ラクダにのってキャンプに一泊した『東京砂漠』しか砂漠を見たことなかった僕。星を見るのを楽しみに来たのに、特別サービスですといわんばかりの月明りをいただいてしまい悔し涙を流し迎えた旅行6日目。
9月22日 06:00
ハエ。
ハエ。
ハエ。
「トラ、トラ、トラ」ならぬ「ハエ、ハエ、ハエ」。砂漠の朝はハエの襲来とともに始まります。モテ期襲来です。こんなに多くのものから詰め寄られるのは生まれて初めてですってくらいハエが飛んでます。おそらく気温の低い時間帯に彼らは活動し、陽射しと気温の厳しい日中はどこかに隠れていると思われる。
そんなハエからの熱烈なラブコールをかいくぐり朝日を見に行きます。
砂丘を登り始めましたが、挫折。無理です。そんなことで必死になって砂山登っているよりも、じっと座ってハエたちと朝日を迎えた方が幸せです。こうやって自然の中に溶け込んでどうかしているときが一番幸せです。聞こえるのは「ぶーん」「ぶーん」というハエの羽音と、ときどき響くラクダたちのうめき声。だまってそこに溶け込む。「生きてるんだなぁ」と性懲りもなく思う。こんな上質も朝もない。
そして朝食「パンのフルコース」(写真はありません)をいただきホテルへ、ラクダに乗って帰ります(笑。
現地時間 12:00 「Auberge du Sud」
ホテルに帰ってきた我々…疲れた。
でもまだまだ一日は始まったばかり。約1日ぶりに再会したハサンは今日もパソコン片手に元気そうだ(笑。
(ハサンはここが地元なのでラクダツアーなんかについてくるわけもなく、昨晩はご両親・家族に会っていたそうです)
「よぉし、車に乗ってラリーしようぜ!」
と砂漠を走りに行くことに。そのパワプロで野球しようぜ!みたいなノリでラリーに出かけるあたりがさすが砂漠の民である。
もはやおなじみとなったハサン選曲のBGMを乗せて車は道なき道をひたすら走るのです→。
途中、岩場のところで停車。岩場に立ち「この岩の中に化石が入っているんだ」と説明してくれました。
そしていよいよ砂漠を「アドベンチャー!」(ハサン曰く)。
またしばらくいくと「ノマドのベルベル人(友達)がいるから、見に行こう」ということでお邪魔することに。
ノマド(遊牧)生活をしているベルベル人親子の家に上がらせてもらった。なんだろう…生きるってなんなのか考えさせられる。そもそも遊牧生活って捨てようと思えば捨てられて、ある意味資本主義に頼って街に出て働いた方が楽な部分も多分にあるだろうに遊牧生活を続ける意味。家と言えば聞こえはいいけども、移動ができるように木を重ね合わせて立てている小屋と呼べるかもわからない程度のものである。そこで一日何があるわけでもなく生きるために生きている…僕には想像ができないです。
彼らの生活に欠かせないのは水である。世界史だったか地理だったか覚えていませんが、砂漠の地域には優秀な井戸システムがあるのは皆さんご存知でしょう(何。僕もついつい何て名前だったか忘れてしまう(日本史・政経専門ですし)のですが「カナート」ですね。モロッコでは「レッタラ」と呼ぶそうですが。
ひたすら井戸を掘りまくってさらに井戸同士を横穴つないで地下水の水路を作る。そうすると地上には一切草も生えない砂漠地帯であっても、一定の間隔で井戸の穴が並んでいくことで水を確保できると。もともとは中央アジア(ペルシャ)の技術らしいですな。モロッコでも砂漠地帯の舗装されている道の横にはぼこぼこ井戸があるのを見かけます。
さてそれからまたしばらく突っ走り、黒人たちが住む地区があるというので見に行くことにしました。
彼らは奴隷で連れてこられてきた黒人たちの子孫だそうだ。彼らが演奏するのがグナワ。ただここら辺の説明をちゃんと聞いていなくて、僕は今でも理解していないのだけど、このグナワというものが彼ら自身を指すのか、その音楽自体を指しているのか、はたまたどちらも指しているのかいまいちわかっていない…もちろん、彼らが継承している文化そのものがグナワである可能性もあります。
少し調べてみるともともと宗教的儀式から端を発しているのはわかったんですが、どうやら歴史が定かでないそうです。ある情報によるとグナワは口承文化だったために記録がないらしい。加えて彼らの先祖がもっていた宗教観は多神道信仰らしく、その土着的な神への信仰に外からイスラム文化とくにスーフィズム(神秘主義)が上手に加わり、神への信仰方法に踊り、音楽をもって挑むという手法が導入されたことが今のグナワにつながっているらしい(個人的解釈でありますが)。
しかもこのグナワ音楽はもともと精神的なトランスを導くものであり、スーフィズムは一心不乱に回転してふわぁっと浮いてくる感じを体験することで神との対話というか一体化とまでいわないまでも高みにいたろうとする行為だけども、グナワ音楽は憂鬱な気分を吹き飛ばすためにあるそうだ。
実際それを見てみると観光用の演奏とはいえ楽ではない。なかなかのしんどさだ(汗。一心不乱に歌い、楽器を慣らし、踊る。それに圧倒されるのである。
そして昼ご飯を食べにホテルに帰るのでした。
<モロッコ旅行はHikali Safariで>