jazz and freedom and avenger

勝手気ままな戯事日記 暇つぶしに・・・・

別の世界の人気者 ・・・・・STANLEY COWELL

2023-02-24 | ジャズ・p

 

此のところ、DU名古屋絡みの記事が続き、今回のネタも。

先日、買取査定に出した20枚の中にカウエルのギャラクシー盤が2枚入っていて、それが予想外の高査定でした。まぁ、精々、三桁の中~ほどと皮算用していたが、なんと四桁を、それもそれぞれ英世が複数枚に近い査定をはじき出した。スピリチュアル・ジャズ、JAZZ FUNKの世界で人気の曲が収録されているそうで、自分はこの分野に疎く「猫に小判」でしたね(笑)。

久々に、この”SIENNA”をターン・テーブルに乗せた。1989年に録音されたSteepleChase盤、60年代後半からメキメキと頭角を現し、独特のエモーショナルなプレイが注目された頃の彼とは別人の如くあくが抜けた演奏が展開されている。モンクとパウエルの曲が一曲ずつ、他の五曲はカウエルのオリジナルと言う構成です。長めの曲の演奏時間をもっとコンパクトに仕上げた方が良い結果になったのではないかな。

A-2”I Think It’s Time To Say Goodbye Again”(Cowell)はペッパーの”SEPTEMBER AFTERNOON(ギャラクシー) ”の中の”Goodbye Again”と同曲です。このアルバムは名作”WINTER MOON”の翌日、ストリングス抜きのコンボで録音された一枚でカヴァが二種類あり、こちらの方を良く見掛けます。もし、破局した二人が聴いたら、間違いなく泣き崩れる「慟哭のアルト」が全面にフィーチャーされている。後期ペッパーを象徴する名バラードですね。

 

 

ついでにロリンズのグループでの録音を思い出しました。1974年、スイス・ モントルー・ジャズ祭でのライヴもの。

 

 

ロリンズの左後方にカウエルの姿が映っています。”To A Wild Rose”のロリンズのプレイが評判でしたが、祭りを意識してか、全体にラフでカウエルとしては演りにくかっただろう。

 

 

キース、コリアと共に若手有望ピアニストとして注目された時期の作品を。

左上が”WHY NOT / MARION BROWN”(アヴァンギャルド・レーベル ESPからレコーディング・デビュー)、右上が”THE RINGER / CHARLES TOLLIVER”(実質的MUSIC INC.の1st作)、下はリーダ作、左から初の”BLUES FOR THE VIET CONG”、”BRILLIANT SIRCLES”、”ILLUSION SUITE”。

 

 

いずれも問題作、話題作、名盤、傑作、等々の冠が付く作品ばかりです。凡作など一枚もありません。以前UPしているソロ・ピアノの”MUSA”ははみ出してしまうので已む無く外しましたが、カヴァを含め最高ですね。また、トリヴァーとのMUSIC INC.で70年代初頭、一世を風靡している。

2020年12月17日、この世を去っている。享年79。


コレクターへの登竜門 ・・・・・DONALD BYRDのTransition盤

2023-02-17 | ジャズ・tp

 

 

一端のコレクターになるまでに幾多の関門をクリアしなければならないが、バードのTransition盤の3枚がちょっとハードな登竜門としてまず浮かび上がります。

先日、DU名古屋で査定を受けている間に、歩いて数分の所にある廃盤屋を知り、初めて覘いて来ました。ジャズ専門ではありませんが、壁に”BYRD’S EYE VIEW”(右上)が飾ってあり、桁を間違えないように注意して見ると、諭吉が30数枚であった。

このオリジナル盤を直に見るのは二度目位ですが、価格はここまで高騰していなかった。最近のオリジナル盤への憧憬の象徴なのだろうか。価格は店側は付けるものではなく、買い手側により決められるものなので別に不適切ではない。つまり、新参のコレクター達が高値を支えている。世の中がまだイン・ドア志向なので値下がりは暫く無いでしょう。ただ、市場がアウト・ドアに舵を切った時、どうなるのか興味深い。ひょっとして、今がピークなのかもしれませんね。因みに、所有盤は蚊帳の外の国内盤(キング)です(笑)。

それはそれとして、もしこの3枚がTransition盤ではなく、他のレーベルだったら、ここまでコレクター達の目を惹き付けなかっただろう。Transitionレーベルはハーバード大卒のインテリ・ジャズ・ファンのT・ウィルソンが設立したマイナー・レーベルで、その非商業的スタンスにより僅か3年あまりで行き詰まり、タイトル数も15枚ほどと希少なため、コレクター達が血まなこになって探す格好の標的になっている。3枚の間に録音された”BYRD’S WORD”(SAVOY MG-12032、55年9月29日)がコレクターズ・アイテムになったなんて話は聞いたことがありませんから(笑)。こちらも蚊帳の外ですが、結構、好きな一枚です。

 

 

バードはトランペッターとしてはA級になれなかったが、意外に根強い人気を保っているのもこの3枚に負う所が大きい。ラッキーですね。

左上が”BYRD JAZZ”(55年8月23日)、右上がBYRD'S EYE VIEW”(55年12月2日)、真中下が”BLOWS ON BEACON HILL”(56年5or6月)。”BLOWS ON BEACON HILL”が「幻の名盤読本」にリスト・アップされている。

