じゃ、僕の話をします。

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「鮨の魚政」その1~『目から鱗』編~

2012-04-04 | 寿司
「その店の寿司を食べずして、北海道の寿司は語れない。」

…その通りでした。

寿司に対する価値観を、根本から変えさせられた店でした。まさに「目から鱗」です。

実際、以前からその店の名前は耳にしていました。全国的にも有名ですし。

そこへ、とある居酒屋のマスターから、一緒に行きませんかとのお誘いが。

実は、かなり前からお誘いをいただいておりました。

でも、お店は札幌・桑園の中央卸売市場にあり、営業は朝の六時半から。大抵、午前中にはネタがなくなり閉店。

逆に、ススキノに数多ある店のように簡単に行ける感じではないですし、まさに北海道の食の最前線である、中央卸売市場にある寿司屋。中々、一見で行く勇気も無かったのです。

マスターのお言葉に甘える事にしました。

朝の六時。まだ薄暗い中、始発の電車に乗り、桑園へ。着くと、マスターが車で迎えに来てくださってました。朝方までお店を営業し、市場で仕入れをした後にお付き合いくださったのです。お疲れのところだと言うのに、有りがたい話です。

程無くして市場に到着。市場の朝の六時と言えば、会社の終業時間のようなものだと。でも、活気の余韻は感じました。

そして…

市場のビルの一つに、その店はありました。周りには魚屋を中心に様々な店があるのですが、その一角に静かに佇んでいました。

暖簾もまだ出る前だったのですが、マスターの案内で中へ。カウンターのみ。八、九席程度。

そして、カウンターのショーケースには、一目で新鮮だとわかるネタの数々が。それが、一枚目の写真です。その色彩はもはや、美しい絵画のようです。

席に座り、まずはビール。朝から寿司屋でビール。最高に贅沢な朝御飯の始まりです。

伝票にネタと値段が書いてあり、個数を書いて渡すと握ってくれます。

最初に言いますが、まず、値段に驚くはずです。値段はもはや回転寿司並みに気楽に頼める値段。しかし、ネタは最高級の寿司屋クラス。この店と同じレベルのネタの寿司をススキノで食べたら、4~5倍は確実に取られます。

それを念頭に入れて頂いた上で、当日食べた寿司をご覧ください。

中落ちの握り。

中落ちを軍艦ではなく握りで。最初からやられました。

いか。


ほたて。

実は、後から常連の市場の方が入ってきて、何気なく小さなビニールに入れたホタテを店主に渡したのですが、それを握ってくれました。この市場の空気感がたまらない。

げそ。


甘エビ。

味噌がたっぷり載ってます。こんな甘エビは食べたことがない。

たらこ。


さより。


ホヤ。

一番感動したネタ。実はホヤは苦手だったのです。食べられないことは無いのですが、独特な風味が苦手で、「これが磯の香りだよ」なんて言われても、そんなもんなのかなと。

しかし、このホヤは今まで生涯食べた寿司の中で、一番の衝撃を受けました。

その味わいは爽やか。

旨味、酸味、塩気、香り。海のあらゆる恵みが、口いっぱいに。嫌な風味は一切なく、心地好い海風が駆け抜けるがごとく、食べることの快感が脳天に突き抜けました。

今まで食べたホヤは全て、ホヤではなかった。

実は捌き方も重要らしく、その技術によって味は大きく左右されるらしいのです。

唸るしかない。

カウンターで、ひたすら感動に身悶えながら、寿司を口にしていました。

こんな寿司を食べるのは初めて。

ふと、横に居るマスターの顔をみると、してやったりの表情。

すみません。

完敗です。

そして、まだまだ幸せな朝は終わりません…

(続く)
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