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風のささやき 俳句のblog

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深手負う心の傷を知りもせず君が語るな僕の痛みを【短歌】

2024年10月29日 | 短歌

心に感じる痛みは人それぞれ
自分はどちらかと言うと敏感なようで

そんなことでは傷つかないことにも
落ち込み、心を掻き毟られるときがあります
だから、人と話すことに
ちょっと億劫になったりもします

そんな自分に助言をくれる人もいて
けれど、どこか心がこもらず嘘っぽく
共感ができません

僕の痛みが分からない癖に
勝手なこと言うなと
反発する気持ちも強くなります

せっかくの親切心で
言ってくれていることは分かるので
自分の心の狭さに嫌悪もしますが


かぐしわしきあなた くちなし 沈丁花 金木犀より 胸 甘くなる【短歌】

2024年10月22日 | 短歌

甘い香りがして
花の存在に気がつく時があります

普段は地味な沈丁花も花を咲かせれば
途端にその甘い香りで存在感を増します
思わず香り漂う方へ足を向けます
一年に一回のことですが

花屋でのぞくクチナシ
金木犀は時期になると
花が待ち遠しくなります

大切な人も香り高い花のよう
人混みにあっても
かぐわしさに直ぐ分かります

いつまでもその香りが
胸を甘くするようにと願います


毟りあう生は競走でたらめを盲従してまた毟りにゆく君【短歌】

2024年10月15日 | 短歌

子供たちの喧嘩は
本当に浅ましいです

誰が多く食べただとか
あいつが悪いのに俺が怒られたとか
人に譲ったり、ちょっと我慢をしたりすることが
損をしていることだと感じるようです

お互いに譲り合えば
喧嘩もなくなると教えるのですが
すんなりと腑に落ちないようです

確かに大人の世界でも
同じようなことをやっているので
子供にだけ理想を押し付けても
いけないのかも知れません

それが当たり前だと思い
人からも毟り取ろうとする浅ましさは
持たないで欲しいと思います


クロワッサン好きな子サクサク バターの香 ミルクの赤子の 君 懐かしむ【短歌】

2024年10月08日 | 短歌

同じように育てている子供たちなのですが
いつの間にか味の好みに違いがでます
不思議なことです

例えば次男はラーメン派
長男と三男はうどん派
好みに合わせて別々に作るのも面倒です

そうして次男はここの所
クロワッサンを気に入って
喜んで食べます

親から見るとまだまだ
小さな子供の頃と変わらずに見え
クロワッサンを食べる次男の
頭を撫でて嫌がられます

食べた後にはふんわりとバターの香りも漂い
ミルクの匂いのしていた
赤ん坊の頃を勝手に思い出します

だから、うざいとか
言われるのでしょうけれど


動かずに、地下鉄、人込み、出入口、チャバネセセリの、そっと、危ない【短歌】

2024年10月01日 | 短歌

いつもの地下鉄の出口を上りました
少し混んでいたので
前の人に合わせて上って行きました

階段を上り終えたところで
足を下ろそうとすると
その近くには羽をたたんで動かない
チャバネセセリが一頭

僕もまるで気が付かなかったのですが
出口のコンクリートの床の部分に
溶け込んでいます

どう考えても
そのままでは踏まれそうだったので
気になったのですが
僕の後ろからも人が上ってきていたので
邪魔にならないようにそのまま進みました

何故、あんなところで
羽を休めていたのか分からないのですが

あの後すぐに、飛び立ってくれたのなら良いのですが
しばらく気になっていました


秋の夜や毛布にくるまる蓑虫か三匹川の字その間に眠る 【短歌】

2024年09月24日 | 短歌

朝夕が大分肌寒くなってきました

いつもの如く夜遅くまで眠らない三男を
眠らせようと一緒に眠っていました
本当は一番早く眠らせたいのですが
夜になるとハイテンションになって
子供たちの中で一番遅くまで起きています

