アートの周辺 around the art

美術館、展覧会、作品、アーティスト… 私のアンテナに
引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

川喜田半泥子物語 その芸術的生涯

2015-03-23 | 展覧会

先日、あべのハルカス美術館で始まったこの展覧会に出かけてきました。あまりよく知らなかった方ですが、日曜美術館を見て興味を持ったので。

川喜田半泥子の生まれは、江戸時代から続く木綿問屋の大店であった津の旧家で、明治時代以降には百五銀行を営み、半泥子もその頭取~会長を務めました。まさに実業家として活躍した彼が、一方で陶芸、書画、俳句など芸術分野でも豊かな才能を発揮したのです。

チラシに載っているスーツ姿でろくろを回している写真が印象的ですが、昔のビジネスマンは余裕があったのか、ワークライフバランスへの意識が高かったのか…。仕事をしながら、かなり充実した作陶をされていたようです。

半泥子の生い立ちを辿るかたちで紹介されている展覧会なのですが、実業家としてのインパクトを与えるのは、「何がなんでもことしハ五億」という書。資金調達に励んでいた銀行の各支店に配られたというその書には、経営者としての強い決意がみなぎるようで、ちょっと圧倒されました。

やはり興味を惹かれるのは、展示品の多くを占める陶芸です。番組で拝見していたけれど、その自由闊達な作りっぷりには驚かされました!本当は技術があったのか、なかったのか…?歪もうが、割れようが、端がちぎれようが、全くお構いなし。今までも他の作家の破天荒な作品を見てきましたが、これほどは初めてかも。本当に無心に粘土で遊び、偶然出来上がったものを愛でる、そんな自由な境地を見ていると、こちらも楽しくなってくる!

なんだか、すましてガラスケースに収まっているのがそぐわないように感じました。自分の手で触って、四方八方いろんな角度から眺めてみたいな~とそんな欲望がムクムク湧きおこって来る。私が特に気に入ったのは、銘「雅茶子(がちゃこ)」という茶碗。力強い割高台が、象の足のようだということで、象の名前に因んで銘名されたという。肌合いもグレーのザラっとした感じで象さんのよう。象好きの私にはグッときました~。

展覧会は始まったところですが、老いも若きも、けっこう幅広いお客様が来られていましたね。ガラスケースに何点かの作品が並べられているのですが、ここでオモシロイ発見が!ガラスケースの真横から数点の作品が並んでいるのを見ると、ケースの前にいる他のお客様の存在感がスッと消えて、そこに静謐な作品の世界が現れるのです!

ホント、端正でないだけに見ても見ても飽きない作品たちでした。滅多に見れるもんじゃあありません!

展覧会は5月10日(日)まで。

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