jazz and freedom and avenger

勝手気ままな戯事日記 暇つぶしに・・・・

入・退院を繰り返した ・・・・・McIntosh C41

2024-02-23 | お遊びオーディオ

 

昨年11月中旬に修理に出したプリ・アンプ C41。修理内容はイルミネーション・ランプが切れたので全交換と、インプット・セレクターの不調の修理ですが、三度、入・退院を繰り返しやっと戻ってきました。話せば長くなるのでグッと堪えますが、修理代金と期間をしっかり取られました。初めの診断と最終チェックが杜撰ですね。「あの会社(人)はプロだから・・・・・」なんて話はもう過去のものです。日経平均株価がバブル経済の当時につけた史上最高値を34年ぶりに更新した、と浮れているけど、足元ではこんな・・・・・・・・・・(笑)

自分のシステムは2WAYなのでC41を三ヶ月間、修理に取られてもC34Vが使えるので何ら不便を感じないが、そうでもない場合、こんなに長い期間を取られたら、堪ったものではない。いずれC34VとMC7300のランプ交換(部分的に薄くなりつつある)が控えているので頭が痛いです。違う窓口、修理工房を探そう。

 

 

結局、愚痴になっちゃいましたね。早速、聴いてみましょう。TREBLEが少しブーストされた位置にセットされている事に気が付かず、全体に硬い感じがしました。C41は評判の良いC40から5バンド・イコライザー機能を省略したモデルで、C34Vを始め、それ以前のナンバーのコクのあるマッキン・サウンドよりレンジが広がり、音がスッキリ傾向にあり、満足している。セレクターと劣化した部品を一部、交換した影響も時間と伴に解れるでしょう。退院後の第一印象はOKです。

モブレーの代表作の一枚を、

 

会心の出来を確信したモブレーを捉えたアングルが素晴らしい。それにケリーのpも絶好調ですね。

 


無名盤 、されど個人的傑作・・・・・CANYON LADY / JOE HENDERSON

2024-02-16 | ジャズ・ts

 

もう一枚、ジョー・ヘンにお付き合いを。以前、拙HP”BLUE SPIRITS”で本作をUpした際、「TOPの‘Tres Palabras’を聴くと、こりゃ、演歌ですよ」と、頓珍漢なコメントをしている。つい最近、この曲がキューバの作曲家、オスヴァルド ・ファレスが書いた名曲と知りました。正に浅学の極みです。

本作の録音は73年ですが、リリースされたのは75年、この頃はもう「ジョー・ヘンは何処へ行ったの?」とジャズ・ファンの記憶から遠ざかっていた上に、軽目のカヴァが災いしたのか、関心度が薄い一枚だった。ただ、多重録音とかマルチ・リードで演奏するのではなく、本来のts、一本に絞っている所に好感が持て、ダメもとで拾った記憶があります。

 

 

当然のことながらパーカッションを利かせた有り触れたラテン・ジャズではなく、ファンクのスパイスを濃い目に絡ませ、時代性を確りと取り込んでている。ただ、そこにルイス・ガスカがアレンジする‘Tres Palabras’の演歌ブルース(テーマ部分)が入り込むと、多国籍・ごった煮を連想しますが、一本筋が通ったジョー・ヘンのtsが見事に吹き消している。
泣き節の後、テンポを速めたジョー・ヘンのtsが実に心地良く飛び出す。所々、ハッタリを効かせながら流動感を持たせ、「起・承・転・結」が見事に整ったソロは出色の出来です。それに音がイイ! CA、バークレーのファンタジー・スタジオで、Jim Sternというエンジニアの手で録音されていますが、ジョー・ヘンの「音色」が抜群。BNの重量感ある黒さと異なりタイトで澄み切り、それでいて密度が濃い黒さです。

B面の二曲も、J・Heardの鼓膜を強く刺激する図太いファンク・ベース、小気味よく煽るパーカッションとリズムに乗って、時折り、ダーティさを醸すジョー・ヘン節が炸裂する。それにしてもtsの鳴り具合は全キャリアの中でも指折りです。また、タイトル曲でのG・DUKEのエレピも、メリハリがあって聴かせます。
ただ、A-2のオリジナル‘Las Palmas’はやや考え過ぎ、消化不良で、B-2のラストのパーカッション・ソロは付け足し気味で長過ぎます。この辺りが上手く調整されていたならば、と思います。

このアルバムは当時の米国のジャズ・アルバムで27位にチャートインしたそうです。因みにショーターの”NATIVE DANCER”は16位とのこと。両作品の狙い所は異なるけれど、我が国の世評は月とスッポン以上の差がある。その点、本国は違和感がありませんね。個人的にも”CANYON LADY”が断然、月です。いい歳して、また、メデイァ、世間に楯を突いちゃいました(笑)。

田中禮助氏の言葉を借りれば「粗にして野だが卑ではない」ジョー・ヘンのtsが壮大に鳴り響く。

”Bluespirits20100608”


堅忍不抜・・・THE STANDARD JOE / JOE HENDERSON

2024-02-09 | ジャズ・ts

 

