~マッキンゼーとボスコン~
第1章 「コンサル至上主義」の時代
第2章 「外資系コンサルティング・ファーム」の実態
第3章 「戦略系コンサル」の知恵のエッセンス
第4章 「コンサル至上主義」の落とし穴
第5章 「コンサル至上主義」を超えて
「今年は、ビートルズ来日40周年にあたり、さまざまなイベントが行われた。彼らが日本の社会に与えた影響は言うまでもありませんが、同じ1966年に『外資系コンサルティング・ファーム』が初めて日本に上陸しました」。
「以降、彼らは、私たちの国の政治・経済・社会の中枢に大きな影響力を持つまでになっています。しかし、この『コンサルティング・ファーム』の隆盛は、今後とも続くことが想定されます。私たちは、こうした『コンサルティング・ファーム』から何を学び、それにどのように対処していけば良いか、というのが本書の主旨です」(「おわりに」より)
今や、経済だけでなく、政治や教育、医療や地方自治に至るまでその“軍師”“参謀”として深く食い込んでいる外資系コンサル。とりわけ、その双璧、マッキンゼーとボストン・コンサルティングに焦点を当て、「コンサル至上主義」といえる日本のその実態と、今後の処方箋を説くのが本書。ビジネス・パーソン必読の名著だと思う。
特に、ボストン・コンサルティングが、一強他弱下のトップ、マッキンゼーに対して取った戦略の解説には中小企業経営者には得るものが多い。ここでは、「ベスト&ブライテスト(最良にして最高の頭脳を持つコンサルタント集団)による「ベスト・プラクティス」(最善手)を提示するという、その彼らの知恵と思考パターンのエキスだけを引用する。
<戦略系コンサルタントの知恵のエッセンス>
◎「ミーシー」(MECE;Mutually Excluusive、Collectly Exhaustive)
相互的に排他的、集合的に完璧。すなわち、個々に見てダブりがなく、全体として漏れがないこと。
◎「ロジック・ツリー」
課題の原因やソリューションを「MECE」にのっとって、ロジカル(論理的)にツリー状に分解して整理する方法。とくに、問題とその原因を分析していくことででき上がったツリーを、「イッシュー・ツリー(問題解決の樹木)」と呼ぶこともある。
◎「ファクト(事実)ベース」
◎「仮説思考」
限られた時間の中では、事実関係を完全に調べ上げ、その上で課題の解決策を導き出すことが事実上困難になる。この問題を打ち破る(ブレーク・スルー)ためによく用いる“思考法”。<仮説立案>→<行動/情報収集>→<検証>→<進化した仮説>。
◎「フレームワーク」
コンサルタントは、「ロジカル・シンキング」をいつまでどこでも行うが、一方で、特定の問題を考える際に用いる手法。「企業戦略」と「事業戦略」に分けられる。
<企業戦略>
「PPM」(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)
1960年にボストン・コンサルティングが提唱。事業を「市場成長率」、「相対的市場シェア」の二つに軸にプロット。この二軸で分けられる四つの象限を、「花型(star)」、「金のなる木(cash cow)」、「はてな・マーク(question mark)、「負け犬(dog)」とする。
「ビジネス・スクリーン」
PPMがキャッシュフローをどのように融通すべきかを明らかにするツールであるのに対し、その限界を解消するためにマッキンゼーが開発。「事業の魅力度」と「自社の強み(事業の地位)」を二軸にプロットし、事業を九つの“スクリーン(セル)”に位置づける。
<事業戦略>
「3C」(Strategic Triangle)
「顧客(Customer)、「競合(Competitor)」、「自社(Company)の三つから事業を捉え、戦略を構築する。
「SWOT(スウォット)分析」
内部環境としてのの自社の強み(Strength)、および弱み(Weakness)、外部環境としてのビジネス機会(Opportunity)および脅威(Threat)ごとに競争環境を分析。
「『五つの力』分析/Five Forces」
「モニター・グループ」の創始者、ハーバード・ビジネス・スクール教授で「競争の戦略」の著者マイケル・ポーター氏が開発。
①事業内の競合企業・敵対関係の強さ、②新規参入(業者)の脅威、③代替品・サービスの脅威、④売り手(供給業者)の交渉力、⑤買い手(ユーザー)の交渉力
「バリュー・チェーン(Value Chain)/価値連鎖」
同じくマイケル・ポーター氏。購買物流(inbound lpgistics)→製造・オペレーション→出荷物流(outbound logistics)→マーケティング・物流→サービスという格段階において、企業が価値を付けていくことが、企業の主活動であると捉える。
<特定の事業>
「マーケティングの4P」
ジェローム・マッカーシーが提唱。製品(Product)、価格(Price)、プロモーション(Promotin)、流通(Place)。売り手の視点(供給者論理)からマーケティングを捉えたもの。
「マーケティングの4C」
ロバート・ラウターボーンが提唱。顧客価値(Customer Value)、顧客コスト(Customer Cost)、コミュニケーション(Communication)、利便性(Convenience)。買い手の視点(顧客論理)から捉えたもの。
「マッキンゼーの7S」
①共通の価値観(Shared Value)、②戦略(Strategy)、③組織構造(Structure)、④システム・精度(System)、⑤経営スタイル(Style)、⑥スタッフ(Staff)、⑦スキル(Skill)。このうち、②、③、④の三つは、経営者が変えようと思えば変更することができることから、「ハードの3S」と呼ばれる。マッキンゼーによれば、優れた企業では、残りの四つのS、(①、⑤、⑥、⑦を総称して「ソフトの4S」と呼ぶ)を含む七つの要素がお互いを補い、強めながら企業価値を高めている、とする。
第1章 「コンサル至上主義」の時代
