美しい、いや、美し過ぎる。
無理に「ジャズ」というカテゴリーに入れない方がいい。強いて言えば「ヒーリング・ジャズ」か、否、ちょっと違うなぁ ・・・・・・・・ リリース当時、割と評判になり、一部から「フュージョン」とも言われたけれど。
話題の主因は、やはりフリー畑出身の二人、リーダーのM・ブラウンとS・カウエルの変わり様。録音は1975年2月。
弾力ある伸びやかなR・Workmanのbに導かれ、まるで飛行船に乗って大空を浮遊するかのような気分に誘うカウエルの名作‘Maimoun’から始まるこのアルバムは確かに時代の「変遷」を映し出している。
S・ワンダーのカヴァ曲‘Visions’、飛行船からの美しい眺望を思い浮かべるし、ブラウンのオリジナル‘Vista’、飛行船から降り立った「未知の楽園」を連想する。
聴く人、それぞれがカヴァからイメージする世界でいいかもしれない。
愛聴盤の一枚、‘WHY NOT’(ESP)、 録音は1966年。
BROWNのESP、2作目、また、カウエルの存在を世に知らしめた彼のレコード・デヴュー作。
どちらが表で裏でも構わないインパクトあるカヴァ、カヴァを利用したセンター・ラベルもESPらしくハンド・メイドぽい。
フリーの抒情詩人、或いは牧歌風前衛と異名が付くブラウンだが、1964年の「ジャズ10月革命」、コルトレーンの「アセンション」等にも参加している歴とした筋金入りアヴァンギャルド派だ。