jazz and freedom and avenger

勝手気ままな戯事日記 暇つぶしに・・・・

INVOLUTION / SAM RIVERS

2018-08-26 | ジャズ・ts

 

1975年に陽の目を見た未発売作品二枚組アルバム。

1枚はS・リヴァースのリーダー・セッションものですが、もう一枚は本来A・ヒルのリーダー・セッションもの。カヴァにもきちんとクレジットされている。

どうしてリヴァース名義のアルバムの中に組み込まれたのかと言うと、ヒルの未発売作品二枚組も同じ”RE-ISSUE SERIES”で発表されたため。三枚組ではちょっと・・・・・・・ 

 

一枚目のS・RIVERS のセッションのパーソネルは

Sam Rivers (ts,ss,fl)  James Spaulding (as,fl)  Donald Byrd (tp)  Julian Priester (tb)  Cecil McBee (b)  Steve Ellington (ds)   1967.3.17 録音

二枚目のA・HILL QUARTETは

Sam Rivers (ts)  Andrew Hill (p)  Walter Booker (b)  J.C. Moses (ds)   1966.3.7 録音

一枚目はピアノ・レスのSEXTETで、D・Byrdの名が気になりますね。「たまにはこういうセッションで時代の流れを体感」ではないと思いますが、どういう意図か分かりません。ただ、足手纏いになっていない所が、逆に本作のインパクトを弱め惜しい。ひょっとしてByrdはピンチ・ヒッターだったかも。いずれにしてもリヴァースにしては聴き易いアルバムです。

聴きものは、やはり二枚目ですね。6曲中2曲はトリオ演奏。

ヒルとリヴァース、曲者同士の組合せ。乱闘を危惧?、期待?する向きがありますが、予想に反し四つに組んだ力相撲(4曲)が展開されている。たしかに一曲目のタイトルも”Violence”はラジカルな演奏ですが、そんじょそこらの前衛小僧達とはわけがちがい、落とし所をちゃんとわきまえている。4曲ともリヴァースが「オレはただのサイドではないぜ!」と言わんばかりにガチンコ勝負を挑み、ヒルも敢然と立ち向かっている所が本作の「肝」。

決してキワものではなく、むしろ正統ものです。J.C.Mosesの大胆にして繊細なドラミングもGoo。

反面、2曲のトリオはヒル流リリシズムが極めてナチュラルに溶け込んでいる。”Pain”はタイトル・イメージと異なりやや甘く、フォークロア風で、“Lust”も真逆のまるで果てのない 彷徨の旅をpで描いているようだ。

この作品は、ちょっと構えてしまいそうですが、案外、ヒルの本音を衝いており、彼の世界への近道かも。

”BLACK FIRE”から始まる詰込み録音により、結局「お蔵入り」の破目にされたとしたら・・・・・・・

もし、リアル・タイムで発表されていたら、世間のヒルを見る目が変わっていたかもしれない。

 

なお、後年、其々、タイトル名を変えた単体でリリースされている。ただ、ヒルはCDだけだったかも?

 


瓢箪から駒 ・・・・・・・ ELAC STS455E

2018-08-18 | お遊びオーディオ

ボディ、スタイラス・チップ共に極上のエラックSTS455Eを見つけた。

発売当時、「クラッシック向き」として評判高かった記憶があり、そのクラッシック向きとは何ぞやと、やや割高と思ったけれど、入手。実は、下位モデルの「ジャズ向き」と言われた3シリーズをリアルタイムで聴いたが今一つピンと来なかった経験も。

最初に出てきた音は、全体の質感、低域のエネルギー感はまずまずだけれど、ちょっと団子気味で高域不足かな(世評も)?

そこで、シェル、リード線をとっかえひっかえ試し、何とかそれなりの音に追い込んだけれど、好みに至らず牢屋(カプセル・キーパー)行きを・・・・・・・

 

 

ふと、遊んでいるシェルが目に留まった。その昔、DL-103と同時に購入したDENONもの、リード線は記憶を辿るとアルミ素材(A・テクニカ)で、評判が芳しくなかったのか?直ぐ市場から消えたモデル。今となってはレアものかも?(笑)

シェルは裏側に貼ってあるラバーが音を緩める傾向があり、そしてリード線もこれといって良い印象も残っていない。

 

 

暇潰しに全く期待もせず455Eを装着したところ、これがこれが、「瓢箪から駒」とでも言うのでしょうか。

SPからの音離れ、抜けがぐっと良くなり、高域の量感も不足なく出るように。その豹変ぶりは驚きです。シェルよりアルミのリード線のお蔭ですね。よく使われている銅、或いは銀ではあまり変化しませんでしたから。ま、所詮は相性ですね。

 

久しぶりにT・EDWARDSを、

二枚並べると絵と写真の違いはあるけれど、同じアングルですね。エドワーズお気に入りのポーズなのでしょう。絵はさながら「風と共に去りぬ」のC・ゲーブル(レット・バトラー)です。

 

 

”GOOD GRAVY”(CONTEMPORARY)は再発グリーン・ラベル。CONTEMPORARYは再発ものでもオリジナルと同じスタンパーを使用するので劣化は少ないとされるが、この盤の音は他の CONTEMPORARY盤に比べややwetな音に聴こえる。

