論語教育の突然廃止は不当、東京高裁逆転判決
「論語」の講話など独自の道徳教育で知られた茨城県取手市の江戸川学園取手中・高校の生徒の保護者ら31人が、「入学後に論語教育をやめたのは不当」として、同校を運営する学校法人江戸川学園(東京都)に論語教育の復活と損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が31日、東京高裁であった。
「保護者を裏切った」江戸川学園に賠償命令
柳田幸三裁判長は「学校の説明を信じ、子供を入学させた保護者の信頼を裏切り、学校選択の自由を侵害した」と述べ、請求を棄却した1審・東京地裁判決を変更し、計480万円の賠償を学園側に命じた。一方で、判決は「学校との在学契約の当事者は生徒であり、保護者が入学前の約束を守るよう求めることはできない」とし、論語教育の復活は認めなかった。
判決によると、同学園は論語に基づいた講話などユニークな道徳教育を行い、県内有数の進学校として全国的に知られるようになった。また、学校案内などで、その教育効果を保護者らに積極的に宣伝してきたが、2004年7月、論語教育を推進してきた当時の校長が解任され、論語教育も廃止された。
判決は、「保護者には子供の教育について学校選択の自由がある」と指摘。学校側の事前説明に反し、入学後に教育内容が勝手に変更された場合は、「保護者の学校選択の自由が侵害されたと言える」との判断を示した。その上で「論語教育の突然の廃止を十分説明せず、生徒や保護者の不安を取り除く配慮が欠けていた」などとして、学園側の賠償責任を認めた。
原告代理人によると、教育内容の変更を巡り保護者の「学校選択の自由」の侵害を理由に賠償が認められた例はないという。
江戸川学園の話「判決は承服できず、上告する。教育の自由にかかわる重要な問題で、憲法問題として最高裁判所に判断してもらう必要がある」
(2007年11月1日 読売新聞)
「論語」の講話など独自の道徳教育で知られた茨城県取手市の江戸川学園取手中・高校の生徒の保護者ら31人が、「入学後に論語教育をやめたのは不当」として、同校を運営する学校法人江戸川学園(東京都)に論語教育の復活と損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が31日、東京高裁であった。
「保護者を裏切った」江戸川学園に賠償命令
柳田幸三裁判長は「学校の説明を信じ、子供を入学させた保護者の信頼を裏切り、学校選択の自由を侵害した」と述べ、請求を棄却した1審・東京地裁判決を変更し、計480万円の賠償を学園側に命じた。一方で、判決は「学校との在学契約の当事者は生徒であり、保護者が入学前の約束を守るよう求めることはできない」とし、論語教育の復活は認めなかった。
判決によると、同学園は論語に基づいた講話などユニークな道徳教育を行い、県内有数の進学校として全国的に知られるようになった。また、学校案内などで、その教育効果を保護者らに積極的に宣伝してきたが、2004年7月、論語教育を推進してきた当時の校長が解任され、論語教育も廃止された。
判決は、「保護者には子供の教育について学校選択の自由がある」と指摘。学校側の事前説明に反し、入学後に教育内容が勝手に変更された場合は、「保護者の学校選択の自由が侵害されたと言える」との判断を示した。その上で「論語教育の突然の廃止を十分説明せず、生徒や保護者の不安を取り除く配慮が欠けていた」などとして、学園側の賠償責任を認めた。
原告代理人によると、教育内容の変更を巡り保護者の「学校選択の自由」の侵害を理由に賠償が認められた例はないという。
江戸川学園の話「判決は承服できず、上告する。教育の自由にかかわる重要な問題で、憲法問題として最高裁判所に判断してもらう必要がある」
(2007年11月1日 読売新聞)