jazz and freedom and avenger

勝手気ままな戯事日記 暇つぶしに・・・・

MILES DAVIS & JOHN COLTRANE / Live ㏌ Stockholm 1960

2020-03-29 | ジャズ・tp

 

通称、マイルスとコルトレーン「別れの欧州ツアー」ライブ5部作の内の一枚。

1960/3/21のパリを皮きりにストックホルム(3/22)、コペンハーゲン(3/24)、チューリツヒ(4/8)、オランダ(4/9)の順で録音されている。

本作は1985年になってスエーデンのドラゴン・レコードからリリースされ、ブートの類ではなく、音はしっかり録られている。またカヴァの装丁も手抜きはありません。

巷では、有終の美を飾ろうとマイルスが下手に出たにも拘らず、独立を決心していたコルトレーンが「もう、あんたの部下じゃないぜ」と言わんばかりに我儘やり放題、との説が流れているけれど、勿論、野心が無いワケではないがコルトレーンがもうサイドでは収まり切らない次元に達していたと考えるのが自然と思います。

 

 

さすが、マイルス、足をすくわれないようボスとしての矜持を保っている。一方のコルトレーンは独立後の自分の存在感を高めようと最後の坂道を力走する。”So What”(2ヴァージョン)でのドライブ感は何度聴いても実に爽快です。

 

 

2LPのセンター・ラベルがイエローとオレンジに分かれ、ちょっとした遊び心が感じられます。アナログの良さとも言えますね。

 

 

5部作を全部聴いてはいませんが、世評では、このストックホルム盤がベストとの声が高いです。

なお、このメンバーでのオフィシャルのスタジオ録音音源はないので、このシリーズは貴重ですね。


SOMEDAY MY PRINCE WILL COME / MILES DAVIS

2020-03-21 | ジャズ・tp

 

旧録音の海外CD盤は国内盤にない魅力がある。一概には言えないが、日本はオリジナル仕様を優先的に考え、海外はレコードと切り離して詳しいデータ、情報等々を付加価値として積極的に組み入れている。考え方が根本的に異なるような気がします。

今回アップしたのは米コロンビアがリリース(1999年)したCD。人気曲の”Someday ・・・・・・”のオルタネイト・テイク1曲と未収録曲1曲がボーナスとして加えられている。

ライナー・ノーツはトランペッターのE・ヘンダーソンが新しく書いているが、失礼ながら大したものではなく、録音時のデータ等の方に興味が湧きます。

例えば録音スタジオ(Columbia 30th Street Studio. NYC)は兎も角、録音日の時間帯(一例、2:30 to 6:30 PM)、エンジニア名(二人)、Take No.、オルタネイト・テイク、未収録曲が日の目を見たアルバムなどの情報が記載されている。

この作品のエピソードが生まれたのは、計3度の録音の内の2度目(1961.3.20)、”Someday ・・・・・・”の録音時、手古摺るモブレーに見兼ね、急遽、他で仕事中のコルトレーンを呼ぶくだりですね。ただ、既に出来上がっていたオルタネイト テイクを聴くと、やや甘目ではあるが、ボツにするほどのレベルではなく、マイルスは同曲のインパクトをより強めようとコルトレーンに連絡を取ったのだろう。

それより、目に留まったのは、モブレーが入った”Teo”のテイクが結局、完成せず、リジェクト(廃棄)され、翌日(21日)、再びコルトレーンが入り(モブレー抜き)完成させている所です。

つまり、”Someday ・・・・・・”のような愛くるしいメロディのワルツ曲や、スパニッシュ・モードの”Teo”は、モブレーにとってあまり得意ではなかったかも。選曲との相性に運がなかったのだろう。

もう一つ注目点が、3度目(21日)、マイルスはモブレーと気心が知れたP.ジョー・ジョーンズをスタジオに呼び、”Blues No.2”(未収録曲)1曲だけ、コブと入れ替えている。そしてモブレーはマイルスと共に水を得た魚のようにハード・バップを謳歌している。勿論、コルトレーンは抜けている。

マイルスのモブレーの心情を察しての計らいである事は明白ですね。

なお、1回目の録音日(1961.3.7)に収録された”Drad Dog”でオリジナルLPでは短くカットされているモブレーのソロが、このCDで初めて元通りに修正されている。ケリーのpがフライング気味で被っているのがカットされた理由ですが、割を喰ったモブレーは気の毒ですね。気にするほどではなく、尻切れトンボ感が残っただけでカットしなくても良かったのでは、モブレーのためにも。

 

アナログ時代から好録音盤として評判が良かった一枚、CDの音も20bitだけどGooですね。


CDプレイヤー用の自作ACコード

2020-03-19 | お遊びオーディオ

 

