海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

辺野古の浜の固定フェンス設置工事

2011-02-13 01:43:44 | 米軍・自衛隊・基地問題
 ここのところ高江に通っていて、辺野古の浜の固定フェンス工事が気になりつつも、昼間は足を運べないでいたが、12日の午後から様子を見に行った。











 浜を分断して仮設の鉄板フェンスが壁を造り、波打ち際近くから海中にかけて大型の土嚢が並べられ、ブルーシートがかぶせられている。















 フェンスの向こう側は、見に行ったときは工事は行われていなかったが、大型の土嚢やコンクリート擁壁の基礎部分が置かれ、砂浜が荒らされて無惨な状態となっていた。

 2月4日に新基地問題を考える辺野古有志の会とティダの会で、辺野古の浜への固定フェンス設置を中止するよう沖縄防衛局に申し入れに行った。その際、沖縄防衛局から提供された資料を見ると、浜の西側のモクマオウが生えている辺りから、浜を分断して59.55メートルにわたってコンクリート製擁壁が新設される。さらに、それに接続してコンクリート製プレキャスト護岸(ブロック防波堤)が、砂浜から波打ち際、海中へと58.80メートル新設される。
 コンクリート製の擁壁と護岸を合わせると118.35メートルの長さに及ぶ。その擁壁と護岸の上に117.95メートルの長さにわたって鉄柱と金網フェンスが設置される。また、現在砂浜に一部埋没しているコンクリートブロックを護岸の前に移設するとされている。
 これだけの大がかりな工事は、これまで浜に設置されていた蛇腹式鉄条網から金網フェンスに取り替える、というような生やさしいものではない。辺野古崎を埋め立てて建設されようとしている新基地計画と連動したものであり、この固定フェンスの設置工事自体が、あくまで普天間基地の辺野古「移設」を強行するという日米両政府の政治的メッセージと言っていい。
 また、注意を要するのは、新設されるコンクリート製擁壁・護岸・金網フェンスは、以前の蛇腹式鉄条網よりキャンプ・シュワブ寄りに設置されることだ。つまり、新設されるフェンスよりも数メートル手前にキャンプ・シュワブ施設区域境界線があり、市民が新設フェンスに近づいただけでキャンプ・シュワブ内に侵入したと見なされる可能性があるのである。現在も境界線付近は常時監視カメラで監視されているが、米軍は新設される金網に近づいて写真を撮ろうとしたり、リボンや横断幕を結ぼうとしただけで、施設内に侵入したと弾圧してくることが予想される。

 2月4日に行われた新基地問題を考える辺野古有志の会とティダの会の申し入れについて、沖縄防衛局業務課は「辺野古の浜のキャンプ・シュワブ提供施設内で行われている米軍工事に対する国内法の適用についての回答」を同日付で文書回答している。その全文は以下の通りである。

〈一般国際法上、駐留を認められた外国の軍隊には、特別の取決めがない限り接受国の法令は適用されず、このことは、我が国に駐留する在日米軍についても同様であり、在日米軍が施設・区域において米軍発注工事を行う場合、国内法は適用されない。
 なお、在日米海兵隊基地司令部によると、米軍発注工事においては、環境保護対策として、請負業者に日本環境管理基準の遵守を義務づけているとのことである〉

 米軍基地内は治外法権の世界だから、米軍が何を造っても沖縄防衛局は住民のために何もしません、というわけだ。〈特別の取決め〉を結ぶ意思もなく米国に隷従し、米軍に奉仕することを役割とする日本政府・防衛省・沖縄防衛局の姿をまざまざと見せた回答である。



 辺野古の県道沿いには辺野古住民・名護市民有志一同によって「怒」の横断幕が掲げられている。
 名護市当局、市議会はもとより、沖縄県当局、県議会も普天間基地の「県内移設」に反対するというのなら、辺野古の浜の固定フェンス設置工事中止を求めて積極的に動くべきだ。コンクリート製擁壁・護岸、金網フェンスによって分断された辺野古の浜の風景そのものが、「県内移設」反対という県民意思を踏みにじって新基地建設を強行するという、日米両政府の政治的意志を表すものとなる。単なるフェンスの改修工事と過小評価してはならない。

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