VILLAGE VANGUARDでのライブ録音Ⅰ、Ⅱは、少なからず「御祝儀」の香りがするものの、概ね絶賛を得た。問題はその後の二作目。ところが、何故かBLUE NOTEが二作目の録音を計画した形跡がない。正確には、しなかった、出来なかったのだろう。A・ライオンは亡くなる前、このⅠ、Ⅱをすごく気に入り「BLUE NOTE史上最高のセッション」とまで断言したそうです。ま、よくある話で仕事、人生の区切りを付ける称賛の一種で額面通りに受け取るか、どうかはともかく、言葉だけが独り歩きし、関係者には天の声に聞こえただろう。事実だけを言えば、ライオンは1987年2月2日に他界している。

ジェノバのライブ盤”AN EVENING WITH・・・”(1987年7月)から4年近くが経ち、本家本元のBLUE NOTEの動きを窺っていたREDは痺れを切らし(笑)、1991年3月26日、NYに出向きスタジオ録音した作品。

タイトルは、”THE STANDARD JOE”。このシンプルにしてストレートなタイトルはREDがジョー・ヘンの好調さをずっと把握していたことの証に他ならない。

 

定番スタンダードの”Body & Soul”の他はジャズ・スタンダードとジョー・ヘンのオリジナルの構成だが、REDは彼の特性を見抜いてる。もともと、スタンダードを始めバラード、ボサノバ、ラテン系等々、上手く料理する優れた才能を持っており、60年代のBLUE NOTE時代のゴリ押し新主流派のイメージが強いけれど、タイプとしては隠れGETZ派と勝手に思っている。

TOPに人気ナンバー”Blue Bossa”を、オリジナルを挟み真ん中に美味しい3曲を、最後に決め曲”Body & Soul”の別テイク、と配列も吟味している。中でも”Take The A Train”ではハーレムへ向う逸る気持ちを巧みにフェイクするスキルが聴き物。全7曲、69分53秒、期待を決して裏切らないモダン・テナーの最上級のパフォーマンス、髄が詰っている。また、録音(CD)も良く、ジョー・ヘンとREDは相性がいいですね。個人的な欲を言えば、”I Remember Cliffrod”、そして、彼はC・ポーターの曲が良く合うので、例えば”I Concentrate On You”あたりでも加わっていれば、もう、言う事なしです。

この作品をジョー・ヘンのキャリアと重ね合わせると、柄にもなく四字熟語で表せば「堅忍不抜」が浮かんでくる。本作も我が国のジャズ・メディア(ジャズ本も含め)はよそ者REDに冷たく、あまり知られていない。

噂を聞き付けたVERVEは透かさず、彼を迎い入れ、一作目はグラミー賞(1992年)に輝いたが、VERVEの資金力に物を言わせた出来レースに近く、あの”Naked”な ジョー・ヘンの姿は影も形も消えていた。不遇時代が一番、充実していたとは・・・・・・、よくあるケースですね。それにしても、本当の不遇時代のジョー・ヘンを裏で支えたREDの功績は大きい。


正真正銘の名演 ・・・・・ AN EVENING WITH JOE HENDERSON , HADEN , FOSTER

2024-02-02 | ジャズ・ts

 

 

ジョー・ヘンの後半のキャリアは1985年、新生BLUE NOTEにVillage Vanguardでのライヴものを録音し、それまでの不遇と言う長いトンネルを抜け、ジャズ・シーンの表舞台に舞い戻った、というが通説となっている。

「完全ブルーノート・ブック」にこのVillage Vanguardでのライヴもののレビューが載っている。「ロリンズの1581を約30年後に全く同じ趣向でそれを凌がんとする傑作を残したことに、言葉も出ないほど感動を憶えたファンも多いはず。彼にとってのマイルストーンであるばかりではなく、80年代ジャズをも代表する1枚」と、最上級の賛辞が送られている。新生BLUE NOTEの再スタートとジョー・ヘン復活への花束贈呈にいちゃもんを付けるつもりはさらさら無いけれど、腑に落ちなかった。名演、名盤を義務付けられたジョー・ヘンのtsは悲しいかな委縮していた。

本当の不遇時代は、むしろ、皮肉にもこの後、1992年にVERVEから新作”LUSH LIFE”をリリースまでの7年間ではないか。その不遇時代に手を差し伸べたのが、イタリアのRED。REDはBLUE NOTE盤を確りと分析し、ジャズ・クラブとは逆に開放的なジェノバ・ジャズ・フェスティバル(1987年7月)のステージを用意した。

”AN EVENING WITH JOE HENDERSON, CHARLE HADEN, AL FOSTER”、ジェノバの夏の夜空の下、ジョー・ヘン、会心のプレイを聴くことができる。それにしても、この夜のジョー・ヘン、余程、調子がよかったのでしょう、肩の力が抜け、自由自在にtsを鳴らし切っています。

収録曲はお馴染みの4曲。モンクの‘Ask Me Now’、オリジナルの‘Serenity’、S・リバースの‘Beatrice’、そしてジョー・ヘン、18番の‘Invitation’。
中でも‘Serenity’における一気に畳み掛けるようで、見事にコントロールされたソロ・ワークは圧巻! お得意の‘Invitation’では余裕あるアドリブを披露してくれます。

ただ、イタリア盤なのか、一部のファンを除き、広く知られなかった事が真に残念です。我が国のジャズ・メディアはもっとファンに伝えればよかったのに。

録音も良く、ライブというハンディをまったく感じさせず、ステレオ録音とクレジットされているが、ほぼモノラルに聴こえ三者が一丸となっている点がイイ。少しパワーを入れると、臨場感がすごく、ステージの真ん前でかぶりつき状態です。

 

”Bluespirits 20130310”