風のささやき 俳句のblog

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影 【詩】

2022年01月27日 | 

「影」

# 1

地面の底から湧く
不吉な染みの様に
人々の背中にはりつき
離れない

雑踏の中では 逃げ場をなくし
影と影とが入り乱れ
人の形をなくし 奇妙な姿となって

手や足を 何本もはやし
もはや誰とも分からない首を
沢山 並べて
寂しい昆虫の 触手のように
落ち着きなく 揺れている


# 2

影は入り乱れかき回される脳に
浮かぶ考えはいつも船酔い
思い定まらず気分が悪くて

それは影から影へひろがり
都会の重い気分となって
寝苦しい悪夢へ変わる

起きた時の自分は
表情のない黒い影のようだった

僕は乗っ取られる予感でいる
何も感じないままに
黒い影に心を奪われて



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