jazz and freedom and avenger

勝手気ままな戯事日記 暇つぶしに・・・・

B級ハード・バップの郷愁 ・・・・・SPIRITSVILLE / JULIAN PRIESTER

2023-04-30 | ジャズ・tb


 

本作が録音されたのは1960年7月12日、それまで盛りを誇っていたハード・バップの背後に新しいうねりが静かに寄せ始めていた。前年の1959年に”KIND OF BLUE”、”GIANT STEPS”、”THE SHAPE OF JAZZ TO COME”等々が録音され、丁度、60年という節目と合わせ、曲がり角に来ていたけれど、現場ではまだまだハード・バップが幅を利かせていた。

 

 

プリースター(tb)のリーダー・2作目。bs、tsを加え低域3本とやや変則フロント、TOPにパーカーの”Chiーchi"を据え、ハード・バップ道まっしぐらを宣言している。

 

 

こうしたMONO盤は、やはりMono再生に適した針で聴きたいもの。用意したカートリッジはSHUREのM44G、一つはカモメ・マークでスタイラスはN44-1(Blue)を、もう一つはマーク無しでJICOのN44G MONOを装着した2モデルを。シェルはどちらもオーディオ・クラフトのパーフェクト・ロック、リード線直付けタイプです。

前者はハード・バップの美味しい所を余すところなくダイレクトに伝えるワイルド感が心地良く、一方、後者はN44-1には敵わないけれど柔ではなく、STEREO針より遥かに逞しい。

 

 

録音エンジニアはR・フォウラー、V・ゲルダーと異なる硬質なサウンドがBLUE NOTEとは違うハード・バップの味を打ち出している。BLUE NOTEはリハーサルを結構、重ね、レコードと言う商業媒体の完成度をより高めているけれど、JAZZLAND(リヴァーサイド系)はその辺り、かなりアバウトで臨場感重視なのが良く分かります。

リヴァーサイド系では珍しくM・タイナーのpが聴け、ブラインド・ホールドで出されたら間誤付く人も少なくないではないかな。コルトレーンのグループに参加する前後で、他のバップ・ピアニスト達とは違う感覚を身に付けている。

聴き物はA-4の”EXCURSION”、ハード・バップに何の疑いも持たない一途な熱演に懐かしさを覚える。ハード・バップの懐は広く、深く、B級作品ながら雨の日曜日に何故かフィットする。


住宅街のオアシス ・・・・・珈琲 鬱花(うっか)

2023-04-23 | 森と緑のカフェ

 

住宅街の一角(名古屋市緑区)にあるちょっとエスニックの香りも漂うカフェ。いい感じですね。

 

 

 

チーズケーキのセットを頂きました。サッパリ系のコーヒーと良く合いますね。

 

 

テラス席もあります。

 

 

評判も良いのでしょう、駐車場(別場所もあり)が満車で空くまで暫く待機していました。

 

 

 


MARS(マルス)信州蒸留所

2023-04-19 | ドライブ

 

 

光前寺から20分程の距離のマルス信州蒸留所(上伊那郡宮田村)の見学へ。平日なのか人影はありませんが、帰り際に何人かの見学者とすれ違いました。

 

 

原酒の貯蔵樽が積み重ねられている。何年か先に日の目を見るまでずっと眠り続けるのでしょう。

 

 

試飲コーナーです。気持ちは ・・・・・

 

 

土産品の信州蒸留所限定発売の”MALTAGE”(ブレンデッド モルト 48%)、「岩井トラディション」(モルト&グレーン 40%)

 

 

白雪のやや凹んだ所が駒ヶ岳ロープウェイで登る千畳敷カールです。新しく展望デッキ?がオープンする情報もあり、久し振りに行ってみたいです。

 

 

陽が長くなりました。まだ帰路に付くには早く、ダメもとで高遠城址公園に足を伸ばしましたが、見事に葉桜でした(笑)。

その代わり、こんな景色(美和ダム)に出会うことが出来ました。ダムの放水と一本の遅咲き桜のさりげないコラボ、個人的にベスト・ショットです。

 

 


信州駒ヶ根 光前寺のしだれ桜

2023-04-16 | ドライブ

 

黄砂襲来の最中(13日)、信州駒ヶ根へ車を走らせた。枝垂れ桜で知られる光前寺。情報では散り始め~五分葉桜でしたが強行し、大正解でした。パーフェクトを狙い過ぎると、結局、どこへも行けませんから(笑)。場所によりこうした見事な咲きぶりを堪能出来ました。

 

 

杉の巨木に挟まれた参道、武田家、徳川家の手厚い保護を受け両家の祈願所として信仰を集めた天台宗別格本山です。

 

 

奥に本堂があります。枝垂れ桜の他に光苔が有名ですが、探し方に問題があったのか、確認できませんでした。

 

 

 

少し離れた駐車場からの中央アルプス 駒ヶ岳です。水仙とのコラボがきれいですね。

 

 

反対側、目の前に広がる伊那谷の向こうには3,000m級を誇る南アルプスの白い峰々が連なり、高層ビルなど無い見通しの良さ、大らかな眺めは見飽きることがありません。

 

 

黄砂はいつの間にか過ぎ去っていた。

 


