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内容紹介
薄紫の香腺液の結晶を、澄んだ水に落とす。甘酸っぱく、すがすがしい香りがひろがり、それを一口ふくむと、口の中で冷たい玉がはじけるような・・・・・・。アルコールにとりつかれた男・小島容(いるる)が往き来する、幻覚の世界と妙に覚めた日常そして周囲の個性的な人々を描いた傑作長篇小説。吉川英治文学新人賞受賞作。
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僕は中学生の頃だったと思うんですが、深夜番組で中島らも氏を見たことがあります。当時『なにワケわからん下ネタいってんだ、このおっさんは』と思った記憶があります。
読む前にそんなこと思い出してたんですが、それから十数年経って僕はてっきりご存命かと思っていたら、10年前に亡くなられているのを本書を読むに際して知りました。お悔やみ申し上げます。
さて、読んだ感想ですが、こんな文章がありなのかって思いました。物語かと思うと自伝・エッセイにもなるし、医学書・医学レポートにもなるし、話のペースが一貫してない。
簡単にいうと本作は作者の経験に基づくアル中患者の物語で、ところどころ医学書で論理武装して走り抜ける一冊。まぁ、正直、走り抜けてもいないんですよね…言うなれば千鳥足に完結するといってもいいかもしれません。はっきりいって作者がそのとき思い付いたことを好き勝手に書いてるだけで、言いたいこと・伝えたいことはきっとない。興味深いこともあるんだけど、感動とか意味とか期待してはいけないような作品だと思いました。
ただね、これが案外悪くないんです。「おいおい、またうんちく垂れるのか」って何度もがっかりするんだけど、人間の強さなのか弱さなのかわからない、異形の精神というべきか、【不安】っていうやつを恥ずかしげもなく書いてるわけ。それにはあっけにとられます。
なんていうかなぁ、すんげぇ汚い中華料理屋で「うちはラーメンしかないから」みたいな感じがしちゃうわけ。雑然とした文章のなかに、なんの飾り気の純粋な精神が書かれているように僕は感じましたね。