点の記とは,三角点設定の記録で,一等三角点の記,二等三角点の記,三等三角点の記の三種類があります(「劔岳~点の記~」より)。
全編に展開される「映像の美しさ」が特に印象に残りました。「自然の美しさは,自然の厳しさが造る」のとおり立山連峰が織りなす自然の美は,映画館の大スクリーンで見るだけの十分な価値がありました。さすが名カメラマン「木村大作監督」の作品です。
原作そのものが史実(明治40年の参謀本部陸地測量部測量官柴崎芳太郎氏他による劔岳一帯の三等三角網完成のための測量事業)に基づいた小説ですから,映画も原作から大きく逸脱したところは少なかったように思います。しかし,登頂時の人やその様子の場面,小島烏水(うすい)氏率いる山岳会との絡みの場面などはある程度オリジナルで原作とは異なっていました。
~山岳会から届けられた祝電~
「劔岳初登頂おめでとうございます。なお,山頂におけるかずかずの貴重なる歴史的発見は日本登山史を飾るものとして長く後世に伝えられるでしょう。あなたがたの輝かしい成功に心から,尊敬と感謝の言葉を送ります。 山岳会小島烏水」 つまり彼らの偉業を本当に理解してくれたのは,軍部やマスコミではなくライバルの山岳会だけだったということでしょう。
電報にある「貴重な歴史的発見」とは,長次郎氏や生田氏が山頂で発見した錫杖の頭や剣の先で,かなり以前(奈良朝時代?)に行者によって登頂(開山)されていたことを証明するものです。ちなみに,これらはその後昭和34年に「重要文化財」に指定されています。