさめる防衛能力を誇るほど強い。

ということはだね・・・。
アンパンマンはバイキンマンと同じ道を進めば良い。

バイキンマンより強いアンパンマンがバイキンマンと同じ道を選択すれば、バイキンマンよりも大きな成功を収めることは容易に想像できる。
こんどの敵はバイキンマンではなくアンパンマンだ。
しょくぱんまんやカレーパンマンが2人がかりでもアンパンマンには勝てないかもしれない。
兵站(顔の補充など)さえしっかりしていればアンパンマンは無敵の侵略者になりうる、いや、無敵の侵略者に最も相応しいのだ!



さあ立ち上がれダメパンマン!
我々にダメパンマンではないところを見せてみよ!!
君を無能あつかいした国民どもに憎悪の鉄槌を下してやれるのは君だけなのだ!!!