カヴァに”Warmly Communicative・Vibrant、Rich Tone・Melodic”とクレジットされているので意図的にこうしたサウンドにしたのかもしれませんね。1961年録音、エンジニアはR・ DuNann。なかなか味のある作品に仕上がっています。

 一方、”Nothin’ But The Truth!”(PRESTIGE)は濃紺の右トライデント盤。S・クリス同様にNY出張録音第一作目(1966年)。こちらのエドワーズのtsは塩・胡椒が利いたザラっとした本来の音で録音されdryなサウンド。エンジニアはV・ゲルダー。

甘さにやや流され気味のトラックもあるけれど、中でも”But Beautiful”で聴かせる泰然自若のプレイは聴きもので、西海岸のロリンズと言われる所以です。

この2枚、西・東両海岸の名エンジニアの手によりますが、サウンド・キャラは全く違う点が面白く、問題作、傑作等々という類ではありませんが平均以上のレベルは保持している。

 

いずれにしても寸前に牢屋入りを免れたELAC STS455E、てこずりましたが本領発揮を、かなりGooです。

これといった個性はありませんが、妙に透明感があり、そこがイイ。

 


熱を以って暑を制す ・・・・・・・ JACKIE McLEAN / JACKNIFE & HIGH FREQUENCY

2018-08-08 | Aggressive Voyage of Jackie McLean

 

1975年にRE-ISSUE シリーズもので陽の目を見た未発表作品2枚組。

元々、”JACKNIFE"(4223)、”HIGH FREQUENCY”(4236)としてリリースされる予定でしたが、発売ローテーション事情?により「お蔵入り」した音源。シリーズの画一的なカヴァ・デザインのせいか内容の割にそれほど話題に上らなかった記憶が。

パーソネルは、”JACKNIFE"(1965年9月24日)

Lee Morgan (tp) Charles Tolliver (tp) Jackie McLean (as) Larry Willis (p) Larry Ridley (b) Jack DeJohnette (ds)   

”HIGH FREQUENCY”(1966年4月18日)

Jackie McLean (as) Larry Willis (p) Don Moore (b) Jack DeJohnette (ds)

カヴァ表記では”JACKNIFE"のQUINTET、SEXTETのみでメンツは出ても”HIGH FREQUENCY”のQUARTETが抜けている。しかもtp二本のSEXTET演奏は1曲のみと、なんともはやいい加減で手抜き状態に。

一般的にはモーガンが入った”JACKNIFE"に関心が行くけれど、このメンバー、コンセプトからはもう微妙な立ち位置に置かれている事がハッキリと浮かび上がっている。モーガンのソロだけを切り取って聴けば決して悪くないが、流れの中に落し込むとちょっと苦しいかな。しかもトリヴァーと比較すると尚更。好きなトランペッターですが、残酷な言い方をすれば、周回遅れの感が否定できない。

かってE・ヘンダーソン(tp)がモーガンに教えを請うた時、親切に細かな点まで教えてくれ、モーガンは常にストック・フレーズを幾つか用意していてそれを上手く組み立てる演り方を取っている事を知ったそうです。なるほど、その演り方では皆で渡れば怖くないハード・バップ時代であれば兎も角、多様性を孕んだ60年代半ばになると・・・・・・・

一方、付け足し扱いのワン・ホーン・カルテットの”HIGH FREQUENCY”、実はこれがイイ!

1年前の”RIGHT NOW”の120%フル・ショットもいいが、80%コントロール・ショットの本作は更に素晴らしい。熱いマインドはそのままに表現力に磨きがかかっている。

SIDE3の2曲はコルトレーン、コールマンの影響を受けながら確立されたアイデンティティがしっかりと刻み込まれ、asとは思えぬずっしり重くディープな音色にマクリーンの気迫が乗り移っている。ここまで凄みあるasを吹いたのは後にも先にもマクリーンだけだろう。

SIDE4の3曲はパッション一本槍ではない柔軟性が美味しい。

”Wise One”(CRESCENT/J・COLTRANE)を想わせる”Moonscape”の深々としたバラード、モーダルなボッサ・ロックの”Jossa Bassa”、そしてサイドワインダー風モーダル・ファンクの”The Bull Frog”、どれもそんじょそころのヤワな演奏とはレベルが違い、ハード・ボイルドです。

”High Frequency”と”The Bull Frog”の2曲を提供しているハンコックもどきのL・ウィルスのpも見事。

で、本作のもう一つの聴きものは、本格的にデヴューしたばかりのJ・DeJohnetteのドラミング!

ロイド・グループに入る前(JACKNIFE)と入団直前、直後?(HIGH FREQUENCY)で若々しくキレのあるパフォーマンスがホント素晴らしいです。音がややハイ上りもあってこれほどまでに前面に出ている例は直ぐに思い出せない。

将来が約束されたセッションですね。これはもう一つの「掘り出しもの」ですよ。

酷暑の中、所用で街中へ、もうヘロヘロでした。帰宅してこの一枚を。暫し暑さを忘れ聴きに没頭しました。