70年近く前のこの3枚に「検事の耳」を以って接するなんて大人げないけれど、さりとて「弁護士の耳」で無条件にフォローすればジャズの奥深さを否定することになる。コレクターでもない一般ファンは傍聴席でまだ無垢のバードのプレイに耳を傾けるスタンスが良さそうです。

未確認情報ですが、バードは人柄が良く一時期、「BLUE NOTE」レコードの社長を務めたそうです。

 


多賀大社 、そして豊郷小学校旧校舎群

2023-02-10 | 日記・エッセイ・コラム

 

 

先月の下旬、多賀大社(滋賀県)に初詣でして参りました。年が変わりちょっと経っていましたが、新春の風情はまだ十分に感じられ、御祈祷を受ける人達、また申し込みする方々で受付は大忙しでした。

例年は年末に参拝した後、酒蔵巡りが定番コースになっていますが、今回はグッと我慢して、以前から見学したかったこちらへ。

豊郷(とよさと)小学校旧校舎群です。昭和12年に建てられた洋風建築(鉄筋コンクリート)で当時、「東洋一の小学校」、「白亜の教育殿堂」と称されました。

 

 

豊郷出身の「丸紅商店」(現在の丸紅)の専務であった古川鉄次郎氏が敷地、建物、備品等を寄付し、設計は著名な米国人建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズ氏が率いるヴォーリズ建築事務所が行っている。

 

 

20数年ほど前、耐震性の問題から、解体の話が持ち上がり、保全存続か、町全体を二分する事態に陥り、紆余曲折を経て最終的に耐震補修し存続となっている。ただ、小学校としての機能はなく、H16年に新校舎に譲っている。現在は地域の文化交流の拠点として再出発し、国の登録文化財に指定されている。

教育の場所なので、所謂、見せ所は無く、ただ凛とし空間に身が引き締まる思いだった。

 

 

 

 

立派な講堂です。ここで色々な式典が開かれたのですね。カメラを向ける姿勢が思わず直立不動になっちゃいますよ(笑)。

 

 

階段の手摺に施されたオブジェです。

 

子供目線での発想が素晴らしいですね。今じゃ、到底、考えられないなぁ(笑)

 

 

こちらがすぐ後ろに建てられた小学校の新校舎です。

 

 

もう一度、正面から見てみましょう。比較すると・・・・・

 

 

金が絡むと理性、知性が引っ込むと言われますが、歴史的、文化的価値の高い建物は、いずれ町の財産になります。見学して良かった。


伝説の「ジャズ喫茶の人気盤」・・・・・ AFRICAN PIANO / DOLLAR BRAND

2023-02-03 | ジャズ・p

 

嘗て津津浦浦、ジャズ喫茶がある街で、この”african piano"が流れない日はない、とまで言われた人気盤。「アフリカの苦悩をピアノに叩きつけて・・・・・」と言うキャッチコピーが付けられるほどの異色作で録音は1969年10月22日、コペンハーゲンのカフェ・モンマルトルでのライヴ。

先日、DU(名古屋)へ行った際、ヒット作なので出玉も多く、値段違い(680円~)で3枚もあり、780円(国内盤)ものを拾ってきました。

1973年に国内盤がリリースされ、ジャズ喫茶の激戦地、東京ではいつもどこかで流れていたそうです。ただ、偶々なのか、自分は地元で一度も聴いた経験がなく、辛うじてFMのジャズ番組で一、二度?ほど聴いた位で、どんな感じなのかサッパリ記憶がありません。

左手のシンプルなリフ・フレーズに、あぁ、これか、と記憶が朧気に戻りました。

ある時は童謡のような可愛いらしさ、ある時は落雷のような激しさ~C・テイラーばりのアヴァンギャルド・タッチ、ある時はF・レッド擬きの旅情風等々、ソロ・ピアノの退屈感を与えない建付けがしっかりなされ、鍵盤を打つタッチも緩まない。もう、パーフェクトですね。

ジャス喫茶のような閉鎖された薄暗い穴倉で、この手のpを聴かされたら、そりゃあ、催眠状態になるのも無理ないかもしれないなぁ(笑)。色々な仕掛けがシナリオ通り整然と運んでいくライヴ演奏、左手のスタティックな、右手のダイナミックな世界はまるで一種の儀式を思わせる。ただ、冷静に二、三回聴くと、意地悪かもしれないが、これ全てスコアに落とし込んでいるのではないか?と疑問が徐々に膨らんでくる。

余計なことだけれど、知らずに聴いて、果たして多くの方々のレヴュー、コメントに見られる「アフリカの大地」を直ぐに連想できるだろうか ? 行った経験が無いのに・・・・・、50年以上も前のアフリカってもっと渾沌としたイメージしか湧かないけどなぁ~

そのギャップが人々を惹き付けたのかもしれない。ミステリアスなカヴァも効果的、並みの作品ではない事は確かです。

ダラー・ブランドのpはレコードよりライヴで実際に観て、聴いた方が実像、魅力をつかみやすいタイプだろう。