本作が録音されたのは1960年7月12日、それまで盛りを誇っていたハード・バップの背後に新しいうねりが静かに寄せ始めていた。前年の1959年に”KIND OF BLUE”、”GIANT STEPS”、”THE SHAPE OF JAZZ TO COME”等々が録音され、丁度、60年という節目と合わせ、曲がり角に来ていたけれど、現場ではまだまだハード・バップが幅を利かせていた。
プリースター(tb)のリーダー・2作目。bs、tsを加え低域3本とやや変則フロント、TOPにパーカーの”Chiーchi"を据え、ハード・バップ道まっしぐらを宣言している。
こうしたMONO盤は、やはりMono再生に適した針で聴きたいもの。用意したカートリッジはSHUREのM44G、一つはカモメ・マークでスタイラスはN44-1(Blue)を、もう一つはマーク無しでJICOのN44G MONOを装着した2モデルを。シェルはどちらもオーディオ・クラフトのパーフェクト・ロック、リード線直付けタイプです。
前者はハード・バップの美味しい所を余すところなくダイレクトに伝えるワイルド感が心地良く、一方、後者はN44-1には敵わないけれど柔ではなく、STEREO針より遥かに逞しい。
録音エンジニアはR・フォウラー、V・ゲルダーと異なる硬質なサウンドがBLUE NOTEとは違うハード・バップの味を打ち出している。BLUE NOTEはリハーサルを結構、重ね、レコードと言う商業媒体の完成度をより高めているけれど、JAZZLAND(リヴァーサイド系)はその辺り、かなりアバウトで臨場感重視なのが良く分かります。
リヴァーサイド系では珍しくM・タイナーのpが聴け、ブラインド・ホールドで出されたら間誤付く人も少なくないではないかな。コルトレーンのグループに参加する前後で、他のバップ・ピアニスト達とは違う感覚を身に付けている。
聴き物はA-4の”EXCURSION”、ハード・バップに何の疑いも持たない一途な熱演に懐かしさを覚える。ハード・バップの懐は広く、深く、B級作品ながら雨の日曜日に何故かフィットする。