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memorandum&curiosity

共謀罪

2005年10月22日 20時56分02秒 | legal
新聞を読んでいますと、「共謀罪法案」の国会審議が始まったと書いてあるので、世間の安全を考えるなら大変良いことだなぁ・・・と感心していました。ところが、どうやら自分が考えているほど物事は単純ではないようで、他紙の社説等も読んでみたところ、いろいろと批判もあるようです・・・。

日本弁護士連合会によると、「共謀罪は、思想を処罰することにつながる」との批判があるようです。一体これはどういうことなんでしょうか?

この話では、仮にこの法案が新設された場合、会話やメールのやりとりが捜査の対象となるようで、捜査機関による不当な監視の強化につながると懸念を示しているようです。(そうなると、ちょっと怖いなぁ)
たとえ話をすれば、マンション建設反対の住民が、自治会で反対運動をしようと、話し合っただけで、共謀罪の対象になるということは、人権問題にも影響します。さすがにこれは、問題なのでは?

それを問題視している中で、修正案も出ているようで、成立しない場合として、①団体の活動や縄張りと無関係に友人や同僚と共謀、②犯罪の実行部隊のない市民団体や会社の人の共謀、③マンション建設に反対する住民グループが工事の妨害を話し合うなど・・・共謀罪に適用されないケースを具体的に示しているようです。

ここまでの流れでは、修正されたことによって、法案が通過するのでは?と安易に考えました。ところが、刑法のところで問題がありまして、「中止犯」の定義があいまになるという指摘があります。
これはどういうことなのかというと・・・「中止犯」は刑法43条で「自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減刑し、または免除する」と規定されています。ということは、犯罪を思い立っても自己の意思で中止をすれば、減刑されたり、免除される可能性が残されていました。しかし、「共謀罪」については、共謀してしまったら即、既遂になります。これでは、刑の減免措置によって未然に防げる犯罪に歯止めをかけることができなくなり、世間の安全を脅かすことになりかねません。

そもそもどうして、「共謀罪」という法案を通過させる利点はどこにあるのでしょうか?
新聞には、2000年の国連総会で、テロ・暴力団、マフィアなどの組織犯罪の撲滅を目指す「国際組織犯罪防止条約」が採択され、日本は、条約に署名し、国会で承認していることから、テロなどの未然防止に効果的な共謀罪について創設を義務付けられているそうです。

そして、頭が痛いのは、国内法の整備ができず、条約批准が遅れ続けるようでは、テロや麻薬密輸など組織犯罪に対する国際共闘の足並みを乱すことになりかねないところに、国益を損ねる場合も考えられ、非常に心配です。