不要な外出を控え、自宅に籠る時間が増えました。ただ聴いているだけではいい加減飽きてきますね。

そこで長年、CDプレイヤーに使用しているPSオーディオのACコードを一度、取り変えてみようと思い、使っていないパーツを集め何種類か作りヒアリングを。

その内の一つ、プラグはHUBBELLのクライオ処理したもの。音がシャープになる反面、やや味気なくなる所が玉に瑕です。

 

コード本体はキャメロット(米)の完成品をバラしメッシュ・カヴァを外したもの。これと言った印象がないタイプ、でも素直でもないなぁ~(笑)。

 

IECインレットプラグはオヤイデのC-046。妙な例えですが、独特の「香(かおり)」が出るのでハマれば・・・・・・・。

 

極性の確認、接点のメンテナンス、仕上がり感の最終チェックを済ませ、完了。

 

ある程度、イメージを頭の中に描いているものの、なかなか思い通りにならないのがこの世界ですね、どうでしょうか。

CDプレイヤーの電源をONに、イャ~、大当りです。フォーカスが過度にならず、豊かさ、響きもほど良く、他の組合わせも試しましたが、これが一番でした。多分、Cー046の働きが大きいのでしょう。

と言う事で、CDを聴くのがまた楽しくなった今日この頃です。


YOU'RE MY EVERYTHING / RELAXIN' & HUBーTONES

2020-03-14 | Legacy of Freddie Hubbard

 

ピィ~ッと口笛が走り「ブロック・コード」とマイルスの指示が飛ぶ。「待ってましたぜ、ボス」と言わんばかりにシングル・トーンから切り替えるガーランド、絶妙なタイミングでミュートが囁く。もう、ゾクゾクしますね。マイクの使い方がホント上手く、専売特許、独壇場です。2曲目の”You're My Everything”の話。

2000年頃発売のXRCD盤、値段は3,885円とかなりお高いがその分?、音もいいです。

マイルスの高名なマラソン・セッション四部作は全曲、ワン・テイクと言われ、ヤケに称賛されているけれど、そのワケがI・ギトラーのライナーノーツに書かれており「なるほど」と。それでもバンド全体のレベルが極みに達していた事に違いはありません。

TOPの”If I Were A Bell”に比べると地味ですが、”You're My Everything”の方が他の追従を許さぬミュートの世界は深いと思う。コルトレーンへの味のある受け渡し部分なんかクラブのステージで好評だったやり方を踏襲しているのだろう。スタジオだからといってスタイルを妙に変えなかった所がこのセッションを成功に導いている。”You're My Everything”のイントロは元々2Wayだったのか、スタジオの雰囲気に即応するマイルスの判断力って凄いですね。

右はハバードのBN5作目、”HUBーTONES”(1962.10.10)

RVGエディションの輸入CDで国内RVG盤と音の傾向が異なり全体にやや明るい音調です。好みはこちらです。

当時、若手の作品でスタンダードをTOPに置くのは珍しく、恐らく三ヶ月前のB・EVANSの”INTERPALY”に参加した経験で得た何かを直ぐ反映したのだろう、外連味の無いスタンダード解釈が素晴らしく、マイルスと正反対でオープンtpの醍醐味を堪能できる名演。ハンコック(p)との相性の良さも実感できます。

”THE NEW MAINSTREAM”(新主流派)という呼び方は公式?にはギトラーが”MILES SMILES”(1966年)の中で使ったとされるが、この”HUBーTONES”のライナー・ノーツの中でJOE GOLDBERGが既に表現している。時系列で聴けば1966年は明らかに遅すぎですね。ジャズ・マスコミは何でもマイルス絡みに仕勝ちですから(笑)ギトラーにとって傍迷惑だったのでは。

NYへ上京して名がそこそこ知れるようになった頃、ハバードのステージを聴いていたマイルスから「オレの真似をするな、自分のフレーズを吹け」とアドバイスを受け、ひたすら己のスタイルを追い求め、1974年DB誌の人気投票で常勝マイルスを抜いた事実は決して色褪せるものではない。

BN前4作と肌合いが異なる本作は、12年後を予感させるに充分な出来栄えで、密度が濃い。


LEE MORGAN ・・・・・BLUE NOTE 未発表3作

2020-03-08 | ジャズ・tp

 

最期は悲劇だったけれど、モーガンは幸せな男ですね。

わが国の分厚いハード・バップ愛好者層から絶大な支持を受け、更にショキングな死がドラマティック性を呼び、ほぼBN一筋に作品を吹き込んでいるスタンスも好ましく映り、マイルスの人気には及ばないもののケリー(p)、モブレー(ts)同様に「愛される」尺度でいけば一番手だろう。映画まで制作されている。

ただ、視点を変えると、この天才トランペッターならメジャーから引き抜きが有ってもおかしくないはずなのだがどうなんだろう?