第2章 「外資系コンサルティング・ファーム」の実態
第3章 「戦略系コンサル」の知恵のエッセンス
第4章 「コンサル至上主義」の落とし穴
第5章 「コンサル至上主義」を超えて
「今年は、ビートルズ来日40周年にあたり、さまざまなイベントが行われた。彼らが日本の社会に与えた影響は言うまでもありませんが、同じ1966年に『外資系コンサルティング・ファーム』が初めて日本に上陸しました」。
「以降、彼らは、私たちの国の政治・経済・社会の中枢に大きな影響力を持つまでになっています。しかし、この『コンサルティング・ファーム』の隆盛は、今後とも続くことが想定されます。私たちは、こうした『コンサルティング・ファーム』から何を学び、それにどのように対処していけば良いか、というのが本書の主旨です」(「おわりに」より)
今や、経済だけでなく、政治や教育、医療や地方自治に至るまでその“軍師”“参謀”として深く食い込んでいる外資系コンサル。とりわけ、その双璧、マッキンゼーとボストン・コンサルティングに焦点を当て、「コンサル至上主義」といえる日本のその実態と、今後の処方箋を説くのが本書。ビジネス・パーソン必読の名著だと思う。
特に、ボストン・コンサルティングが、一強他弱下のトップ、マッキンゼーに対して取った戦略の解説には中小企業経営者には得るものが多い。ここでは、「ベスト&ブライテスト(最良にして最高の頭脳を持つコンサルタント集団)による「ベスト・プラクティス」(最善手)を提示するという、その彼らの知恵と思考パターンのエキスだけを引用する。
<戦略系コンサルタントの知恵のエッセンス>
◎「ミーシー」(MECE;Mutually Excluusive、Collectly Exhaustive)
相互的に排他的、集合的に完璧。すなわち、個々に見てダブりがなく、全体として漏れがないこと。
◎「ロジック・ツリー」
課題の原因やソリューションを「MECE」にのっとって、ロジカル(論理的)にツリー状に分解して整理する方法。とくに、問題とその原因を分析していくことででき上がったツリーを、「イッシュー・ツリー(問題解決の樹木)」と呼ぶこともある。
◎「ファクト(事実)ベース」
◎「仮説思考」
限られた時間の中では、事実関係を完全に調べ上げ、その上で課題の解決策を導き出すことが事実上困難になる。この問題を打ち破る(ブレーク・スルー)ためによく用いる“思考法”。<仮説立案>→<行動/情報収集>→<検証>→<進化した仮説>。
◎「フレームワーク」
コンサルタントは、「ロジカル・シンキング」をいつまでどこでも行うが、一方で、特定の問題を考える際に用いる手法。「企業戦略」と「事業戦略」に分けられる。
<企業戦略>
「PPM」(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)
1960年にボストン・コンサルティングが提唱。事業を「市場成長率」、「相対的市場シェア」の二つに軸にプロット。この二軸で分けられる四つの象限を、「花型(star)」、「金のなる木(cash cow)」、「はてな・マーク(question mark)、「負け犬(dog)」とする。
「ビジネス・スクリーン」
PPMがキャッシュフローをどのように融通すべきかを明らかにするツールであるのに対し、その限界を解消するためにマッキンゼーが開発。「事業の魅力度」と「自社の強み(事業の地位)」を二軸にプロットし、事業を九つの“スクリーン(セル)”に位置づける。
<事業戦略>
「3C」(Strategic Triangle)
「顧客(Customer)、「競合(Competitor)」、「自社(Company)の三つから事業を捉え、戦略を構築する。
「SWOT(スウォット)分析」
内部環境としてのの自社の強み(Strength)、および弱み(Weakness)、外部環境としてのビジネス機会(Opportunity)および脅威(Threat)ごとに競争環境を分析。
「『五つの力』分析/Five Forces」
「モニター・グループ」の創始者、ハーバード・ビジネス・スクール教授で「競争の戦略」の著者マイケル・ポーター氏が開発。
①事業内の競合企業・敵対関係の強さ、②新規参入(業者)の脅威、③代替品・サービスの脅威、④売り手(供給業者)の交渉力、⑤買い手(ユーザー)の交渉力
「バリュー・チェーン(Value Chain)/価値連鎖」
同じくマイケル・ポーター氏。購買物流(inbound lpgistics)→製造・オペレーション→出荷物流(outbound logistics)→マーケティング・物流→サービスという格段階において、企業が価値を付けていくことが、企業の主活動であると捉える。
<特定の事業>
「マーケティングの4P」
ジェローム・マッカーシーが提唱。製品(Product)、価格(Price)、プロモーション(Promotin)、流通(Place)。売り手の視点(供給者論理)からマーケティングを捉えたもの。
「マーケティングの4C」
ロバート・ラウターボーンが提唱。顧客価値(Customer Value)、顧客コスト(Customer Cost)、コミュニケーション(Communication)、利便性(Convenience)。買い手の視点(顧客論理)から捉えたもの。
「マッキンゼーの7S」
①共通の価値観(Shared Value)、②戦略(Strategy)、③組織構造(Structure)、④システム・精度(System)、⑤経営スタイル(Style)、⑥スタッフ(Staff)、⑦スキル(Skill)。このうち、②、③、④の三つは、経営者が変えようと思えば変更することができることから、「ハードの3S」と呼ばれる。マッキンゼーによれば、優れた企業では、残りの四つのS、(①、⑤、⑥、⑦を総称して「ソフトの4S」と呼ぶ)を含む七つの要素がお互いを補い、強めながら企業価値を高めている、とする。
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