身銭を切るなら ・・・・・ ETCETERA / WAYNE SHORTER

2023-04-06 | ジャズ・ts

 

かって、SJ誌で”SUPER NOVA”の再発レビューを担当したある評論家は「ウェイン・ショーターがテナー奏者としてA級かと訊ねらると、僕は首を縦にふりかねる。ただし、一歩前進的音楽概念をもったミュージシャンとしては、A級と断言でき、楽器奏者としてソプラノ・プレイヤーとしてのほうが、はるかに秀でている。」と評している。口では何とでも言えるけれど、記録に残るレビューで「A級(ts)ではない」と断言するにはかなり勇気が要ります。それなりに確信を持っているからでしょう。

実力は一級品なのに、「A級」と認めない何かがあるとすれば、多分、「オカルティズム」、「ブラック・マジック」等々余分な要素が入り込み、スタンダード演奏も得意でなく、tsを半身で吹いているイメージが付き纏う。また、見習ってきた存在役のコルトレーンが亡くなると、"SCHZOPHRENIA"を最後にtsと縁を切り、早々にssに乗り換える動きは「立ち回りが上手過ぎる」イメージを排除できない。多くのファンはコルトレーンの遺志を継ぎ、tsで次の時代を切り開いで欲しいと願ったのに・・・・・。ひょっとしてアングラで「ショーター非愛好主義同盟」が結成されたかもしれない(笑)。

先日、2002年頃に発表された ”FOOTPRINTS LIVE!”(CD)を処分した際、評論家、通のジャズ・ファンにモテモテなのに査定の低さに驚いた。ブービー査定(二桁)です。ま、評価、人気と査定は必ずしも比例しませんけれど 。また、この作品のライナー・ノーツは女性の評論家?が書かれていますが、ショーターへの恋文を越え、読む内にだんだん気色が悪くなるほど・・・・・・(笑)。それから、以前、ある地方都市での来日公演で会場が満席で埋まり、半端でない声援で包まれた話を聞き、違和感を覚えた記憶がありましたが、後で裏事情を知りました。音楽の世界にまで影響があるとは・・・・・・、果たしてショーターの高評価、人気ぶりの実態はどうなんだろう?  かなり嵩上げされているのではないかなぁ。

 

 





本作はリアルタイムではリリースされず、1980年に発掘シリーズの一枚で米国では初めて日の目を見た音源。一方、日本盤は翌年(1966年)に録音した‘Adam's Apple’のセッションから未発表曲の”The Collecter”を編入し、その曲をタイトルにして「世界初登場」と銘打って一足先(1979年)にリリースしている。

オリジナル米国盤はカヴァが冴えないし、日本盤は異なるセッションを混入したため、寄せ集めのイメージが付きピントがボケてしまっている。ただ、後年になり、同一セッションの一曲”Toy Tune”のテープの所在が、その当時、不明で止むを得ず”The Collecter”を編入したとされる。
日本盤のライナー・ノーツではショーターの経歴と録音データーのみで内容については殆ど触れず、イージーに済ませている。また、ジャズ批評別冊「完全ブルーノート・ブック」でもたった3行で片付けている。所詮「お蔵入り作品」と見ているのだろう。

ところが、発掘したM・カスクーナは「最高傑作の一枚で、大いなる謎」とリップ・サービスではなく最大級の賛辞を送っている。また、フランシス・ディビスも「ショーターで一枚身銭を切るなら”ETCETERA”」と断言している。

イントロが長くなりました。本題へ。
ショーターが妙な色付けをせず、tsと正対してA級テナーとしての「凄み」を感じさせる作品。とにかく、B面の2曲、G・エヴァンス作‘Barracudas’とショーター作‘Indian Song’が素晴らしい。‘Barracudas’では、まるでシロッコのようなショーターの熱風と吹き荒ぶ砂嵐が如きハンコックのp、背後からこれでもか、とばかりカウンター・パンチを繰り出し、ここ一番で、ビシッ、バシッとキメを入れるチェンバースのドラミングに鳥肌が立ちます。

コルトレーンの‘オレオ’に似た曲想を持つ‘Indian Song’、マクビーが弾き出す粘りあるベース・ラインに乗ってショーターが内に蓄積したエネルギーをエモーショナルに炸裂させ、思索的なプレイに徹するハンコックも素晴らしい。更に、二人をプッシュするチェンバースの出色のプレイ、恐るべし。他の作品にないテンションの高さにただただ驚かされる。

また、A-3の‘TOY TUNE’、ショーターが4ビートに乗ってスムーズにts
を鳴らし、ハンコックのちょっぴりファンキーさを湛えたソロ等、その心地よさに知らず知らず手足がスイングし、好みの一曲です。ただ、やはりマスター・テープが他と違うのでしょう、音圧がやや下がります。

リーダーとしての資質に難有りのショーターが他の諸作に比べ、自分のキャラを押さえ込み、tsを正攻法で攻めた結果、グループ・エクスプレッションが格段にUPしている。

くどいようですが、「ショーターで一枚、身銭を切るなら"ETCETERA"」です。

先月、3月2日、永眠、享年89。

R.I.P. WAYNE SHORTER