以下2点ほど質問が来たので、ここで解説したい。
【Q1】
古い銀貨を持っているが、ほとんど価値がないようだ。
金貨のほうがいいのか?
【Q2】
記念コインの金貨を持っているが、店員には金貨よりインゴットのほうがいいと言われた。
本当か?
そもそも、記念コインの金貨は買ってもいいかどうかというと……?
買ってはいけない。
なぜか?
記念コインの金貨は新発売の時点では地金の価値の3倍とかでよく売られる。
しかし、ガチ勢が集うコインのフロアオークションでは、たいがい地金の価値かそれプラスアルファくらいしかつかない。
つまりどういうことかというと……
金の地金価格が3倍になるとか、円の価値が1/3になるとか、そんなちょっとやそっとでは想定し辛いような未来が来ないことには、ほぼ確実に負けるということだ。
じゃあインゴットのほうがいいのかというと……?
インゴットはインゴットで致命的な弱点がある。
日本の先物市場で現物取引されている金のインゴットのデフォルトサイズは1kgである。
ということは、1回の取引で600万円もかかるということである。
これでは時間方向にリスク分散することができない。
我々のような庶民にはもっと小口のものがいい。
たとえば、金はいつか値上がりすると信じて、値上がりするまで20年でもコツコツ買っていけばいい。
そうすればいつかは勝って上がりになる可能性が大幅に高まる。
だが、それにはコツコツ買えるくらいのサイズでないとダメだ。
じゃあどうすればいいかというと……?
たとえば、田中貴金属とかで売っている、もっと小口のバー、例えば5gのバーを買う、という方法もある。これなら3万円だ。
ガチ勢が集うコインのフロアオークションで記念コインの金貨を買ってもいい。これは投資案件として見た場合には、田中貴金属で5gのバーを買ったのとほとんど同じだ。
しかし!
もっといい手がある。
アンティークコインの金貨だ。
アンティークコインって高いんじゃないの?……と思うかもしれないが、そんなことはない。
コインのフロアオークションであれば、地金の価値かそれプラスアルファくらいで入手可能なアンティークコインは毎回いくらでも出品される。
投資案件として見た場合には、記念コインの金貨を買うよりこっちのほうがはるかにマシである。
なぜか?
記念コインの金貨は、ほとんどの場合は残存枚数が多すぎるので、自分の余命より長い時間だけ待ったところで希少価値なんぞ出るわけがない。
だいたいヨーロッパのそこいらの国の金貨なんぞ、残存枚数が1000枚くらいであろうと思われるコインですら地金コインあつかいでもふつうだ。
だいたい平成2年の天皇陛下御即位記念10万円金貨なんぞ発行枚数200万枚だ。
これ、いったい何千年待てば希少価値が出るんでしょうね。
だったら。
もしかしたら、希少価値が出て、金の地金価格より高く売れる日が来るのでは?……という打算が働くくらいの残存枚数のアンティークコインを買ったほうがいい。
投資案件として見た場合には、金の地金価格の値上がりと、アンティークコインとしての希少価値の、その両方で値上がりが見込めるという寸法だ。
もちろん、アンティークコインを買うにしても、いま地金価格で売られているコインだけを優先して買う必要はない。
もっと希少なものにチャレンジするのも当然ありだ。
では。
銀貨はダメなのか?
銀貨はダメではない。
しかし、アンティークコインの投資を始めてもいない人が銀貨に投資するのはオススメできない。
なぜか?
そもそも金より銀のほうがはるかに安い。
金は1gで6,000円(先物価格)かもしれないが、銀は1gで90円だ。
金は田中貴金属の5gのバーを買うと3万円だが、銀で3万円ほど買うと330gになり、けっこうかさばる。
もし、毎月3万円のコツコツ投資を20年行ったとすると、金なら1.2kgだが、銀だと80kgにもなる。
これはあかん。
だいたい銀は最低でもキログラム単位で買わないと意味がない。
1,000円が2,000円になったところでどうでもいいが、10万円が20万円になれば悪くない。
最低それくらいの物量で狙わないと意味がないだろう。
ではどうすればいいのか?
銀貨なら、はじめから希少価値がちゃんとのってるものを買うくらいしかマトモな投資方法はない。
しかし、これがまた難しい。
なぜか?
金貨より銀貨のほうがけた違いにたくさんある。
そしてほとんどは銀の地金の価値しかない。
その中から投資としてマトモに成立する希少価値のある銀貨を見抜いて投資しなければならない。
あたりまえだが、
「コインショップに行ったらすごい高い値段で売ってたから、これは絶対に価値がある銀貨に違いない!」
っていうのはタダのカモなので、ちゃんと相場観を養わないといけない。
これはアンティークコインの投資を始めてもいない人がそうそうできることではないと思う。
じゃあやっぱり銀貨はダメじゃん!
……となるかというと、そうでもない。
希少性が同じだったら、金貨より銀貨のほうがかなり割安で取引される。
みなさん金貨のほうがありがたがるからだ。
ということはどういうことかというと……
銀貨のほうが希少なコインを入手しやすいということだ。
これは投資として魅力的だ。
我輩も、金貨と銀貨で同程度の残存枚数と推定される同じシリーズのコインで、金貨は高すぎるので1枚も持っていないが、銀貨は何枚か持っている、というのもある。
(※貸金庫にぶっこんであるので自宅にはないよ)
あと、金と違う相場で動いていることも銀の魅力の1つである。
超長期の歴史的には、金は銀の10~15倍くらいで取引されていたようだ。
しかし、いまは金は1gで6,000円、銀は1gで90円だ。
これ、実はめちゃくちゃ安いのでは……?
っていう可能性もあるわけだ。
上の写真のヤツは100年ちょい前のインドのコインで、世間では地金の銀の倍くらいで取引されている。ようするに大して高くはない。
単品だと安すぎてフロアオークションに適さないので24枚Lot売りになっていたものを買ったヤツで、送料手数料ふくめても市場価格の3割引きだった。
今すぐ売ってもそう大きくは損しないだろうし、銀地金が1.5倍になればそれだけで益が出るし、長期に持っていればそのうち希少価値でちょっとづつ値上がりするかもね、という寸法だ。
日本の先物市場で現物取引されている銀のインゴットのデフォルトサイズは30kgである。
もし10個でも買えるくらい種銭と保管場所を確保できるなら、インゴットを狙って買うのもおもしろいだろう。
いじょ