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memorandum&curiosity

重畳的債務引受

2005年11月29日 01時18分04秒 | legal
最近、巷では、耐震強度偽装問題が話題になってますよね。これをニュースで知ったときは、本当に酷い話だなぁ・・・と呆れてました。

なけなしのお金をはたいて購入したマンションが震度5に耐えられないなんて知ったときの消費者は気の毒ですよね。間違いなく被害者ですよね。

何年後かにこのブログを見てもどんな内容の事件だったか忘れないために、要旨をまとめておきますと、マンション販売会社に仕事を依頼 → 建築設計事務所に設計を依頼(元受) → 下請けの設計事務所が耐震強度偽装 この間に、国土交通省による指定確認検査機関が、構造計算書等をチェックします。
このように、事件は非常に複雑になってしまいました。

本来ならば、施工業者の手抜き工事などで問題になるケースを想定していた行政もまさか、設計の段階で不法行為がなされるとは想定外だったのでは?と想像してしまいます。

マスコミは連日のように犯人探しをしていますよね。最終的には民営化が問題だったのでは?と問題波及が広がってきています。これについては、あまり感じよく思っていません。なんでも、政府のせいにして、自己満足しているマスコミにはちょっとがっかりです。民営化が失敗だというなら、車も食べ物も、消費者の生命にかかわる問題で、国営化しなければなりません。(ましてや、平塚市役所の件を考えれば、民営化は失敗という論理が説明できません)さらには、資本主義社会を全否定してしまうことになります。(そっちの方がアブナイ気がします)

話が長くなりましたが、ここまでの状況では、ブログに書きとめようとまでは思いませんでした。偽装した設計事務所も、マンション販売会社も、行政もそれぞれに責任があると思います。ところが、マンション販売会社については、非常に悪質で、許せない気持ちでいっぱいになります。(個人的には、一番責任を負って欲しいと思いました)
マンション販売会社には、瑕疵担保責任といって、契約を履行する義務が生じます。自動車会社なら、リコールになります。もちろん、対象物がマンションなので、リコールは無理だとしても、契約解除するなり、マンションを買い取るくらいの責任があると思います。そして、マンション販売会社は、マンション買取を提案したまではよかったのですが、その一文に、重畳的債務引受という文言が入れられていたそうで、この期に及んで保身するような態度は卑怯だとしか言いようがありません。

※ 債務引受には、2種類ありまして、免責的債務引受と重畳的債務引受があります。
  免責的債務引受は、債務者に代わって債務を引き受けることになりますが、
  重畳的債務引受は、債務者と引受人が連帯債務関係になります。
  つまり、マンション購入者は、マンションの所有権を販売会社に戻しますが、
  債務は残ったままということです。(最悪です)

なぜ、卑怯かと言えば、販売会社が計画倒産を考えたのならば、マンション購入者が、マンション販売会社に対して損害賠償請求したとしても、ほとんど、戻ってこないでしょうし、さらには、ローンは消えないままになり、新たにマンションを購入しようとしても、恐らくほとんどの方がローンを組めない状況になると思われます。(踏んだり蹴ったりです)

今、震度5以上の地震がきたらと思うとゾッとします。本当に気の毒です。これが氷山の一角だとすれば、不動産業界はパニックになり、景気にも影響がでます。大迷惑です。