「籠の中の小鳥」
籠の中の小鳥は寂しい
持って生まれた羽で
力いっぱい
羽ばたくことができない
夕陽を追いかけて
飛ぶこともできない
一人歌う可愛らしい朝の歌
一緒に囀ることを知らない
籠の中の小鳥は哀れだ
歌声の音符を
青空にまき散らす楽しさを知らない
歌声に歌声が
響きあうことを知らない
籠の中の小鳥の瞳が映す
見慣れた飼い主の姿
蜜あつめに忙しい蜂を
見たことがあるだろうか
天がける虹の七色を
見たことがあるだろうか
籠の中の小鳥の
唯一の遊び相手は鈴
花とも虫とも遊ばない
風や雲とも戯れず
籠の中の小鳥は
一人ぼっちで籠の中
けれど空の小鳥は
空の小鳥で苦しくて
風を受けて痛む羽根
冷たい雨は沁み込んで来る
安心して眠れない夜の闇が
どれぐらい暗くて恐ろしいものか
籠の中の小鳥は暖かく安心な夜を眠るのに
一人ぼっちで空飛ぶ小鳥は
果てのない広さに戸惑うばかり
口ずさむ歌は時として
不安を告げる悲鳴であったり
きっとどの小鳥も
苦しくて 寂しくて
どの小鳥にも
楽しみが与えられていて
そうして目の前の
小さな籠の中の小鳥
朝日の中で僕を見上げるお前に
素直に湧いてくる
愛情を注ぐことにしよう
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