jazz and freedom and avenger

勝手気ままな戯事日記 暇つぶしに・・・・

自己革新宣言・・・・・LET FREEDOM RING / JACKIE McLEAN

2024-01-26 | Aggressive Voyage of Jackie McLean

 

これは、衝撃のレコード。その頃、下鴨高木町から下鴨一本松の下宿長屋に移り住んだ。FM放送の「ジャズ・フラッシュ」が聴きたくて、母親を拝み倒してSONYのトランジスターラジオ、「ソリッド・ステート・11」を買ってもらった。
ある夜、その「11」からこのレコードが流れ始めた。まだ、ジャズを聴き始め二ヶ月ほどの初心者の僕は、マクリーンの名すら知らず、その重厚で尋常ならざるイントロを聴いたとたん、すぐに鉛筆とメモ紙を用意した。そして、マウスピースのリードを強く噛んだ?時にでるあのフリーキー・トーン(後でこの奏法はフラジオと知った)を聴いた瞬間、全身にまるで電流が流れたようなショックを覚えた。
演奏が終り、児山紀芳氏の「レット・フリーダム・リングからメロディ・フォー・メロネェ、ジャッキー・マクリーン四重奏団でした」を紙に書く指先は、なぜか汗ばみ、しばらくの間、こんな熱情的な演奏があるのか、と茫然としたものだった。

タイトルの”LET FREEDOM RING”は1963年8月28日、キング牧師のワシントンDC・リンカーン記念館での名演説、”I have a dream"のなかで屡々、登場するフレーズですね。本作の録音は前年の1962年3月19日なので、恐らくキング牧師は前々から機会が有る毎に使っていて、マクリーンが引用したとするのが自然です。W・クオーテーション・マークもそれを意味している。なお、キング牧師は1964年度のノーベル平和賞を受賞したが、68年に暗殺されている。

本作のライナー・ノーツをマクリーン自ら書き、その中の一節に”Jazz is going through a big change, and the listener or fan, or what have you ,should listen with open mind. they should use a mental telescope to bring into view the explorers who have taken one step beyond,・・・・・"がある。つまり「ジャズは大きな変化の中を進んでいる。聴く者は誰もが心を開き、一歩先を歩んでいる開拓者たちを心的望遠鏡で熟視する必要がある。」と。

これは、ハード・バップの終焉を予感し、新しいうねりの中へ身を投じる覚悟を宣言したものと捉えていいだろう。その心意気を”LET FREEDAM RING”(自由の鐘を響かせよ」と表し、フラジオ演奏に託したのではないか。

本作はマクリーンのキャリアを語る上で必ずUpされる一枚ですが、ポジティブに語らない層が少なからず存在し、焦点はこの「フラジオ」に絞られる。

60年代のジャズは時代背景、社会情勢を抜きにして聴くことは出来ない。

僅か二ヶ月ほどのビギナーが「フラジオ」をキング牧師の言葉を借りたマクリーンの自己革新宣言と直感した。それは激動の60年代が持つ空気なのだろう。今でもこのアルバムを聴くたびに指先が汗ばむ。

"bluespirits20030207"



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