夕方になると風が心地よく
子供たちを乳母車に乗せながら
散歩をしました
春の夕日に彩られると
あたり一面が皆同じ色合いに染まり
自分も夕日の一部になってしまったようで
普段は騒がしい子供たちも
僕と一緒に黙って赤い風に吹かれていました
先日親戚の小さな男の子が遊びに来ました
疲れを知らずちょろちょろと動き回るので
付き合う方は結構大変です
それでも時々は体を動かす遊びに飽きて
持ってきた絵本を一緒に眺めたのですが
真剣な眼差しを絵本に注ぐその横顔が
とても麗しく思えました
きっともの凄い勢いで
知識を頭にしみ込ませているのでしょう
窓から吹く光る風は
その姿を祝福するかのように
頭を撫でてゆきました
(Haiku)
Eyes full of wonder,
Child turns pages, tales take flight,
Spring breeze, aglow.
家に帰ろうと駅に向かったら
パラパラと雨が落ちてきました
小ぶりだったので
傘も差さずに歩いたのですが
電車に乗り家に近づくにつれ
雨は雪に変わり
家に着くころには空一面の雪
フワフワと風に舞う雪は
行きつ戻りつ
重力も感じられず
真っ白な羽根が空に踊るようです
その羽根に埋め尽くされた空
街灯に照らされて幻想的です
心奪われて
家を急ぐ人波に乗り遅れて
空を見上げた僕でした
春の公園に遊び
歩きつかれて芝の上に休むと
青く茂った芝は柔らな布団のように僕の体を沈めて
目をつむる僕は春風の中に抱かれるように
ひとときを眠っていました
それは眠ったことさえ
わからないような軽い眠りでした
(Haiku)
Spring wind enfolds me,
On verdant lawn, dreams whisper,
Together we rest.
長閑な春の日
ベンチに座り本を読んでいたら
眠気に誘われました
何度もあくびをして
見上げた空は涙に潤み
ぼんやりかすんだで
一層、柔らかい色合いに見えました
本を置いて
見飽きない穏やかな色合いの空を
涙もぬぐわずに眺めていました
(Haiku)
Yawning, tears well up,
Moistening the springtime sky,
Hues of gentle blue.