あすきなまこブログ

七宝焼を焼いています。

みやこへ捧ぐ唄

2007-11-23 16:46:42 | Weblog
「どうか
あなたのおそばにおいてください」
少女はかすかなこえでささやきました。
けれどそういうわけには
いかないのです
わたしはそっとくびをふりました
少女のひとみは
かなしみのいろをたたえて
ふるえているようにみえました
「それならせめて
わたしをわすれないでいてください
そしてときどき
おもいだしてください」
少女はわたしのこころのなかに
すみたいとねがったのです
しかし
ひろくてせまいこころのなかに
彼女のいる場所があるでしょうか
いつのまにか
やわらかなひかりのように
きえてしまうかもしれません
それはなにより
さびしいことです

ほんとうはなにもかもすてて
彼女といっしょに
どこかとおいところへ
いってしまうことができたら
どんなにいいでしょう
少女のひとみから
なみだがこぼれました。

わたしが彼女を愛していたことを
彼女はしっていたでしょうか
なにもあたえることなく
うばうことすらできなかった
わたしが

彼女を愛していたことを



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



ひきだしの整理をしていたら、本にし損ないっぱなしの原稿が出てきました。
小説本のさわりで使えたら良いなと思って書いていた、詩のようなものです。
ちょっと恥ずかしいけど、ここに載せてしまいましょう。
10年前の日付がついていました。





コメント
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