jazz and freedom and avenger

勝手気ままな戯事日記 暇つぶしに・・・・

屈指の名盤に成り得たのに ・・・・・ THE TOKYO CONCERT / BILL EVANS

2022-08-05 |  Artistry of Bill Evans

 

エヴァンスの初来日のコンサート録音(1973.1.20 )の割に巷の評価、人気はそれほど高くない。出来が悪いわけではないのに。元凶は朱のカヴァ、将又、むさ苦しさを漂わすロング・ヘアか? 

米FANTASYの初版もの(1974年リリース)はSONYのオリジナル国内盤(”LIVE IN TOKYO”)とタイトルが微妙に異なります。少しでもエキゾチックな雰囲気を出そうとしたのでしょうが、笑える冠(デザイン)です。

で、指折りの名盤に成り損ねた理由は何かと言えば、100%独断ですが、選曲でしょう。

全9曲、59分の長丁場、最後の2曲”Gloria’s Step”(7:56)、”Green Dolphin Street”(6:47)は盛り過ぎと思います。ステージでは必要でも、レコードではそうでないものもあり、折角、来日記念にありがちなヒット曲オン・パレードを避け、”My Romance”を除いて日本で初演、それに近い曲で構成され、従来のライブものと違うエヴァンス像を築き上げているのに最後の最後に緩手が出ちゃいましたね。

”Yesterday I Heard The Rain”の「皆さん、雨音が聞こえるかい?」と、会場の一人一人に語り掛けるようなバラード、C・フィッシャーの”When Autumn Comes”のメランコリックなメロディにさりげなくリリシズムを織り込む表現力は他の誰も足元にも及ばない。マイルスのミュートと同じですね。他の”Mornin’ Glory”、“Up With The Lark”、”T.T.T.T”、全部良いではありませんか。”My Romance”もゴメスのアルコは如何なものか、と思いますが、ライブならでは演出とポジティブに捉えたい。

選曲はエヴァンスが決めたはずで、”AT TOWN HALL”では曲数を絞り過ぎるほど完璧主義に徹したのに・・・・・、ゴメス(b)とモレル(ds)の進言でピアノ・ソロに急遽、変更した7曲目”Hullo Bolinas”までで押さえておけば、我が国が世界に誇れる傑作”THE TOKYO CONCERT”(LIVE IN TOKYO)が誕生したでしょう。

なお、このFANTASY盤、元の録音が良いのでしょう、やや腰高ですがいい音してます。我が国の技術陣、さすがですね。一方、CD(SONY マスター・サウンド)はダイナミック・レンジが広く、前に音がせり出してきます。

 



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