左が、かって「世界初登場」としてキングからリリースされた所謂、「初版もの」、右が、暫くして、米国、及び東芝から発売されたカヴァ。内容は同じです。
1962年9月28日に録音され、ずっと「お蔵」にされた一枚です。
パーソネルは、
JACKIE McLEAN (as),SONNY CLARK (p),BUTCH WARREN (b),ART TAYLOR (ds)というクァルテット。
マクリーンとクラークと言った人気者の作品にしては、それほど話題、注目されていない一枚です。しかし、マクリーン、クラークのファンなら是非、揃えて頂きたいアルバムですね。たとえ「お蔵入り」作品といえども。
何故ならば、マクリーンが、それまでのハード・バップ・スタイルから新しいジャズの流れに沿い「自己革新」するまでの、正にその成長過程を刻んだ記録として、また、もう一人のクラークの最後期のプレイを記録した極めて貴重な作品なのです。
それなのに、あまり日が当らないのは、推測の域を脱してしていません(邪推やもしれません)が、マクリーン・ファンは‘LET FREEDOM RING’を境に、二分され、両者から「谷間」的作品のような扱いを受けているのではないでしょうか。確かに、本作のマクリーンは「保守と革新」が混じり合っていて、それが「お蔵入り」の主因だったのだろう。
でも、ジャズ(レコード、CD)の聴き方(コレクション)にセオリーなどありません。
惚れた、或いは、好きなミュージシャンの作品は、世評に惑わされずとことん聴いたり、収集すると意外な発見をします。
例えば、本作のB-2、クラーク作の‘TWO FOR ONE’、モーダルな色合いが濃い曲調の中、新しい試みに確信を得たようなHOTでフレッシュなソロ・ワークを聴かせるマクリーンと、ハード・バップ・オンリーのイメージが強いクラークが美しいシングル・トーンで応える展開が実に清々しい!
TOPのタイトル曲もGooですね。
また、ラストのスタンダード、‘CABIN IN THE SKY’でも単なるスタンダード解釈に終わらず、新しい方向性をも示唆している。
このレコーディングの約4ヶ月後の1963年1月13日、クラーク急逝、享年31歳。
本作からは到底、想像できないほどクラークのプレイは充実している。ひょっとして「最後の雄姿」だったかもしれません。