海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

「エルミタージュ美術館展」と映画『サーミの血』

2017-10-15 20:43:49 | 映画

 15日(日)は兵庫県立美術館で「エルミタージュ美術館展」を見た。この春に東京に行ったときもやっていたのだが、その時はミュシャの「スラブ叙事詩」やブリューゲルの「バベルの塔」、「茶の湯」展の曜変天目茶碗など見たいものが多くて、足を運ぶことができなかった。心残りだったが、兵庫に来た際に見ることができて幸運だった。

 その後、『サーミの血』という映画を見た。ある人たちには普通に得られる自由や権利が、別の人たちには故郷や家族、名前、言葉、文化を捨てないと得られない。差別と偏見の中で、一人の女性が自らの生き方を貫くために、どれだけのものを犠牲にしなければならなかったか。

 老いた主人公が鬼気迫る姿で岩山を上り、昔ながらの暮らしを営むサーミのテントを訪れる。自由を求めてたくましく生きた…、というきれいごとではすまない痛みが伝わり、涙が落ちた。

 少数民族への差別に人類学が果たした役割も描かれる。研究材料として持ち去られた人骨の問題も含めて、沖縄にとってこれは遠い別の国の話ではない。多くの人に見てほしい。

 『サーミの血』公式サイト

http://www.uplink.co.jp/sami/


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