jazz and freedom and avenger

勝手気ままな戯事日記 暇つぶしに・・・・

相場はともかく ・・・・・ ONE FLIGHT UP & LEE WAY

2020-01-26 | ジャズ・ts

 

ゴードンのBNにおける代表作と言えば、”OUR MAN IN PARIS”、”GO”と相場は決まっているけれど、そうかな?

確かに前者はpにパウエルが入り豪快なゴードンのブローが堪能でき、後者は人気者クラークが、そしてチャーミングな「チーズ・ケーキ」の名演となれば、文句の付けようが有りません。でも、「予定調和」なんて小難しい用語を使いたくありませんが、なんかスッキリしない。

自分の好みでベストと思うアルバムは”ONE FLIGHT UP”。1964年6月2日、パリ録音。

ゴードンはts一本のカルテットに限る、と言う御仁が多いけれど、必ずしもそうではなく意外にtpが入った作品もいい。本作はD・バード(tp)が入ったクインテット。”OUR MAN IN PARIS”の録音時での裏事情から推測できるゴードンの満たされなかった「本音」が異例とも思えるA面を占める18分に及ぶ”Tanya”に開陳されている。作曲はD・バード、また、B面の”Coppin’ The Haven”は、本来、”OUR MAN IN PARIS”に入る予定だった”K・ドリュー。途中から何となく似てくるのが気になりますが、ま、大目に聴きましょう。

本国での居場所がなくなり始め、バードは音楽の勉強に、ドリューは新しい働き場を求め渡欧しており、二人の別人の如く生き生きしたプレイを引き出したのがゴードンのその「本音」。

パリの自由な空の下、今度は「Somethig New」を謳歌している。

 

もう一人、モーガン。世評では”Vol.3”と”CANDY”が高いけれど ・・・・・・・?

”Vol.3”は”I Remember Clifford”の決定的名曲・名演が入っているが、作品全体ではゴルソンのペンの比重が強く浮き彫りされ、どちらがリーダーか?と疑ってしまう。

また、年を跨ぎ二日間もスタジオに軟禁(笑)され、二十歳前後にして去勢されたモーガンを聴くのは忍びない。あの世のモーガンに騙馬になった”CANDY”を「これがあんたの名盤・代表作だよ」と言ったら、一体どんな顔をするだろう。

”LEE WAY”(1960.4.28)がイイ。

tpの鳴り自体は全盛時の50年代に及ばないもののアルバム作りに気配りしている。タイトルも粋。

特にA面2曲の出来が抜群!

TOPの”These Are Soulful Days”では通常のソロ順と真逆で、bから始まり最後にモーガンと良く練られている。次のライオンとウルフ(まるでZOOみたい)に因んだ曲もまずマクリーンに先陣を切らせ、モーガンは後に控えて出番をじっと待っている展開がニクイ。それまでの時としてトリッキーなフレーズに走る姿が抑えられ重心が下がったプレイが好ましい。また、アルバム全体を通して衒いのないティモンズのpも聴きものです。

50年代とは違う60年代の空気をきっちりキャッチしているのも良い。

 

余計な話ですが、かって通い詰めた「しゃんくれ~る」で”ONE FLIGHT UP”、”LEE WAY”は時々、流れたけれど、評判の4枚が掛った記憶がない。それだけ「捻くれ者」が多かったのだろう。自分も初めからその内の一人だったようだ。