6月4日に静岡県浜松市の浜松市地域情報センターにおいて「自衛官人権裁判に勝利を!全国交流集会」(主催:自衛官人権裁判全国弁護団連絡会)が開かれた、主催者発表で150人余の参加があった。
主催者あいさつの後、護衛艦さわぎり裁判、護衛艦たちかぜ裁判(控訴審)、浜松自衛官人権裁判、真駒内基地「命の雫」裁判、朝霞駐屯地事件裁判について、各裁判の弁護団から事件の概要と経過報告があった。
その後、問題提起として「自衛官の人権を守ることの意義、その方策は?」と題して、三浦耕喜氏(東京・中日新聞記者)、佐藤博文氏(日弁連人権委員会、基地問題調査研究特別部会委員)、岡田尚氏(たちかぜ裁判弁護団長)、西田隆二氏(さわぎり裁判弁護団事務局長)の4氏によるパネルディスカッションが行われ、さらに会場からの発言もあった。
自衛官の自殺率が他の公務員の2倍に及び、暴力や暴言などのいじめ(パワーハラスメント)やセクシャルハラスメント、訓練に名を借りた暴行などが隊内で行われ、そのために自殺に追い込まれたり、死亡する事件が相次いでいること。その背景にある自衛隊の組織体質、事件が発生しても、事実や情報を隠蔽し、組織防衛を優先して隊員の人権を守ろうとしない現状、情報公開を進め自衛隊員の人権を守るための軍事オンブスマン制度の必要性、東日本大震災に派遣されている自衛隊員が置かれている過酷な状況など、現在の自衛隊が抱えている問題について、人権の視点から多くの問題提起、意見がなされた。
集会ではそれぞれの裁判の原告のあいさつもあり、最後はすべての裁判に勝利することを目指して、団結ガンバローで締めくくった。
3月に浜松基地自衛官人権裁判の結審を傍聴し、今回の交流集会で現在進められている五つの裁判について話を聞くことができた。浜松と真駒内の二つの裁判の原告は、沖縄の関係者である。県内紙でも両裁判の報道はされているが、まだ関心はそれほど高くないのではないかと思う。しかし、自衛隊内で発生している人権侵害を放置し、その組織体質をさらに悪化させることは、一般市民にとっても危険である。7月11日には浜松の裁判の判決が出るが、多くの人に注目してほしい。