海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

クヮッチーサービラ

2008-06-18 11:23:06 | 生活・文化
 さるお方から、ミープッカギーの和名はミフクラギといい、沖縄夾竹桃ともいうのだと教えてもらった。じつは東江のミープッカギーには沖縄夾竹桃という名前が板に書いて幹に付けられているのだが、確かめに行くのが面倒くさくて、知らないと書いてすませてあったのだった。ご教示に感謝します。ちなみに名護市のホームページには、その東江のミープッカギーが紹介されている。樹齢200年だとのこと。
 子どもの頃、ラジオから「オリエンタルマースカレー」のCMソングが流れてくると、「マンゴーだよ」という歌詞のマンゴーという奴が気になってならなかった。何やらうまそうな果物という印象だったが、絵を見るとミープッカギーの実に似ている。まさかこれがマンゴーだとは思わなかったが、これがマンゴーならいいのに……とは思った。ミープッカギーの実は猛毒らしいので、囓ってみなくてよかった。
 マンゴーといえば、20年ほど前にインドネシアのスマトラに行ったときに、トバ湖という湖の畔に住むバタック族の皆さんの村の広場に、大人二人で抱えきれないくらいの木があった。幹が徳利みたいな形をして葉も似ていたので、トックリキワタかと思ったらマンゴーの木だということで驚いた。高さも二十メートルほどあり、マンゴーがあんな大木になるとは思わなかった。
 スマトラでもう一つ驚いたのは、沖縄にもよくあるクワーディーサーが、杉の木みたいにまっすぐ生えていることだった。赤道直下で台風がないので、こういうふうにまっすぐ伸びるのか、と考えたのだが、実際のところはどうなのだろうか。
 ガジマルやウスクガジマルの大木も沖縄と同じようにあちこちにあった。老木に木の精が棲むというのも沖縄と同じだった。ちなみに今帰仁では老木に棲むキジムナーのことをセイマという。子どもの頃祖母から、夜、遠くの山で青い火が動き回っているのはセイマヌピーと言い、セイマが火を手にして飛び回っているのだと教えられた。木や草に唾のような泡が付いているのは、セイマのチュンペー(唾)と言った。
 宮古農林高校や北部農林高校に勤めていた頃には、生徒が農場で作ったマンゴーで形の悪いのを格安で職員室に売りに来たので、よく買って食べたのだが、最近は口にすることも滅多にない。スーパーでメキシコ産の安いマンゴーを買ってみたら、まずくて食えたものではなかった。ということで、キーツマンゴーの苗を買ってきて実家に植えてあるのだが、実がなるまで成長するかどうか。
 実家には他にパッションフルーツ、パパイア、すもも、レイシ、島バナナ、アセロラ、アテモヤ、シークヮーサー、ベンシルー(グワバ)、ドラゴンフルーツ、ビワなどがある。植えたものもあれば勝手に生えたものもあり、実がなるのはまだ少ないが、これからもっと増やしていこうと考えている。今年はパッションフルーツの実がやたらたくさんなっているが、包丁で二つに割ってスプーンで食べると実にうまい。那覇空港で高い金を出して買っている観光客が見たら驚くだろう。
 ということで、最後はガチグトゥの話になった。自然の恵みをクヮッチーサービラ。

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