俺、夜行性だからと言うので
昼に生活をしろと怒るのですが
それを聞いてゲラゲラと笑っていたりします

特に週末は遅いことが多く
その日も11時を過ぎていました

声を出さずに静かにしていると
やがて静かな寝息が聞こえてきました
ようやく寝たようです

それを確かめようと枕元のスタンドの灯りををつけると
毛布にくるまって首だけ出している三男の姿
まるで首だけを出している蓑虫のように見えました

そうしてその向こうには
同じような姿で寝ている長男と次男も

僕はその三人に挟まれて
窮屈な思いをしながら眠りにつきました


思うほど、僕苦しめるもの、少ないよ 人苦しめるほど、皆、暇なし 【短歌】

2024年09月17日 | 短歌

若い頃には人目が気になり
外を歩くのも苦痛に思うような時がありました

人が僕に悪意を持っていて
痛めつけようと向かってくるような感覚

けれど段々と年を重ねると
そんな悪意は結構少なくて
それ以上に、皆が自分のことで苦しんでいて
人に対して悪意を向ける余裕も
あまりないことを感じるようになりました

もちろん、そんな自分を持て余して
人に攻撃を向ける人も少なくはないのですが

ある意味、僕が思っている以上に
人は僕には関心が無いと言うこと
それを感じるだけで、心が少し楽になる気もします

人の目にがんじがらめにされて
動けなくっていた心が一息をつきます

自分を苦しめるものは
人ではなくて自分の考えや認識であることが多いですね
でもそれが素直に納得できるまでには
きっと時間も必要なのですが


宵の道出くわす野鳥の案内人「あら」と声出る逃げぬ後追う 【短歌】

2024年09月10日 | 短歌

賑やかな街を歩いていました
目的の場所に行こうと
ちょっと細い路地裏を通ると

目の前に可愛い野鳥が道路の上を歩いていました
思いがけない出会いに
鳥好きの僕は
思わず「あら」と声を出してしまいました

その鳥は初めて見る黄色を中心とした綺麗な鳥でした
その後、ネットで調べてみたのですが
一瞬の記憶もあやふやになっていて
これだと言い切れる鳥の名前は見つけられませんでした

その可愛らしい鳥は
近くに寄っても逃げることなく
僕の前をちょこちょこと歩いて行きます

僕は道案内人を得たように
その後を静かについていきました


入り混じる、季節の頃や、生温き 宵闇、ごっちゃに、蝉と虫、の声 【短歌】

2024年09月03日 | 短歌

少し前から虫が鳴き始めました

その日も随分と暑い日で
夜になっても、その暑さが続き
帰りがけ聞こえた虫の声が予想外で驚きました

自分の中では虫が鳴きだすには
まだ早いという感覚があったからです
それが簡単に打ち破られた驚きでした

まだ蝉の声も聞こえたり
ただ、確かに、朝や夜の風は秋の香りを含み
季節が交差する時分にいることを感じていました


耐えかねて自分の重さに首を折る頭でっかちひまわりくんが 【短歌】

2024年08月27日 | 短歌

自転車で走っていたら
畑に育つ向日葵の一つが
首をぐにゃりと曲げて下を向いていました

花が周りの向日葵よりも
異常に大きいのです
その重みに耐えかねて
首を曲げてしまったのですが

何故自分で支えられないほどに
大きな花をつけてしまったのかしらと
ちょっと哀れに思い
ブレーキをかけて一瞬
その前に立ち止まってしまいました

頭が重ければ支えきれない首も折れるのは
自然の理ですし分かりそうなものですが
振り返ると自分も頭でっかちになっていることが
往々にしてあります

ついつい理屈と言い訳が先行して
頭が一杯になってそれを自分で支えていられなくなって

向日葵を嗤う以上に自分の方が
首を折った姿でいることが多く
気が付いていなかった自分の姿を
目の前に見せつけられたような気がして
しばらくその向日葵の姿が
頭から離れずにいました