モーガンがメジャーの制約を嫌ったのか、それともメジャーがモーガンの私生活の乱れに腰を引いたのか、恐らく両方だろう。

1963年録音の”THE SIDEWINDER”の大ヒットで華々しくカムバックし1971年のラスト・アルバムまでの8年間でモーガンはリアルタイムでリリースされた作品が11枚、「お蔵入り」して後年、日の目を見た作品は自分が知る限る8枚、計19枚分をレコーディングしている。突出する「8枚」はライオンがモーガンの生活基盤(吹き込み料)が崩れないよう「お蔵入り」をある程度想定していた事を物語っている。

その内の2枚のLP(国内盤)と輸入CD1枚をピック・アップ。

LP(↑)は” ALL STAR SEXTET”(1967年)と”SEXTET”(1969年)

前者はBNのお友達とは言え陣容は強力ですね。後者も実力者揃いです。共通性のカヴァ、しかも、かなり若い時代はやむを得ない事情があったのでしょう。

CD(↓)” STANDARDS”(1967年)のメンツも充実、しかも多彩です。

 

 

3枚共、ペットの鳴り自体は悪くなく、卒なくまとまっているが、肝心のモーガンの顔は霞んでいる。均して年2枚を上回るハイ・ペースはお膳立てされたものに頼らず未来の延長線上に身を置き、常に前向きの姿勢でないと中身がマンネリと化す。モーガン・ファンにとっては余計なことかもしれないけれど、もし、メジャーで揉まれていたならば・・・・・・、モーガンの天賦の才はこんなものではない。

1972年2月18日、ヘレンが放った一発の凶弾は、見方を変えれば、限界が迫る中、神が差し伸べた救いの手だったのではないか。

4日後の22日、モーガンの初リーダー作(1956年、SAVOY)で共演し、共にハード・バップの屋台骨を支えてきたモブレーはC・ウォルトンとの共作”BREAKTHROUGH!”(COBBLESTONE)で季節外れと思えるガーシュインの”Summer Time”を曲想から外れ呻き声を交えハードにモーガンの死を嘆き、カデンツァでは悼んでいる。そして、この日を最後にモブレーもジャズ・シーンの表舞台から姿を消した。


LEAPIN' AND LOPIN' ・・・・・・・ SONNY CLARK

2020-03-04 | ジャズ・p

 

CDの音の調子が頗る良く、何かと騒がしい時世、外出を控え部屋に籠る時間が増えました。

泣く子も黙る人気盤”COOL STRUTTIN'"の陰に隠れスポットライトを浴びることがないリーダー・ラスト作(1961.11.13)を。

まるで一年あまり後を暗示するような苦悩を滲ませるクラーク。

メンツは一枚も二枚も格下だが、ジャズ・スピリットは人気盤に一歩も引いていない。それどころか、指捌きは本作の方が闊達に聴こえる。

収録された曲も良く、50年代のハード・バップとは違う60年代のスピード感あるノリも良いのに何故か人口に膾炙することはありません。

原因はA-2の”Deep In A Dream”ではないかな?どうして1曲だけI・ケベック(ts)を入れたカルテットにしたのだろう。内容は決して悪くないけれど、A-2のポジションではなく、例えばBー2の”Voodoo”と入れ替えた方が全体の流れが堰き止められずスムーズになったのではないか。「ワケあり」だったのだろうけど少なからず違和感を覚え、印象も随分変わります。

それはそれとして塩辛さ200%、ドスが利いたラウズのts、線は細いがきれいな音色のタレンタインのtp、シングル・トーンでチャーミングなメロディーラインを次々に弾き出すクラーク、”Melody For C”なんか最高ですね。これ以上何を求めると言うのだろうか。

愛聴盤の一枚ですが、不思議なことにオリジナルと一度も出会ったことがなく、CDの他に国内盤LPを2枚で我慢(笑)。一枚は音が良いと評判のキング盤と思っていましたが、2枚とも発売時期違いの東芝盤でした。

CDとLP(音の良い方)の聴き比べを。CDはRVG仕様ですが、LPはその仕様ではなく、カートリッジは今、一番気に入っているSHURE95HEを使用。

音の質は全く異なり、CDはタイトでウォーレンのbは質感、量感共に優れ、LPはフォーカスがやや甘いけどMM型らしく音に厚みが出て、タレンタインのtpはこちらの方に分が有ります。総合点では5.5:4.5でCDですね。ま、オリジナル盤との比較ではないので、あまり意味ないです。

1963年1月、ヤクが原因で急逝。享年31。